第1282話 どキングエルフさんVSロ○ビッチ

【前回のあらすじ】


 がんばれロ○コン村には三人のロ○がいる。


 金髪ツインテールで人のいない所でいびってくる王道ロ○!!

 褐色スポーティッシュで人の前で弄ってくる後輩いたずら系ロ○!!

 ゴスロリスタイルオタクに理解があると思ってない煽り系ロ○!!


 ロ○コンにぶっささる個性を持ったロ○たちが待ち構える、がんばれロ○コン村へと急ぐキングエルフたち。彼らは無事にロ○の攻撃に耐えて、【ダブルオーの衣】を奪取することができるのか。


 それとも「ざーこざーこ」されてしまうのか。

 はたまたもっと酷い、この小説はじまって以来のセンシティブ展開に発展してしまうのか。エルフVSロ○ビッチという、二大人気属性頂上決戦がここにはじまる。


「……ロボよね? ロボなのよね?」


 伏せ字の中身の想像は読者のみなさんにお任せしております。

 という訳で、不穏しかないロ○コン村編開幕。はたしてキングエルフは無事に帰ることができるのか。というよりも、元ネタ的に危うい仮面の騎士の運命やいかに。


 今週もより道ばかりだ、どエルフさんはじまります……。


◇ ◇ ◇ ◇


 がんばれロ○コン村はのどかな街だった。

 イーグル市・ダイナモ市と異なり大きなビルもなければ、前衛的な近代建造物もない。ちょっと中央連邦共和国の街並みが小綺麗になったような、そんな都市。


 色あせたアスファルトにコンクリートブロックの壁。

 生け垣の庭の向こうで吠え立てる犬に、のんきに屋根の上で眠る猫。

 現代日本とそう変わらない街並みに、どこかキングエルフたちは安堵の念を覚えていた。いったいどんな魔界都市だろうかと警戒したが、これなら大丈夫そうだ。


 そんな街の大通りを歩きながら、彼らが向かっているのは――。


「この道路の突き当たりにある、ロ○コン村公園にロ○コン三銃士はいつもいるんだよ。毎日毎日、三人でつるんで誰をからかおうか計画しているんだ」


「むぅ、そこまで来るとむしろ敬意まで感じてしまうな」


「筋金入りのサディストなんだよアイツらは……」


 車椅子に乗せた性郷どんを押して進むロ○コン。

 心なしかその足取りは重い。


 先導してパーティーを案内しなくてはいけないというのに、どこか迷いを感じさせる足取りに、キングエルフの心が痛んだ。


「もうすぐだよ、ほら、あそこ……」


 交差点の前に止まったロ○コン。指差した向こうには、なかなかの広さの公園がある。まばらに木々が植えられて、踏み固められたグラウンドが広がり、隅にはよく手入れされた遊具が置かれている。


 そんな公園のベンチに腰掛けて三体のELFがなにやら談笑している。

 手にはアイスキャンディ。何故か色とりどりではなく宇治金時。見た目に反してアイスのチョイスがちょっと渋かった。


 じゃぁ、僕はこれでと後ろに下がるロ○コン。電柱の影に隠れてぶるぶるとその機械の肩をふるわせる。よっぽどロ○コン三銃士に会いたくないのだろう。

 知り合いの彼が居てくれた方が何かと話はスムーズに進みそうだが、無理強いすることはできない。


 横断歩道の信号が変わったのに合わせて、キングエルフと仮面の騎士、少年勇者の三人は公園へと歩み出した。


 一歩、その入り口の柵を越えたその瞬間のことだった。


「……なんだ、空気が?」


「おいおいおい。やっこさん、公園に入っただけで気づきやがった」


「こっちも見ていないのに。お二人とも見た目に騙されてはいけません。あの三人は間違いなく手練れですよ。気を抜けば我々の命も危ないかもしれません」


 高まる緊張感。ヒリつくキングエルフの肌。引き締まるケツの穴。

 そしてたなびく白いふんどし。


 気圧されている場合ではない。今は、人類の未来を救うための戦いの最中だ。なんとしてでも成さねばならぬ理由がキングエルフにはある。


 身体を襲うプレッシャーに耐えて彼は一歩を踏み出す。

 公園の中央。茶色い木製のベンチに腰掛けているロ○ビッチELFたちの前に、彼は堂々と立ち塞がった。気配にすぐにロ○ビッチたちが顔を上げる。


「少し尋ねたい。君たちがロ○コン三銃士のリカ、ナツ、シュリで間違いないか?」


 一触即発。寄らば斬るという殺気を放ってキングエルフが問うた。

 そのただならぬ気配に怯えるように三人のELFは息をのむと――。


「「「へ、変態だぁああああああああっ!!!!!!!」」」


 しごくまっとうなリアクションをした。


「変態とはなんだ!! 私は西の森のエルフの長!! エルフの中のエルフこと、キングエルフ!! 変態なぞでは断じてない!!」


「「「金髪、ロン毛、ふんどし、マッチョの変態だぁあああああっ!!!!」」」


「ふざけるな!! 私のどこに変態要素があるというんだ!!」


 全部だった。もうなんというか、用語の余地がないほどに変態だった。

 ふんどし一丁のエルフという言葉だけでも変態としては充分だろう。


 これまで平然とこのスタイルでやって来たから疑問にも思わなかったが、キングエルフの格好は変態以外の何ものでもない。ファンタジーならともかく、現代世界ではすれ違った人があわてて通報するレベルのひどい格好だった。


 というかパンツだからね。露出狂だね。

 祭でもないのにふんどし一丁はまずいね。


 今更ながらの正論が突如としてキングエルフに襲いかかる。


「近づかないでください変態!! 今、警察を呼びました!!」


「だから違う!! 私は変態などでは断じてない!! エルフリアン柔術の創始者、キングエルフ!! 真の名を、チ〇包チ〇ポウ 金玉キンギョク!!」


「名前までセクハラ!! 卑猥な言葉を口にして迫ってくる変態!!」


「誰の名前がセクハラだ!!」


「きゃーっ、いやーっ、きゃーっ!! やめてっ、たすけてーっ!! おまわりさーん!! マッパのガチムキふんどしエルフに乱暴されちゃうーっ!!」


「くそっ、さっきから聞いていれば好き勝手なことばかり。ロ○コンも恐れる訳だ。こんなあることないことを言いふらされてはたまったものではない……」


 全部事実だ。


 まるで自分が被害者のように言っているが、全部事実だ。

 冷静になってみると仮面の騎士たちからも擁護することはできない。


 ふんどし一丁の男が、公園で遊んでいる女の子達におもむろに声をかける。こんなの逮捕されてもしょうがないだろう。


 事案だ事案。


 そうこうしているうちにサイレンの音が街に響き渡る。

 慌てて飛び出してきた警察官に取り押さえられて、キングエルフは公園の外へと連行されて行くのだった。


「離せ!! 私は世界の平和のために、あのロ○コン三銃士を倒さねばならないんだ!! 【ダブルオーの衣】を手に入れなければならないんだ!!」


「ロ○ELFの服を脱がそうとするなんて、こいつは度しがたいクズね……」


「ちくしょう!! これがロ○コン三銃士のやり方かぁ!!」


 いや、自業自得だった。

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