第1533話 どエルフさんとパロディに逃げるな!!

【前回のあらすじ】


 突如はじまる神々の代理戦争。

 杣人兄こと、七悪の偶像あやつるものが呼び出した、君は完璧で究極の偶像ゲッ○ー。それに対抗して男騎士が呼び出したのは、戦神ミッテルより授かった鉄の巨人――ジャイアント○ボ。


 現代にも通ずる、ロボものの源流を作り出した作品二つが、こんなしょーもないパロディ小説で火花を散らす。はてさて、軍配はどちらに上がるのか――。


「バカ野郎!! ジャイアン○ロボは鉄○より後だし、テレビドラマの方が有名だろうが!! そんでもって、向こうもマジン○ーじゃなくて、ゲッ○ー!! さらに言うと、ゲッ○ーは永井○と石川○の共著で、どっちかっていうと石川作品!! 代理戦争にもなってない!! まったく関係のない戦いだよ!!」


『「な、なんだってぇっ!?」』


 関係がなさすぎだ。やるなら「鉄人2○号VSマジンガー○」だろうというくらい、いろいろとズレていた。著者が、脳味噌限界ギリギリいっぱい4時までひいこら言いながら書いているだけあって、ここに来ていろいろ帳尻が合わなくなった。

 どうしてこうなってしまったのか――。


「勢いだけで小説を書いてるからだよ!! ちゃんとプロットを練れ!!」


 はい。という訳でね、流石にそろそろ眠たいので――今週のどエルフさんは、巻きの週末回で参りたいと思います……。


「ほんで、こういう所で作者のさもしい事情を語るな!!!!」


◇ ◇ ◇ ◇


 パロディに逃げるな。

 長年連載を続けて来た、WEB小説のヒロインの言葉が著者の心臓を抉った。


 遺伝的にちょっとリスクがあり(基本的には健康)、無理な仕事を続けていると命を縮める――と思ったから、ある程度裁量の利く小説家を目指した。

 のんびりゆるゆる、自分のペースで進められる仕事を生業にしようと思った。

 なのに、いざ仕事をし出したらこの有様。毎月、ひいこらひいこらと商業の原稿を命を削って書いている。いったいなんのために、こんな仕事をしているのだろう。


 凡人以下の才能しかない。努力と時間をかけていいものを仕上げるしかない。華がないし口も悪いので、周りの理解も得られない。芽が出るのに時間がかかると踏み、それまでの糊口をと高等専門学校に通ってプログラミングを学んだが……厳しい(言うほどでもない)業界というよりも人間関係にメンタルをやられて、ドロップアウトし、今やそれも使い物にならないくらいに錆びついた。


 とにもかくにも仕事ができるように俺はできていない。

 趣味くらいならできるかなと思ったが、それもできるようになっていなかった。

 明日を生きる道筋も見えない状況に、ただただ目を覆うばかりの日々だ。


 まだ、出版社さんがノベライズのお仕事をくださるからなんとか生きていけるが、流石に日に二食、酷いときには一食で、腹を空かせながら文章を書くのは堪える。


 今はなんとか親が生きているので、住についてはなんとかなっている。だが、彼らの援助がなくなったらどうなるのか。その前に、年々弱っていく彼らの介護や食事の世話、自分と同じように働くことができない妹弟たちの世話を、どうすればいいのか。頼りがいのある父のおかげで、今はこうして小説に専念させてもらっているが、やがてその日は必ずやってくる。今がおそらく、一番自由に自分が動ける時期だというのに、活動できる状態だというのに、稼ぎは少なく、引き合いの仕事もこない。


 何が悪い、何がダメだった、どうして次に繋ぐことができなかった。

 後悔ばかりがこの一年、僕の胸を覆っている。大手出版社から拾い上げられてデビューしたのだから、二作目のオリジナル作品を書かせてもらえるチャンスはあるだろう……そう思ったがそれは甘い幻想に過ぎなかった。なんとか頭を下げ、定期的にノベライズの仕事をもらえる。それが続くのを奇跡のように感じながら生きている。


 他のラノベ作家は、処女作の発表を機に、ゲームのシナリオライターになったり、脚本家、漫画原作者に進むらしい。他の出版社から声がかかり、書き下ろしを出させてもらえたりする人もいる。実際に、そういう人や事例を幾つも知っている。けれども、そのルートに辿りつけない。声がかからないのだ。最初から「こいつは小説家ではない」と見なされている。「0から1を作れない人間」「クリエイター不十分」の烙印を押され、戦うテーブルにも着かせてもらえない。そんな風に思うのが本当に辛い。ノベライズの仕事だけでは決して埋めることが出来ない、「自分の作品を世に問うことができない」辛さが、常に胸に渦巻いている。これを書いてしまうと、「ノベライズの仕事が来なくなるのではないか」「ノベライズの仕事にもっと誇りを持つべきだ」と思って口に出せなかったが、やはりどうしようもないのだ。オリジナルが書きたい。オリジナルの小説で勝負させて欲しい。そう強く願ってしまうのだ。


 じゃあ、ガンガンオリジナル作品の弾を撃てよ。公募にコンテスト、今はどこだって作品を募集している。なのになぜそうしないのか。ガンガン、チャレンジすればいいだろう。そう言われてしまうと、WEB連載している小説に行き当たる。このどエルフさんも、もう一つのVTuberも、どちらもなんだかんだ言って大切な小説なのだ。こんな風に、内容が破綻して、愚痴を書き散らかすような事態になってしまっても……評価に伸び悩み、読んでくれる人が少なくても、それでも捨てることができない、僕にとって大切な作品なのだ。だから、それをストップして、何かを書くことはできない。せめて、どちらもちゃんと終わらせるまではやりたいのだ。


 そういうと「今すぐWEB小説の連載を終わらせろ」と人は笑う。


 そういうことじゃないんだ。そういう問題じゃないんだ。これは俺の命を蝕んでいる作品だが、同時に俺にとって心の支えにもなっている作品なんだ。なのに、なんでそんな簡単に笑うことができるんだ。なんで無駄なことは止めろなんて、残酷なことを言えるんだ。そんなに俺のオリジナル作品に価値はないのか。俺の書くものはそこまでつまらないのか。ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。


 俺は逃げてないぞ、いつだって、どこまでだって、お前たちと向き合ってる。

 戦ってる。限界の中で、書けるものを書いている。


 なのにモーラ……お前まで俺を嗤うのか!!!!


「……よし、文字数超えたわよ、寝てヨシ!! おつかれ!! 狂気ネタで文字数稼ぐのも大変よね。アンタはまぁ、とろくさなりにがんばってるわよ」


 ほんと狂気を文章に乗せるのって難しいですよね。久しぶりに、変則ネタで攻めようと思いましたけど、やっぱ狂気を押し出して書くのはしんどいですわ。

 ほんのりほんわかギャグ小説が一番。これからもその路線でやってくもんね。


 というわけで、今週も四話更新したので寝ます!

 ぐんなーい!


(……マジで今回は壊れたかと思った。商業原稿で、けっこう修羅場ってる感じねこれ。あんまり無理させないように、これからは気をつけよう)

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