第21話 ―最高の仲間!?―

「久々にぃ、アレやりましょうよぉ!あたしぃ、アレ結構好きなのよぉ!!」


 と、美しい僧侶は、クネクネしながら真顔で言った。


「いやだよ!」


 マジで勘弁!黒歴史なんだよ!!と、店主は思って断った。


「拙者も、お願いしたい!アレには、テンションがあがるでござるよ!!」


 槍使いは、とっても乗り気だ。


「いいでは、ありませんか。ジャックおやりなさい」


ニコッ!


 みんなが楽しみにしているので、これまた美しい魔法使いも、笑顔で店主に促した。


「アレとはなんなんじゃ?」


 お嬢様は店主に聞いた。店主は聞こえない事にした。


「ジャックが、戦前(いくさまえ)に、いつもやってたやつ。私もやりたい」


 淡々と、でも楽しそうに女戦士も言った。


「それは、楽しみですな!どうか店主殿、やってはもらえぬか?」


 何をするのか、うすうす気づいている老執事。そして、一同の目が店主に集まった!!!


「わかった、わかった、わかったよ!!!」


 仕方なしに店主は鞘から剣を抜くと、空に向かってかざした。


すーっ!


 そして、息を吸うと声高々に言った。


「我が、剣の元に集いし者たちよ!今一度、我が剣に、その身をあずけん!!」


 すると店主が、かかげた剣に……


――カシャン、カシャン、カシャン、カシャン


 メイスの杖、槍、魔法の杖、剣が重なった!


「さあ、我々も!」


 お嬢様も、老執事に声をかけられ剣を抜いた。


―カシャン、カシャン


 そして重ねた。すると、店主は言った。







「我が剣に続け!!」


「「「おおー!!」」」


 鬨(とき)の声が響いた!


