第1310話 どデラえもんとコア

【前回のあらすじ】


『おらぁっ、クールダウンで動きが遅くなってるだろ!! ここが狙いどきじゃ!! おらっ、コア出せコア!! さっさとコアを出せやゴルァアアア!!!!!!!!』


 マミーシステムで召喚された女エルフの養母の魂。

 ジャイアントエルフに憑依した彼女はゲームだと勘違いして暴走モードに入った。というか、ナチュラルに暴走した。そう彼女は絶叫系VTuberだったのだ。


「絶叫系VTuberって……」


 そんなにいませんよね。(にっこり)


 なんにしても、荒ぶるゴリ押しプレイングでデラえもんを圧倒する、ジャイアントエルフ(女エルフの養母憑依バージョン)。母性爆発とはまさに元ネタ通り。自分の娘を守るために、彼女は自身の中の獣性をむき出しにして立ち向かうのだった。


 これはもう、最初からこのマミーに任せておけばよかったのでは?


「いやよこんな身内の恥をみせつけられるの」


 キングエルフという爆弾級の実兄に加えて、養母まで変な属性を持っていたことが発覚したどエルフさん。はたして、彼女の羞恥心は保つのだろうか。

 自分の恥より、身内の恥の方が時に辛いこともある。


 とまぁ、そんな感じでクライマックス戦。まさかの女エルフの養母参戦で、今週もどエルフさんはじまります。


◇ ◇ ◇ ◇


『くっ、無駄だ!! この僕のボディは知恵の神の叡智が詰まった計算され尽くした設計!! 打撃、締め付け、魔法、どんな攻撃も通用しない――!!』


『オラッ!! オラッ!! オラオラオラオラオラァッ!!』


『どれだけ叩いても無駄だ、僕の身体はびくとも――』


 相変わらず起き上がりこぼしのフォルムにより、ダメージを減殺するデラえもん。しかし、その身体に異変が起こり始める。


 激しいジャイアントエルフの連打によって、デラえもんの振り子運動に違うパターンが混じりはじめたのだ。グラグラと揺れる身体は緩やかに、だが確実に円運動を開始していた。


 ぐるりぐるりと回転しはじめるデラえもん――。


『バカな!! 僕の身体が回っているだと!!』


『押しても引いてもダメなら次は回すんだよ!! 何が神が作りし完璧なボディだ!! たしかに、倒れにくいかもしれないがくるくるその場で回転し続けそうな独楽みたいなボディしやがって――!!』


『わっ、わっ、やめて!!』


『直接打撃が通じないっていうなら、内側から揺すってやるぜ!! オラァッ!! どこまでテメエの三半規管が保つか試させろや!!』


 ぐるぐるとその場で回転をはじめるデラえもん。

 その姿はまさに独楽。


 起き上がりこぼし人形は確かに直接打撃には強い。

 何度叩かれてもそのエネルギーを揺れて拡散する。

 しかし、それが回転エネルギーに変換されてしまえばどうだ。前後に進むハズだったエネルギーは、回転し続ける変換されて彼の身体を内部から蝕む。

 精密機械の集合のその巨体を揺らす。


 女エルフとELF娘。海母神でも思いつかなかった攻略法を、まるでゲームをしているノリで女エルフの養母は見つけ出してしまった――!!


 おそるべしVTuber!!


