第1292話 どキングエルフさんとターボ

【前回のあらすじ】


 キングエルフ、激○乱舞を入れる。


「違う。そうじゃない」


 まるでスロットの演出みたいに次の街までの道を疾駆するキングエルフ。

 飛び出してくる世紀末モヒカンボーイたち、中右左、左中右、右左中と押し順に従って吹き飛ばす。回せ回せ、全力で回せ。閉店30分前ARTじゃ。どうせここから揺り戻し、取り切れぬほど爆上乗せがはじまるんじゃ……。


 ちくしょう、なんで取り切れる時間に入らないんだART&上乗せ特化ゾーン。


「あんた、スロットはもうやめたのよね……?」


※ kattern氏は、前々職で仕事のストレスからパチスロにドハマリし、全財産溶かすという愚行を三年ほど続けた後、精神系の病気を発症して無事退職して今はスロ沼生活から解放されております。それでも時々、動画とか見ちゃうよね。


 今はもう規制でゲームシステムとかだいぶ変わってるんでしょうね。(遠い目)


 とにかく。


 スロッ○のART演出みたいに激走するキングエルフ。彼は襲いかかる敵を倒して、無事に女エルフの元に到着することができるのか。そもそも、襲いかかってくる山賊達はなんなのか。あと、スロ的に継続抽選とかもあるのか。


 そんな感じで、今日もすっとぼけファンタジー小説はじまります。


◇ ◇ ◇ ◇


 キングエルフ達は走り続けた。それはもう、怒濤の勢いで走り続けた。

 突如高笑いと共に現れたタンクトップの男を殴って吹き飛ばしたり、空中に板一枚で浮いている青い機械鎧を念力で倒したり、よくわからない作戦を発動させて『エステ隊優勢!!』でストックを獲得したりしながら、疾走した。


「いやまぁ、機械鎧に乗ってますし、元ネタもありますけれどいいんですかね?」


「いいだろ。もう10年前くらいの機種なんだから」


 しかし、幾らキングエルフといえども走りっぱなしは疲れるもの。ついにその脚から力が抜けてがくりと肩を落としたその時、「うわーっはっはっは」とどこからともなく野太い笑い声が聞こえてきた。


 気がつけばそこは廃墟。古代の神殿らしき場所。


「……まずい、ゲーム数が切れたか」


「さっきからちょいちょいスロカスにしか分からないネタ挟むのやめろ。強敵に見つかったかとかでいいだろ」


「セイソさん、だからなんなんですかスロカスって」


「いいからアレックス。お前はこういう悪い遊びを覚えちゃいかんから」


 柱の陰から現れるむくつけき男。バインバインにビルドアップした身体を持った格闘家は、キングエルフに向かってその野太い腕を向けた。


「キングエルフ!! うぬの膝はその程度か!!」


「ぐっ……うあぁぁああああああっ!!」


【激○乱舞 継続!! ROUND2!!】


「「いや、バトルせんのかい!!」」


 膝に来ているキングエルフを心配して見に来てくれた親切なおじさんだった。

 彼は、「走ってる途中で飲みなさい」と、親切に飲み物を渡してくれた。スポーツドリンク。オレンジフレーバーの奴だった。


「もう、何がなんだかだ」


「いや、しかしゲーム数(膝)に限界が来ているのは間違いない。タンクトップ男をしばいて上乗せしたはいいが、それも切れてしまった。ここいらで、なんとかしてゲーム数(膝)を上乗せ(回復)しておきたい」


「だからスロカスしかわからん説明やめてもろて」


 キングエルフの小ボケに食いつく仮面の騎士。

 するとそこに火炎放射器をまき散らす眼帯のELFが現れた。


 色は黒。これは期待大。少し慎重に、キングエルフはエルフリアン柔術奥義「脳漿炸裂爆散拳」をヒャッハーELFに叩き込んだ。

 吹き飛ぶELFそれと共に、昼だというのに夜空に星が輝く。

 それは見事な柄杓の形をしていた……。


【激○乱舞!! TURB○!!】


「もう、何がなんだかだよ……」


「よし!! これで上乗せ(回復)特化ゾーンに入った!! 黄色いモヒカンELFをしばき倒すだけで50%だ!!」


「とりあえず、これでイーグル市までは完走できそうだな……」


 キングエルフと仮面の騎士は再び走り出した。

 するとそこへ、立ち塞がるようにまた人影が飛び出してくる。


「そこまでよ!!」


「もう誰よ今度は!!」


 そこに立っていたのは、なんか久しぶりにファンタジーっぽい人影。緑色の鎧に身を包んだ髪の長い女だった。顔にはメガネをかけている。


 顔立ちから伝わってくるガードの堅さ。

 間違いない。


「こいつは見るからに強敵。連チャンのストッパーになるタイプの奴」


「……初代アテ○さんじゃねえか」


「しかし私は負けない!! たとえ相手が女性だろうと!! 上乗せのために尻を叩くタイプのシステムだろうと!! 心を鬼にして戦う!!」


「たしかにシステムは同じだけれど!! 北○の勝利演出を女の子に変えただけって当時は言われていたけれども!!」


「いくぞ!! こちらの尻の準備は十分だ!! 叩かれていい覚悟のある者だけが、叩く権利があることを教えてくれる!!」


「あぁもう、お好きになさってどうぞ……」


 激闘に次ぐ激闘。その後も、無理があるアフロの学生、双子のギリシャ人っぽい格闘家、悪代官、エトセトラエトセトラ……。

 とにかく戦い続けてキングエルフは大地を駆け続けた。


 そしてゲーム数(膝)を上乗せ(回復)し続けた。


「やはりTURB○は上乗せ(回復)量が段違いだな」


「もうお前がいいならそれでいいよ」


「しかし、ゲーム数(膝)が回復しても、やはり人間の脚で走るのには限界が」


「いまさら」


「むっ、アレは!!」


 その時、またしても唐突に崖が現れる。

 アマゾンなのに崖が多い。ここはギアナ高地とでも言うのだろうか。

 なんにしても、切り立った高い崖の上に人影が見える。また、あの少年だろうかと思えば違う。今度の人物は、背景に雷鳴を背負っていた。


 弾ける白い閃光。浮かび上がる人影。彼はとある乗り物に乗っている。

 そう――黒く逞しい大きな馬に。


「なんびともこの○王を止めることはできぬ!!」


「「さっきの優しいおっさん!!」」


「しめた○王乱舞だ!! これでさらに上乗せ特化ができるぞ!!」


「「これ作者大丈夫!? 疲れてるとかそういうのじゃない!? ネタが雑過ぎない!?」」


(天の声)「疲れています」


 さぁ、乗っていけとキングエルフの前に飛び降りた、飲み物をくれた優しいおじさん。彼が駆る馬に乗ってキングエルフは進む。さらに進む。


「待っていろフェラリア!! 今、行くぞ!!」


 湿った大地を踏みしめて暴れ馬と暴れエルフが行く。

 いつしか、周囲には比較的まともな格好のELF(衛兵っぽい)のが溢れていたが、それも蹴散らしてキングエルフ達はイーグル市の中枢を目指した。


 そのたびに、ドカドカドカーとフロア全体に響き渡りそうな、馬鹿でかい上乗せ(回復)音がアマゾンを震わせるのだった。


「俺、この話で流石にこの小説、公開停止喰らうと思うわ」


「よかったじゃないですか。作者も、もうあきらかにネタ切れで、この章の締め方とかよく分かってないんだから。むしろ助かるまでありますよ」


「いや、流石に読者に失礼だろ……」


 失礼であった。


☆すみません、明日の更新はちゃんとやりま―――――――す!

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