 老執事が一番、大きな声を出していた。結構、好きらしい。


「すごいのじゃ!」


 ゾクッとした。


お嬢様はビックリしたが、何か心が動かされた気がした。


「ジェイちゃんってぇ、これをよくしてたわよねぇ!」


「拙者も敵陣からジャックの、この鬨の声をきいたでござる!」


「わりと、好き」


 僧侶、槍使い、女戦士が次々に言った。


「さあ、出発するぞ!馬に乗れ」


 店主が自然とリーダーになって言っていた。


「あっ!」


 やってしまって事に気づいた店主は、老執事を見た。老執事はにこやかに笑って言った。


「では、参りましょう!ジャック隊長殿!!」


 こうして公爵救出部隊は、天空の塔に向けて出発したのだった。


◇◇◇


 馬を走らせつつ途中途中で、馬を休める為に休憩をした。公爵救出とあって、実は沢山の人間が投入されていたのだ。


 店主たちの先初部隊以外にも、後方支援として従者が沢山ついて来ていた。なんので、しっかりと休める為に、こまめに休憩をしていた。


「距離と休憩時間から考えて、だいたい五日か」


 店主は、老執事と道順の確認をしつつ話をした。


「そうそう、聞きそびれていたのだが、なぜ公爵様は天空の塔へ?」


 店主は、基本的な質問をした。


「実は、冒険好きな所がありまして。それに」


「それに?」


「姫君のお誕生日への贈り物をという事で」


「そういう事か!誕生プレゼントを求めて、天空の塔へか!!確かにあそこには、珍しい古代の宝物(ほうもつ)や、装飾品が沢山あるらしいからな!!」


 店主は納得がいった。


「数ヶ月分の食料を持ちまして、魔法使いや近衛兵と共に登って行きましたが、今は怪物によって身動きが取れない状況になりまして」


 天空の塔には所々に窓や穴があった。そこから鳩を使い、状況を伝書していたのだ。


「そうだったのかあ」


 店主は大きくうなずいた。


「所で話は変わるが、俺の仲間を先に集めていた理由は?」


「リリー殿に頼まれまして。必ず店主殿を説得するから、集めておいて欲しいと」


「リリーがか!」


「さようで」 


「でも、しかしよくリリーを雇う事にしたなあ。狂戦士と驚いていたじゃないか?」


 老執事は、小声になった。


「ここだけの話ですが。まだ会っていない時点では、狂戦士とだけ話を聞いていたので、やめようかと」


 店主も、それに小声で答えた。


「だよな」


「しかし店主殿の店で、お会いしてからは認識を改め、のちに直接お会いし、お仲間にお声かけさせて頂きました」


 なるほど!と、店主は思った。


 その時だった。お嬢様が小声で店主に尋ねてきた。


「ちと、聞きたい事があるのじゃが?」


「ロニー、どうした?」


 店主も小声で答えた。


「あの、美しい魔法使いと僧侶の事なんじゃが。そなたとは、どういった……」


「そうだった!言うのを忘れてた!!」


 店主が普通の声になった。


『もしかして、やはりそうなのか?どちらかが、ジャックの?』


 お嬢様は、ドキっとして、ちょっと先に泣きそうな気持ちになった。


 店主は小声で真剣に、お嬢様に言った。


「先に言っとく、エリーシャに年齢は絶対に聞くな!……しばらく口をきいてもらえなくなる!!」


 お嬢様も小声で尋ねた。


「えっ!いくつなのじゃ?」


「執事さんぐらい!」


 お嬢様は声が大きくなる!


「嘘~っ!?」


「しっ!声がでかい!!」


 お嬢様は、慌てて口を押さえた!!魔法使いエリーシャが、チラリとこっちを見た。


 これは危険である!と、お嬢様は思いつつ、少し安心した。


「ちなみに、僧侶は男だ!」


 それを聞いて、お嬢様の声が大きくなる!


「嘘~っ!?」


「しっ!だから、声がでかい!!」


 お嬢様は、慌てて口を押さえた!!僧侶のブレイストが、チラリとこっちを見た。


 これも危険である!と、お嬢様は思いつつ、自分より女性っぽい僧侶に嫉妬した。


「では、行くか!」


 店主の声にみんなが馬に乗った。店主は仲間を見回した。


 一人一人が10人、100人分の力がある奴らばかりだった。お嬢様を抜いて。


 その時だった。


「待って下さーい!!」


 格好のいい、イケメン男が馬で走ってきた。そして、店主の目の前に馬を停めると言った。


「僕も連れて行って下さい!」


 店主の、よく知っている顔だった。


「アルベルト!どうしてここに?」


 店主は驚いていた。


「僕にだって、そのぐらいの魔法直感はあります!」


「そのお方は?」


 老執事の質問に、女戦士が答えた。


「本当に最強の……弓使い」


 その言葉に、老執事が険しい顔をした。


 広い所ならまだしも、狭いダンジョン、そして矢の替えのいる弓は適さないと思ったのだ。


 その瞬間!


「お前は帰れ!!」


 店主の怒鳴り声が響いた。ビクッとお嬢様は驚いた。他の皆は平静だった。


「それではお引取りを」


 その様子に、老執事も店主に続いた。


「しばし待たれい!老執事殿」


 槍使いが口をひらいた。


「そやつの名誉の為に言うでござるが。ミスリル魔弓(まきゅう)に、矢は思念の矢!どんな戦場にても、足りなくなることなどないでござる」


 いつにない迫力だ!


「そして!その矢が的を外す事はないでござる。狭かろうが隠れようが、矢は追いかけ、決して外しはしないでござるよ!!」


「そっ、それでしたら!!」


 老執事の目の色が変わる!しかし、店主の意思は固く、再び怒鳴った!!


「ダメだ!!お前だけは絶対に……







 連れて行く事は出来ない!!!


【ステータス】


☆お嬢様

・金髪ツインテール、細リボン赤

・最高の両手剣、鎖からびら、鉄の胸当て、革の腕当て、革のブーツ

・真紅のパンツ


★女戦士

・黒髪ロングストレート

・最高の剣(詳細不明)

・ミスリス鎧一式

・赤マント

・黒のパンツ


☆魔法使い

・肩ソバージュ茶

・杖

・水晶球

・黒のマント

・黒のワンピース

・パンツ秘密!


☆僧侶←作者的に、次回からはステータスなし!!でも、超美人だ!?

・ローブ

・杖がわりの、トゲなしメイス

・生成りのワンピース

・これまた、パンツ秘密!!


つづく



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