第1307話 どエルフさんと暴走モード

【前回のあらすじ】


 暴走モード。

 打つならやっぱり入れたいですよね。(にっこり)


「おいこら、健全なWEB小説でそういうこと言うな。わからんじゃろ、大人のゲームセンターに入れないよい子たちには」


 大人でも入れない人はおるんやで。(金がない)


 正社員時代はやることなくて、死ぬほど通った(マジでだいぶ突っ込んだ)大人のゲームセンターですが、今はすっかりと金がなくなって入る気にもなれませんね。

 自由にお金を使えるってすばらしいことだなぁ。


「いや、そのお金で本なり何なり買えばよかったじゃない」


 そんな意識高いみたいなことできませんよ。

 とかまぁ、そんなパチカスネタは放っておいて。


 女エルフのレバガチャにより暴走モードに入ったジャイアントエルフ。操縦者が操縦に不慣れでも、ロボットの方が勝手に戦ってくれるなら問題ない。まさに悪魔的な発想と展開。


 しかし、動きが完全にビーストなのはどうなのか。


「エルフの品位、知性、誇りが……またいろんな同族から後ろ指をさされる」


 そもそもどエルフさんはどエルフさんという種族でエルフではないのでは?

 なんにしても、せっかくのボインボインになったのにそれの無駄使い。キング○ングみたいな暴れっぷりを発揮するジャイアントエルフ。


 はたしてこの暴走モードで女エルフたちはラスボスを倒せるのか。


◇ ◇ ◇ ◇


 ジャイアントエルフの蹴りにより派手に後方に吹っ飛んだデラえもん。

 脚を地に着けたまま背中からふっとぶ絵面は完全にロボットもの。今度は彼の方が吹き飛ばされて高層ビルにめり込んだ。


 衝撃にぐらぐらと身体をゆらす起き上がりこぼし。

 そこに――。


「オラァッ!! まだこっちの攻撃は終ってないわよ!!」


『オオオオオォオオオオオオオン!!!!!!』


 ジャイアントエルフが追撃を仕掛ける。宙を舞って一回転したかと思うと、巨大なエルフはマウント状態でデラえもんを殴打しはじめた。

 顔面、顔面、顔面――主に顔面を狙っていくのが性質が悪い。というか、腕が短くてまともに防御態勢がとれないデラえもんは、一度マウントとられると弱かった。


 ジャイアントエルフの猛襲に、起き上がりこぼしが背にしたビルにどんどんとヒビが入っていく。拳の雨あられ。一緒に乗っているELF娘も、潜在的なジャイアントエルフのパワーに青い顔をした。


 これはいけるかもしれない――。


 そう思った時、女エルフの乗るエントリープラグに通信が入る。


『ダメです!! 敵の損傷率0%!! ダメージまったく通っていません!!』


「なんですって!?」


「……あ、見てくださいマスター!! あのデラえもんの体勢を!!」


 ELF娘に言われてあらためて女エルフはデラえもんの体勢を確認した。

 手を胸の前に構えてガード体勢。二つの脚も折って尻で地面に座っている。


 まさしくその姿は起き上がりこぼし。

 どれだけ揺らしても、何度揺らしても、立ち上がってくる、子供の遊び道具。

 しかし、それが巨大ロボになることで――。


「デラえもんは、殴打されたダメージを振動エネルギーにして逃がしていたんだすよ。本体にダメージが通ってなくて、後ろのビルが崩壊寸前なのはそのため」


「……くそっ、まさかその形に意味があったとは!!」


『ふふふふ!! ロボット工学をの粋を集めたこのボディを侮って貰ってはこまるんだよ!! そして――ただ僕はエネルギーを逃がしていた訳ではない!!』


「なんだと!?」


 激しく揺れる起き上がりこぼし。その起動が∞の起動を描きはじめる。左右に揺れるデラえもんの身体。それがジャイアントエルフの視覚を幻惑する。

 高速に振動するデラえもんの身体。

 そして、ぴたりとジャイアントエルフの猛襲が止まった。


 早すぎるその動きに、狙い所が分からなくなったのだ。

 さらにさらに――。


『今度はこっちの番だよ!!』


「なんですって!!」


『秘密奥義!! 殴打永久機関デンプ○ーロール!!』


 デラえもんがその拳を乱れ打つ。その短い手は打撃系の攻撃には不向き。しかし、身体全体を揺らしてエネルギーをコントロールすることで、その足りないダメージを補う。それだけではない。


『しこたま殴られたダメージをそのまま返すぜ!!』


『ヴ!! ヴォオォオオオオオオオ!!!!!!』


「まずい、またジャイアントエルフにダメージが!!」


「すぐに距離を――って、きゃあっ!!」


 マウントポーズ故の悲劇。膝を突き、がっぷりのしかかっていたからこそ逃げ場がない。繰り出されるパンチを全て胸に受け――ジャイアントエルフが白目を剥く。

 強い。伊達にロボットの代名詞として、他の世界で認知されているだけはある。


 ロボット大戦に参戦しても、道具さえ適切に使えば最強なのではないか――などとネタにされたりするだけはある。


 ジャイアントエルフを吹き飛ばして立ち上がったデラえもん。

 今度はその丸い腕をきゅぽっと外すと――そこから灰色の砲身を伸ばした。


『さぁ、これでとどめだ!! 劇場版で利用頻度が一番高い奴レールガン!!』


「くそっ、せっかくここまで追い込んだのにここまでか!!」


「……待ってくださいマスター!! まだです、まだ手はあります!!」


「なによ!! デストロイモードに変形して!! 暴走モードも決めて!! これ以上どうしろっていうのよ!!」


「まだ【性闘衣】があります!! それで、さらにジャイアントエルフの攻撃力を底上げするんです!!」


「……今回、マジでバフアイテムばっかりだけれど、よくここまで盛ったわね!!」


「衣装あってこそのウワキツ!! 確かにこの対魔人ピッチリスーツもムチムチボディにはキツいですが、それよりももっとキツい――ふさわしい衣装がある!! マスター任せてください!! 私が、同人誌の表紙にしたら思わず手に取ってしまいそうな、絶妙にいろんな所が出そうな【性闘衣】を用意してみせますから!!」


「言葉を選べ!! あと、そういう衣装は割と同人作家さんの個性ぞ!!」


 個性ですよね。(偏見)

 けど、原作でもけっこうきわきわな格好をしてないと、そういう演出もできないので――やっぱりスケベなデザインは大事なんだ。


 衣装あってこそのウワキツなんだ――!!


「という訳で、ここでおさらばですマスター!!」


「リリエル!?」


「私はジャイアントエルフを脱出して、キングエルフさんの下に向かいます!! どうかご武運を――!!」


 鼻からリリエルの乗ったエントリープラグが射出される。

 彼女はその身体を変形させて鉄の棺桶を破壊して脱出すると、キングエルフのいる格納庫を目指して駆けだした。


「あれ、これ、都合良く逃げられただけじゃない!?」


『シン○くん!! 構えて!! 衝撃くるわよー!!』


「だぁーっ、もう――やったるわいこんちくしょうがー!!」


 デラえもんの放った劇場版で利用頻度が一番高い奴レールガンがジャイアントエルフを貫く。はたして、ジャイアントエルフは耐えられるのか。中のどエルフさんは大丈夫なのか。


 待て、明日!!

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