「すごい、あのデラえもんを完全に手玉にとっている!!」


『最初からマミーシステムに任せておけばよかったわね!!』


「そういうこと言います?」


『そんなことより!! これはチャンスよ○ンジくん!! マミーシステムが頑張ってくれている間に【性闘衣】を回収するの!! そうすればこの闘いに勝てる……』


『あーった!! コア発見!! そんな所に隠してたのね!!』


「『!??!?????!???』」


 敵にコアがあるというのは、女エルフの養母がやっているゲームの設定。

 デラえもんにそんな弱点などあるはずない。そうは分かっていてもそのうれしそうな声に、女エルフ達は前方を確認した。


 デラえもんの臀部。そこからぴょろりと伸びる尻尾。

 その先にぶら下がっているのは、赤く輝く丸い玉。


 たしかに――コアと言われればそう見えなくもない。


「……いやいや、流石にそんな。ここに来て弱点発覚とか」


『ありえませんよ。知恵の神が造った完璧なロボットですよ。そんな、もろだしの弱点なんて備えてる訳ないじゃないですか』


「お養母さんてば完全にゲームのノリになってるんだから」


『ほんと、困りましたよね。こんなんで決着したらここまで引っ張った甲斐が――』


 不穏な会話を重ねる女エルフと○サトさん。

 あり得ないという思いを補強するように、彼女達は汗を流しながら言葉を重ねる。


 しかし、この小説はトンチキ小説どエルフさん。

 どこまでもパロ元に忠実な作品。


『そんな!! なんで僕の弱点に気がついたの!!』


「『弱点あった!!』」


 青くて狸みたいな猫のロボットの弱点は、尻にぶら下がるON/OFFスイッチ。

 劇場版で、これを引っ張られて窮地に追い込まれるのもまたお約束。どこまでも、元ネタに忠実な展開であった――。


 そして、窮地から一転、女エルフ達に微かではあるが勝機が見えてきた。


『ぐへへへ!! オラッ!! そのコアをよく見せろよ!! なに隠してんだよ!! いいだろちょっとくらい!!』


『ダメ!! これに触れられたら、僕は動けなくなっちゃうんだから!! 絶対に引っ張っちゃダメだからね!! 絶対だよ!!』


「『自分から弱点をバラしていくスタイル』」


『うるせぇ!! 動けなくなるどころか、そのコアを粉々に粉砕して動力エネルギーを枯渇させてやるわい!! 完全沈黙&完全決着で終らせちゃうもんねー!!』


『うわぁ!! やめて、やめてよぉっ!!』


『やめないよーん!! 倒しちゃうよーん!! オルァアアアアアアアアアア!!』


「『うーん、そしてこの絶妙なこちらの悪者感』」


 弱点露出でさらに追い打ちをかけるジャイアントエルフ。その臀部から突き出ているコアに向かって、集中的にパンチを繰り出す。回転しているので当たりづらいが、それでも高さは変わらない――狙い続ければいつかはその拳が捉えるだろう。


 このままではまずい。

 そう気がついたデラえもんが今度は自分から動く。


 くるりその場で後転して距離をとったデラえもんは、そのまま立ち上がるととててとジャイアントエルフから後ずさりする。しかし、それを逃さない女エルフの養母ではない。起き上がりこぼし状態を解除した今がチャンスと猛追する。


 そんな彼女に向かって、デラえもんは赤い布を取り出した――。


『くらえ『絶対回避布ひらりマン○』!!』


「『久々にストレートな伏せ字ネタ!!』」


『ちぃっ!! ちょこまかちょこまかと!! 弱点露出させておいて、往生際が悪いのよ!! もう後はコアを破壊されるだけなんだから大人しくやられなさいよ!!』


『そうはいかないよ!! 僕だってやられる訳にはいかないんだ!!』


 なんでも躱す最強の布『絶対回避布ひらりマン○』を取り出したデラえもん。

 なら仕方ないわねと女エルフの養母が呟いたその時――ジャイアントエルフの背後に、どこからともなく赤い槍が飛来した。


 そう。

 まるでなんでも貫く、必殺の投擲兵器のような槍が。

 それでいて、三つ叉ではなく二つの叉に別れた、奇っ怪な槍先のピンクの棒が。


『そちらが『絶対回避布ひらりマン○』を使うというのなら、こちらも絶対に貫く武器を使うまで』


『ま、まさかそれは――』


『【性槍 ○ン○ヌスの槍】よっ!! この槍で貫けない穴はないわ!!』


『「今週は、作者疲れているのかな……?」』


 伏せ字ネタのオンパレード。

 はたして、どうなるどエルフさん。

 今週のこのノリは流石に BANされるのでは……!?


 つづく!!

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