第1303話 どエルフさんと桃白白
【前回のあらすじ】
「シン○くん!! ○バーに乗りなさい!!」
突如現れた、筒状の帽子を被った赤い女。
海賊のコスプレをしたやけに騒がしいそいつは、なぜか女エルフを「シン○くん」と呼び、ジャイアントエルフを「○バー」と呼んだ。
いったい彼女は何者なのか。
ミサ○さんなのか、それともマリ○ちゃんなのか。
ぼやかしにぼやかす、筆者のいつものパロディ節が炸裂する。
しかし、どこかその様子というか雰囲気に親近感がある――。
(もしかして、マーチさま!?)
(そうですモーラさん。流石に、この惨状を見かねて介入しに来ました。他の神にバレるといけないので、『海賊に憧れたコスプレ女』という設定で乗り切りますよ)
(いや、それは違う方向で乗り切れないんじゃ……)
近未来が舞台ということで、最先端の存在であるVネタを擦って参りましたが、ついにセンシティブな海賊にも触れる。筆者、一番最初にハマったのは彼女でした。
今はすっかり同期の兎の方に流れております……。
というのはともかく。
「とにかく、行くのよシン○くん! ○バーに乗るの! 口答えしない!」
(このまま、変な女に勢いで乗せられた体で、ジャイアントエルフにエントリーするのよ!!)
(……やっぱり乗らなきゃいけないんですかね!?)
(貴方が乗らなくちゃ、いったい誰があんなジャイアントエルフを動かすのよ!! 覚悟を決めなさいモーラさん!! 逃げちゃダメよ!!)
海母神に尻を叩かれ、女エルフはしぶしぶジャイアントエルフにエントリーすることになるのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「けど、ミサ○さん!! どうやって○バーに乗ればいいんだよ!!」
「安心して。海賊船からエントリープラグを射出して直接ジャイアントエルフにエントリーするわ。それならままだ、ぎりぎり間に合う」
「ぎりぎり間に合うって!!」
「つべこべ言っている時間は無いわ!! エントリープラグ射出準備!!」
赤い宇宙海賊船の船首に二本の魚雷が姿を現わす。
いや、それはエントリープラグ。○バーの脊椎にニョキリと入るあれだった。
それを直接ジャイアントエルフのある基地へと打ち込んで、ダイナミック・エントリーをかまそうという訳だ。
知性のかけらも感じられない冗談みたいな作戦に女エルフが顔をしかめる。
しかし、今からキングエルフとジャイアントエルフの間に割り込むには、これくらいのことをしないと無理だ。女エルフは割り切って「分かった!」と頷いた。
「それじゃあ、エントリープラグまで案内して」
「何を言っているの!! 今から乗っている時間なんてないわ!!」
「どういうこと!!」
「射出するエントリープラグに飛び乗って!!」
「ここでタイトル回収かよ!!」
空飛ぶ柱に乗って高速移動する桃白白スタイルの移動法だ。
まさかエントリープラグを吹っ飛ばしてやるとは。流石に勘弁してくれと女エルフが食い下がる間もなく。
「エントリープラグ射出ゥ!!」
謎の海賊コスプレ女が海賊船に合図を出した。
けたたましい閃光と共にエントリープラグが射出される。
これに乗るとか普通に無理では――?
ぽかんとその様を見守っていた女エルフの腕を海賊コスプレ女が握った。なんかこう、いかにもこれからぶん投げますよという感じに。
「何をぼさっとしとるかー!! はやくミサイルに飛び乗れ!! モーラ!!」
「いやいや、そんなのどうやって」
「そんなもん気合いと根性でなんとかするんじゃい!! おらぁっ、船長がぶん投げるから死ぬ気でしがみついてこい!!」
「嘘でしょ!?」
「おらーっ!! これが、海賊コスプレ女の底力じゃぁーい!!」
神の力(腕力+膂力)。
女エルフの腕を掴んでぐるりぐるりとその場で回転すると、プロレスの技のように投げ飛ばす謎の海賊コスプレ女。彼女の手を離れた女エルフは、高速で飛ぶエントリープラグに平行して飛ぶ。
自分の眼下を飛ぶコクピット。わざわざこのエントリープラグを射出しなくても、最初から投げ飛ばされていればよかったのでは――という疑念も差し挟みつつ、女エルフはいよいよ覚悟を決めた。
「えぇい、もう、やけっぱちよ!!」
「マスター!! 大丈夫ですかー!!」
と、そんな彼女の後ろに、もう一つの影が迫る。
振り返れば――そこにはELF娘。
「リリエル!? なんであんたもここに!?」
「私も行けって、なぜかあの海賊コスプレ女に投げられてしまって!!」
「……よく見たら、これ、エントリープラグが二つあるわね?」
「……まさか、新劇仕様? ダブルエントリータイプってことですか?」
「もうパロネタをおくびも隠さない・伏せなくなってきたわねこの作品」
二つのエントリープラグ。
対して、ジャイアントエルフは一体。となれば、ダブルエントリーシステムしか考えられない。けれども、そんなエントリーする場所があっただろうか。
いや、そもそもこのエントリープラグ、どこからエントリーするのか。
コックピットを開いて、中に入りつつ女エルフはそんな疑念を抱く。すると、海賊船の通信機能を介して、海賊コスプレ女からの入電が入った。
「いい、モーラさん!! そして、リリエル!! 貴方たちは、あのジャイアントエルフにこれからエントリーするわ!! 侵入経路は、浜乙女博士たちがなんとかしてくれるからそれを信じて!!」
「……いや、けど、エントリーするって、どこから」
「穴からに決まってるじゃないの」
「いや、穴からって、どの穴ですか」
「そんなの言われなくても分かるでしょう!! エントリープラグの意味と、○バーの秘密が分かっているなら、どことどこにそれをエントリーするかなんて、自明の理というもの!!」
「……いやいや、ちょっと待って!! 一応この小説、下ネタはやるけれど、健全・健康・お子様にも安心して読んでいただけるレーティングなんだけれど!!」
「そんなん言うたら、元ネタだって昼日中に放送しとったじゃろがい!! 当時は何の問題も無く放送出来ていたものが、何で今だと問題になるんじゃい!!」
「あれは脊椎からエントリーしてたじゃないのよ!! 元ネタはともかく!!」
※ 気になったよい子の皆は、エントリープラグのWikiとかを読んでみよう! こういうエグいネタを少年向けアニメというオブラートに包んでやったから、あのアニメは神話になったんだぞ! 知らんけど!(当時見てなかった勢)
エントリーしろと言われたけれど、そんな所からエントリーするとは思いもしなかった女エルフ。ちょっと勘弁してと言いながらも、既に彼らが入ったエントリープラグは、ジャイアントエルフの格納庫に向かって滑り出していた。
「だめだめダメよ!! そんな所から巨大ロボにエントリーなんて!!」
「しかもダブルエントリーですよ!! 大惨事じゃないですか!!」
「大惨事とかいうな、想像してまうやろがい!! だーっ、もう、誰かこのトンチキ展開を止めてくれ!!」
叫んでみてもどうしようもない。
もはや、女エルフとELF娘。二人のジャイアントエルフへのダイナミックエントリーは止まらない。
「「こんな汚いエントリー方法ヤダァーッ!!」」
エントリーのための通路に、女エルフとELF娘の悲痛な叫びが木霊した。
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