第14話 そう遠くない日に

 いつかその日は来るんじゃないだろうか?

そう遠くない日に。

 九州行きのフェリー。夜中に眠れない頭で思う 。


 一人でいた時は、好きな時に行きたい所に行けた。

働く前は、資金次第で。働きだしてからは、まあ働く人の範疇で。

 家庭を持って、1日走りに行く・1日を自分だけの為に使う事が、どれほど贅沢なのか今の私は知っている。


 バイク雑誌で、一泊二日のツーリング なんとかの旅ってのを読んで、そんなの旅違うやんて思っていた。

 それがどんな得難い機会なのか、それを持つことが出来るのは、どれだけ誇って良いことなのか分かる。



 もしこれを読んでいるあなたが、比較的自由に時間を使えるなら走れる時に走っておけって言いたい。大きなお世話か。

 それは後に光輝くような記憶になるから。

 ひょっとしたら、一生自分の行き先を照らす明かりとなる経験かもしれないから。


 そして、数時間・いいとこ一日走りに行くのが精一杯な自分。

けれどそれは、二泊三日、数日、最終的には海外への走りに続く事を知っている。


 だから今の自分に出来るだけの走りをしよう。


 そしてまた何時かその日は来るのを知ってる。

いつかそう遠くない日に。

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