第1278話 どキングエルフさんと決戦の時

【前回のあらすじ】


 ピキピキの実によりピキってしまったワンコ教授が止まらない。

 知恵の神陣営の都市を破壊し、破壊神陣営の都市にもミサイルを放ち、もうやりたい放題。好き勝手しまくるワンコ教授。


 しまいには、ア・マゾ・ンを守る為に作られた鉄人兵を起動させて――。


『ご命令を。我ら鉄人兵団はマスターの御心のままに』


「えーっとね、そーじゃーねー。このア・マゾ・ンを、ぎったぎったのめっためったのけっちょんけっちょんのぼこぼこにしてほしいの」


『……え?』


「あ、伝わらんかったかな? そいじゃ、もいっかい言うでね」


『……あ、いえ、そういう訳ではなくその』


「このア・マゾ・ンを、ぎったぎったのめっためったのけっちょんけっちょんのぼこぼこのぽいにして壊滅してやって」


『……いや、私たち、ア・マゾ・ンの鉄人兵でして』


「やって」


『……はい』


 圧をかけて自らの手で破壊させるという行動に出るのだった。

 流石に元ネタでもこんなひどいことはしない……。

 いや、けど、今年の七夕企画……。(ちょうどこれ書いてる頃にやってた)

 もうちょっと、リスナーの気持ちを汲んであげてもいいのでは……。


 あ、違うんです、そうじゃありません!! 

 私はコ○のすることに文句を抱いておりません!!

 ですから指は!! 指を捧げるのだけは勘弁……!


「いい加減にしとかないと、本当に苦情が来るかもしれないから……ネ?」


 パロ満載のこの作品が忖度してどうするんだというのもありながら、最近ネタがすっかりV経由のものになってしまったなと反省しております。

 そんなこんなで、切り替えるためにもここいらで視点変換。


 女エルフ・女修道士シスターとも別れて活動している、キングエルフたち宇宙戦艦オーカマの視点にシフトしようかと思います。


◇ ◇ ◇ ◇


「ダイナモ市上空にミサイル接近。防衛拠点から迎撃レーザー照射します」


「搭載していたウィルス散布システムの破壊に成功。ミサイルは軌道を逸らして都市西側に着弾。被害は計算中です」


「……うーむ。いよいよこの戦いも大詰めということか」


 宇宙戦艦オーカマブリッジ。

 オペレーターから報告される情報と、正面のディスプレイに表示される映像を眺めながら艦長が難しい顔をする。

 結構シンプルな顔をしているのに、どうしてそんな悲壮感が出せるのか。腕を組み、顎先を触れるだけでなんだか最終決戦前のような空気が彼の肩から漂った。


 そんな艦長の背後で扉が開く。

 振り返るとそこにはいつもの三羽鴉の姿があった。


「……キングエルフ。それにセイソくんにアレックスくん」


「どうやら敵側の陣容が崩れだしたみたいだな」


「ほーっ、知恵の神側の都市が壊滅とは恐れ入る。というか、やっぱり黒幕は知恵の神のアリスト・F・テレスだったのか。そうだろうなとは薄々思っていたんだ」


「神々同士が争うだなんて、いったい人類はどうなるんでしょう……」


 制服に着替えて(一人はふんどし)準備万端。

 いつでも出動できるという状態の三人。最終決戦を前に気合いは十分だ。


 女エルフ達が【MM砲】を放ってから、ダイナモ市にもゾンビウィルスは散布されている。街は正気を失ったELFたちで溢れ、かろうじて外部からやって来たオーカマスタッフたちだけが、ウィルスの餌食にならずに済んでいた。


 市の制御コンピューターを掌握し操れる状況になっていたからこそ、なんとかパンデミックは最小限の状況で押しとどめられたし、ミサイルも迎撃することができた。 

 もし掌握が遅れていたらと思うとゾッとする話ではあるが――。


「さて。ゾンビウィルス騒ぎといい、ミサイルといい、どうやらフェラリア(女エルフの本名)たちが、なにかしでかしたようだな」


「そのようだ。なんとかして彼女達と連絡を取りたい所だが……」


「メッセンジャーとして向かったティトのニセモノからの連絡はなし。ふむ、我々はここでどう動くべきか」


 知恵の神を攻めるならば、都市機能が麻痺している今が最大のチャンスだ。

 しかし、迂闊に攻めてしまっていいものか。行動をするにも情報が足りない。

 モニターに広がる損害状況ばかりを眺めているのもなかなか歯がゆい。


 渋い顔をする男達四人。

 するとそこに『緊急入電!!』とオペレーターの声が響いた。

 続いて、画面にどアップでELFの顔が表示される。金髪縦ロール。黙っていればお嬢さま。口を開いてもお嬢さま。


 現れたのは、先ほど女エルフと激戦を交えたお嬢さまELFだった。


『ごきげんよう。こちらイーグル市最終防衛ライン鹿角館!! そちら、ダイナモ市を暫定的に制御している、オーカマスタッフでよろしくて!!』


「イーグル市? いったい、君たちが我々に何の用だね?」


『モーラさんから伝言を預かりました!!』


「フェラリアから!?」


 面識のないELFからぽっと出た仲間の名前。信用するにはそれで充分だった。

 息を吐く間もなくお嬢さまELFは通話の要件を切り出す。


『彼女から、至急【ダブルオーの衣】を回収したいと要請されています。既にイーグル市にある衣は回収済み。そちらが保管されている【ダブルオーの衣】と、頑張れロ○コン村の【ダブルオーの衣】をすぐに用意できるかとのことです』


「……なるほど。ダイナモ市にある二枚については既に回収済みだが、ロ○コン村のはちょっと分からないな」


 遭遇戦で偶然手に入れた一枚と仮面の騎士と少年勇者が頑張って手に入れた一枚。

 ダイナモ市にあった【ダブルオーの衣】は、今のところこの二つだけだ。残りの情報については特にないので、あとはロ○コン村にあると考えられる。


 既にロ○コン村を率いているロ○コンと、彼が世話していた性郷どんとは和解済み。話をすれば【ダブルオーの衣】もきっと都合を付けてくれるだろう。

 顔を見合わせて無言でそんな算段をするキングエルフたちだった。


「分かった。それでは、残りの【ダブルオーの衣】を回収次第、そちらに向かわせてもらおう。ランデブーポイントの指定は可能か?」


『イーグル市の市役所にモーラさんたちは立てこもっているみたいですわ。ゾンビELFたちの猛攻が激しくて、そこから移動するのは難しいようで、できればそちらに向かっていただけると』


「承知した。連絡感謝する」


 感謝の印とばかりに尻をモニターの方に向けると、きゅっとふんどしを締め上げるキングエルフ。代わらぬその素振りに、すっかり回復したなと安堵するクルーたち。

 セクハラ以外の何ものでもないエルフキングの行動だったが、幸いにも彼の尻は、鹿角館のモニター側には見切れて入っていなかった――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る