第11話 第八夜 海外を走るという事
昨日から胃の調子がおかしくって、今日一日、軽いものを食べて、小説読みながら寝転がっていた。だいぶ食欲も戻り、調子が良い。
外国・この場合は、欧州と北米・オ-ストラリア何かを除いた、アジア、中東とアフリカ・南米の一部をさすんだけど、多分同じだと思う。ここらの国をバイクで走るってのは、とてつもない、金持ちがやる事なんだ。
たとえば、ここネパ-ルの例をあげよう。(100円=60RS位) 私は一日1000RSでバイクを借りて、240km移動するとする。ガス代が47RSだから、一日の移動に47*8リットル+1000で1400RS位の金を使う。そこを長距離バスなら200~300RSですむ。
こっちで昼飯一食が50RS位、コ-ラ250ccで12RS、一泊中級ホテルで300~500って所だ。ものすごく高くつくんだ。
これは単に日本の通貨価値が強いだけなのだけど、こっちの人にとっては信じられない道楽に見えると思う。
「俺達は島国に住んでいるから、広い大陸を自由に駆け回りたいんだ」って言っても、その概念は理解できないと思う。
平たく言えば、金を撒き散らしながら、それで地元の人の顔を引っぱたきながら走っている。
きつい表現だけどこの側面はあると思う。多分他の地域も似たり寄ったりだろう。
その国には、そこに合った移動手段があり、それを使うのが望ましい。それは、バスだったり、鉄道、場合によっては徒歩かもしれない。車や飛行機の国もありうる。
もし何時か外国を走る事があるなら、こんな事を頭の何処かに留めておいてくれれば嬉しい。
そいつを、理解した上で走るというのなら止めはしない。
ここには、地平線まで続く道もある。
通常の旅行者が決して足を止める事の無い町で泊る事も、ごく普通の人と、言葉の通じない会話を経験することもできる。
それでも私は、これを読んでおられるあなたが、何時かここに来られる事を望む。
私達はバイク乗りだ。
ここでは、走り続ける意志がある限り何処まででも走れる。
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