第12話 最終夜 私の中に続く旅
又、ネパ-ルに来てしまった。
何故だろう?もう5年続けてになる。
私は旅が好きだ。
じゃあ、何故旅するのだろう?
ネパ-ルで妙に印象に残っている風景が幾つかある。
山小屋の前にひかれたコモの上で、日干しされている赤唐辛子
家族総出で行っている稲刈り
田んぼに組んで干されたわら
犠牲祭に殺された羊
私はこれらの風景をかつて見た事がある。
納屋の前に干されたとトウモロコシ、鶏のえさになる。
幼稚園入園前に家族総出で行った稲刈り、畦から見ていた。
組んだ丸太に干されたわら。
祭りに祖父が捌いた鶏。
何の事はない、子供の時に見た風景に似ているのだ。
妙に落ち着いた気がするのは、だからだろう。
私は日本のありふれた田舎で生まれ育った。TVで取材されるほどじゃないけど、どこにでもある所。
そこの農家の子供として育った。
日本から何万キロも離れたここに来て、それを思い出した。
いや、ここまで来なければ、それを思い出せなかった。
自分が何処から来たのかを。
間抜けな話だ。
それに気づいた夜、私の中で一つの旅が終わりを告げた。
ああそうやったんや。私は自分が何者か知りたかったんだ。
もう、こんな風に旅しなくて良いんだ。
翌朝、目覚めて別の事が頭をよぎった。
世界には、まだ回るべき所は山ほどある。
そこは驚きに満ちている。
私の旅は、まだまだ続くようだ。
未了
Hypericum
ここまで、ごく少数ですけど読んで下さった方、ありがとうございます。
今回この様な投稿サイトに、かつて書いたものを上げました。
殆どの部分は当時に手帳に書いた文章です。読み返して懐かしくも有、恥ずかしくもあります。
今後は他のツーリングの話などを、ランダムに上げていく予定です。
尚、最後まで書く事が出来れば最終章の題名だけは決まっています。
1989年のシルクロード です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます