第1319話 どエルフさんと神話になりなさい

【前回のあらすじ】


 女エルフ【性闘衣】を装着する。


 男騎士がいらんことを言ったせいで、いつもの女エルフの身体のサイズに合わせられたそれはパッツンパッツン。デストロイモードでは持て余す、いや、逆に足りない衣装だった。


 そこかしこからあふれ出す女エルフの肉。

 肉感的な脇。たぷっとしったお腹。スカートとの境目にできた盛り上がり。もちもちの太もも。そしてニーソックスが作り出す危険な3D絶対領域。


「なによ3D絶対領域って……」


 肉体的に成熟しきったババキャラに小さめの服を着せる。

 ただ小さな服を着ているだけ。なのに漂ってくる濃厚なエロス。

 ほんと、溜まらないですよね。


「けどアンタ、担当編集には自分のこと【ロリ】ですって言ってんのよね」


 そうですね。(真顔)

 こんなババキャラ弄りしてますけど、実際には貧乳キャラとかロリキャラの方が好きですね。なんだか2chの方でも勘違いされていますけど、僕は普通に【ロリ】です。しかも結構エグめのエロ漫画とか買ってるタイプです。


※ pixivでみかけてもそっと目を逸らしてね! katternちゃんとの約束だよ!


 とにかく。


 ロリとババキャラ好きは成立する。

 両方愛でるからこそ、愛を説くことができる。


「あらすじ関係ない!!」


 貧しき身体のアラスリエルフのウワキツと、豊かな身体のアラスリエルフのウワキツ。二つの力を兼ね備えた女エルフは無敵。


 さぁ、戦え、モーラさん!!

 行け、モーラさん!!


 全ての年増ヒロインの業を背負って――!!


「そういう話じゃないでしょこれ。もうやだ、なんでこうなるのよ……」


◇ ◇ ◇ ◇


「うぅっ、死にたい。せっかくこんなムチムチボディになったのに。こんな小さな服を着せられて。いろんな所を人に見られて。恥ずかしくってもう無理」


『何を言っているの○ンジくーん!! こんな所でへこたれてる場合じゃないわよ!! これからが本番なのよ!!』


「けど、もう無理ですよミサ○さん」


 さっとその場に蹲り、体育座りで身体を隠すジャイアントエルフ&女エルフ。

 普通の服を着ているだけ。ただ、サイズが合っていないだけ。

 それがこんなにも人の心を苛むのか。


 もう立てない。もう戦えない。


 戦うために【性闘衣】を着たはずなのに、女エルフはその場に固まってうごけなくなってしまった。悲しいかな、羞恥で女エルフはなにもできなくなってしまった。


『何をこんな場面でメス出してんだオラァーッ!! お前は、この作品でひたすら下ネタで弄られ続けるポジションのキャラやろが!! それが、この程度のことでへこたれててどないするんじゃ!!』


「言い方!!」


『胸がなかったら平気なくせに、胸があったらダメなんかい!! モーラ、お前の根性はそんなもんなのか!! 世界を救うという意気込みは、その程度なのか!! 別に色々肉がはみ出していたっていいじゃない――それもまた個性よ!!』


「個性で済ませられないわよこんなの!!」


 貧乳も個性、巨乳も個性、いろいろあってそれでいい。

 けど、貧乳がいきなり巨乳になったら、アイデンティティを保てない。


 肉体と精神は密接に関係しているもの。今まで、デストロイモードへの変身になんとか耐えてきた女エルフだが、豊満体型は彼女の精神にとんでもない負荷をかけていたようだった。


 パロ元の主人公のように、ジャイアントエルフで戦うことを拒否する女エルフ。

 既にジャイアントエルフ2号機は限界。一刻の猶予も無かった。


 そんな彼女に――。


『○ンジくん。お願いよく聞いて』


「○サトさん」


 パロ元の女上司のように優しく語りかける○サトさん。

 もう完全に旧劇○バーのノリだった。


『ジャイアントエルフに乗ってデラえもんと戦うの。人類を救うことができるのは、貴方しかいないのよ』


「無理だよ。こんなの僕にはできないよ」


『ここから先の台詞は、作者が○バーをネタにする割りには、そこまで読み込んでいないから適当だけれど』


「おい、その下りわざわざ入れる必要あったか?」


『無事にデラえもんに勝ったら、デストロイモードに似合った服を一緒に買いに行きましょう。誰の前に着て出ても恥ずかしくない、エッチだけれどそんなにエッチじゃない、けれどやっぱりよく見るとエッチな感じのニットセーターを』


「いらんわい!!」


 女エルフの拒絶に、「そう」と優しく応えた○サトさん。

 それまでのどこかやけっぱちで強引な「乗りなさい」という勧誘から、一転して諦めたような反応に、ちょっと女エルフが戸惑った。


 振り返れば、彼女を船首に乗せた宇宙戦艦。


 ○サトさんは、別に新劇版でもないのに腕を組んでデラえもんを睨むと、女エルフと通信を行っていただろうインカムを外して叫んだ。


「シーマ村船長!! リリー・マルレーンの推力全開にして!! ○ンジくんのメンタル回復の時間稼ぎのために、本艦はデラえもんに突撃するわよ!!」


「……ちょっ、何を言ってるのよ!!」


「リリー・マルレーン突貫!! 必ず、人類を救ってみせる!!」


「待って待って!! そんな新劇ムーブいまさらじゃない!!」


 弱味でも握られているのだろうか。

 かつて、女エルフをイーグル市の地下まで運んだ宇宙戦艦がゆっくり進み出す。


 突撃とは言ったが、重力下で巨大な宇宙戦艦が高速戦闘などできる訳もない。ゆっくりとデラえもんへと進んでいくその光景はやけっぱちの自殺と変わりなかった。

 そんな船を見上げて、膝を抱えたジャイアントエルフが咆哮する。


「やめてよ○サトさん!! 無茶だよ!!」


「……○ンジくん。神話になりなさい」


「いや、マジでもうそのノリどうでもいいから!!」


「……残酷な、ふふんの、ふんふふ~ん!!」


「歌うのやめてもろて!!」


 女エルフに発破をかけるべく突撃を敢行する○サトさん。

 近づく宇宙戦艦に気づいたデラえもんがすぐに反応する。その大きな丸い手を振り上げると、彼は赤い戦艦の船首へと向けた。


 迫り来るデラえもんの拳。

 ○サトさんの死は不可避。

 そんな状況でも彼女は、女エルフの身を案じて希望の歌を歌い続けた――。


「神話になれ!! どうして神話にならないの○ンジくーん!!」


「うるさい!! そんな細かいネタいちいち拾ってくるな!! やっぱり偽物じゃねえか!!」


 新劇パロではなかった。

 マ○フレ歌コラボで発生した、奇跡のゲラの前振りだった。

 それはそれとして○サトさんの乗る宇宙戦艦は、デラえもんの手により沈んだ。


「○、○サトさ~~~~~~ん!!!!!!」

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