第1532話 ど男騎士さんと鷹の○ロボ
【前回のあらすじ】
男騎士の前に姿を現わした杣人兄こと人造神の使徒――
彼から、杣人妹の最後について問われた男騎士は、それに粛々と答える。そんな問答もそこそこに、彼らはさっそく刃を交え――るかに見えた。
杣人兄が構えたのは斧。
これを受けようと男騎士が魔剣を下段に構えたその時――相手の手から、その斧が消えていた。いったいどこに消えたのか。どこに行ったのか。辺りを慌てて見渡す、男騎士だが、その姿はどこにも見当たらない。
「そう、誰もが目を奪われるんですよ」
「はっ!! まさか、これが君の究極の必殺技!!」
そう、このやり取りと男騎士の目の動きからお察しであろう。
某、覇権アニメのオープニングのパロディが行われているということが。
そして、そう来たらもう、次に待っているのはお約束――。
「ゲッ○ートマホーク!!!!」
「また、ゲッ○ーネタかよ!!」
君は完璧で究極のゲッター。
兄と妹。集英○の二大コンテンツをうまいこと伏線にして翻弄するのは、流石の七悪――
「さぁ、ティトさん!! ここからが勝負です!! 俺が操る――この完璧で究極の
さぁ、どうする男騎士。
巨大な鋼の巨人を相手に、戦うことができるのか――。
◇ ◇ ◇ ◇
「くそっ!! あんなロボットアニメの源流になったようなロボットを相手に戦えるか!! デラえもんよりもタチが悪いぞ、あのタイプは!!」
「確かに、三位一体合体ロボットの祖と言っていい存在だものねぇ……」
「こうなったらモーラさん!! 魔法少女に変身して戦って!」
「いやよ、どうして私がこんなトンチキ展開に付き合わなくちゃいけないのよ」
「そんな!!」
ロボットVS魔法少女。
割と最近はこういうトンチキ展開もありかな……と世間で受け入れてもらい易いのと、前の章で女エルフが戦っていたこともあり、男騎士はつい彼女を頼った。
しかし、女エルフはそれにノーを突きつけた。
自分を置いてきぼりにし、シリアス展開から一転して、トンチキギャグ展開へと変えてしまった男騎士に、女エルフは静かに怒っていた。それはもう、彼のピンチに少し意地悪したくなるくらいに。
「だいたい、アンタが赫青鬼の力で対抗できるでしょ。ほら、前にバビブの塔で、コウメイが用意した鉄の巨人とやりあってたし」
「あれは緊急事態だったからしたまでで!! 本来、ロボット同士の戦いに、生身の人間が入っていけるものじゃないんだ!!」
「そうかしら? 割とそういうロボットと拳で戦うキャラなんて、古くからいっぱいいるんじゃない?」
「バカなことを言うな!!!! できるわけないだろ、そんなこと!!!!」
と、突っ込んでおきながら、男騎士はふと気が付いた。
某ロボット大戦で、ロボットと生身で戦う生身ユニット二大巨頭を思い出した。
たしかにいる。ロボットと生身でやり合うキャラは存在する。むしろ、それが少し弾けたロボットものに置いてはお約束として取り入れられている感じもある。
しかし、流石に完璧で究極のゲッ○ー相手に、通じるだろうか。
闘う相手が雑魚ユニットだから、生身ユニットでもやり合えるわけで、ガッチガッチの主人公機を相手に戦えるようなのはいないんじゃないのか。
『さぁ、それじゃさっそく行きますよ――
「うわぁーっ!! 待て待て、絶妙に色んなものを混ぜた必殺技で、生身ユニットを攻撃しようとしてくるんじゃない!!」
『知りませんよ!! こっちは真剣に戦おうとしているのに、いつまでもふざけているティトさんが悪いんじゃないですか!!』
「だぁーもう!! 生身ユニットでアレと戦えというのか……正直、巨大獣ならともかく、ロボットでは太刀打ちできる気がしないぞ!! やはり赫青鬼になるしか――いや、待てよ!?」
その時、男騎士は思い出した。
戦神ミッテルからとあるアイテムを受け取っていたのを。
そう、鋼の巨人を呼び出し、使役する力を、男騎士は戦神から授かっていたのだ。九傑衆との面会を終わらせた彼に渡されたそのアイテムを――咄嗟に男騎士は引きずり出すと、腕につけた叫んだ。
「来い!! ジャイアントロボ!!」
「うーん、まさかこの章でも、ロボット大決戦が起こるとは。デラと戦隊ロボで、その当たりは決着したと思ってたわ」
「なに言ってるんだモーラさん!! 巨大ロボは――永井○が祖か、横山光○が祖かは、ロボットものの創作をする人間にとって永遠のテーマじゃないか!!」
誰がはじめに巨大ロボットを動かしはじめたのか。それにロマンを感じたのか。
原典は小説とも言われているが――やはり著名なのは『マジンガー○』と『鉄人2○号』。『マジンガー○』の男らしいイメージに推されて、こちらがロボットもの祖のように思われがちだが、『鉄人2○号』はそれより遙かに発表された時期が早い。
モノクロテレビの時代に流行ったロボットものだ。
発表年代が先の方か、それともロボット史に残した影響力か。この二つは、常に『ロボットものの祖』としての立場をめぐり争ってきた。
そう、これはつまりアホなパロディ小説の名を借りた、両陣営の代理戦争。
どちらにも特にツテもなく、もっというと根回しもなにもしていないのに、勝手にやるクロスオーバー。お前、二次小説なら許されるかもしれんけど、商業作家がオリジナル作品でパロって優劣を語るとか、クズオブクズで仕事なくなるぞ――。
とまぁ、そんな所で。
「バカ野郎!! ジャイアン○ロボは鉄○より後だし、テレビドラマの方が有名だろうが!! そんでもって、向こうもマジン○ーじゃなくて、ゲッ○ー!! さらに言うと、ゲッ○ーは永井○と石川○の共著で、どっちかっていうと石川作品!! 代理戦争にもなってない!! まったく関係のない戦いだよ!!」
『「な、なんだってぇっ!?」』
女エルフが冷徹に二人に突っ込む。
そう、ミッテル側のロボはジャイアン○だし。
オッサム(トキワ神族)側のロボはゲッ○ーだし。
微妙にズレていた。微妙に外した所で行われる代理戦争だった。もしこれが、鉄人2○号VSマジン○ーだったら、東○夏の映画祭待ったなしの組み合わせで、権利関係がややっこしくなるが――。
「ジャイアントロ○VSゲッターロ○なんて、マニアック過ぎてロボもの書きでも首を傾げるテーマよ!! いい加減気づきなさい、バカァ!!」
女エルフの言う通り、マニアック過ぎるネタだった。
筆者が毎週毎週、商業原稿で疲れた脳味噌を振り絞り、思いつきで話を広げているので致し方ないが――それでもちょっと酷かった。
やはりお仕事しながら創作するのは大変でござるよ。
「いや、仕事でもっとまともな文章書いてるんだから、こっちももっとまともな文章を書きなさいよ!! 毎度毎度、パロディに逃げるな!!」
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