第1201話 どエルフさんとスク水回

【前回のあらすじ】


 仮面の騎士と少年勇者が【ダブルオーの衣】を求めて迷い込んだのは学校。

 そして、その目的のアイテムは既にそこの住人――生活指導担当の体育教師の私服として既に装備されてしまっていた。


 なんとかして「○してでも奪い取る」以外の選択肢を選びたい仮面の騎士と少年勇者。そんな彼らに、協力者の老教師はとある作戦を持ちかけた。


「あるんじゃよ。真面目な少年漫画でも、ちょっとお色気青年漫画でも、ガッツリえちえち成年向け漫画でも、男の妄想炸裂同人漫画でも――体育教師がジャージを脱ぐ瞬間というモノがな!!」


 そう、その瞬間とはすなわちプール。

 プールの授業が行われれば、いつもジャージ姿の体育教師も水着になる。


 すなわち。


「次回!! 待望のプール回!!」


「「やったー!! どエルフ300歳以外のスク水カットだ!!」」


 みなさまお待たせいたしました。これまでマニアックな300歳エルフが、スク水だの白スクだの、魔法少女服だの着て参りましたが――エロを売りにしていく小説家として、ここいらでちょっとまたサービス回をやっておこうと思います。


 ファンタジー作品のどエルフさんで――まさかの高校スク水プール回です!!


「いや、どうせ男のスク水とかそういうオチでしょ?」


 はい! お約束!


◇ ◇ ◇ ◇


 場所は変わって異世界ビッ○カメラ。

 休憩スペースで野営しようとして大失敗。スプリンクラーを誤作動させてしまった女エルフ達は、水浸しになった所を駆けつけた店員に保護された。


 てっきり怒られるかと思いきや――「おけがはありませんか!?」と優しい対応。

 流石に申し訳なくなって女エルフ達が詳細を説明して謝ると、なんだそうでしたかと快く許してくれたのだった。


「次からはどうか外で野営はしてくださいね。ここは広いとはいっても建物の中ですから。ダンジョンと勘違いされては困ります」


「はい、気をつけます」


 軽い注意で済んだ女エルフたち。お客様は神様、そして、ロボットは人間には逆らえないとはいえこの処分はどうなのだろうかと、一人ELF娘だけが複雑な表情を見せるのだった。


 とまぁ、そんなこんなで再び地下水路。


「服も濡れちゃったし、これから水路経由で高軌道エレベーターに侵入することを考えれば、やっぱり動き易い服装の方がいいわよね」


「だぞだぞ!! このスク水って服は、着てても水の中で動き易くて助かるんだぞ!! すいすーいって動くことができるんだぞ!!」


「見てみておねーたま!! エリィ、バタ足できますよ!! ほらーっ!!」


「ちょっとダメですよエリィさん。大人しくしてください。あぁっ、もうっ、また胸の中に水が溜まって……うぅっ、このスク水という着物、本当にこれで動き易いんですか? 窮屈なだけでは?」


「あやー、コーネリア殿には不評のようですねー。マスター、どうしましょうか、ご命令とあらばそこのホルスタインに、自分がどれだけ恵まれた状況にあるのか拳で教えてやろうかと思うのですが?」


「やめなさいリリエル。そんなことしても虚しくなるだけよ……」


 なんとまさかの全員スク水回。

 女エルフパーティー、濡れて動きづらくなってしまった衣服を脱ぎ捨てて、全員でスク水に着替えての大行軍。ほの暗いスケベな水路をすいすいと、彼女達は紺色のレオタードを身につけて進んでいた。


 まぁ、新スク水(太ももまでぴっちりと布があるタイプ)だが。


「だぞ!! さぁ、みんな僕についてくるんだぞ!! 夜目は利かないけれど、匂いで暗い水路もすいすいすーいと目的地まで案内しちゃうんだぞ!! 獣人の感覚の鋭さを頼ってくれていいんだぞ!!」


 前に出るのはワンコ教授。

 ここまでの行程で、地下水路に危険が無いのは分かっている。一時的に地上には出たけれど尾行されている気配もない。これなら大丈夫だろうと、女エルフも安心してワンコ教授に先頭を譲った。


 ぱたぱたとバタ足で水路を泳いでいくワンコ教授。

 その後ろをすいすいと女エルフ達が底を足で蹴って進む。


 意外に深い地下水路。胸の辺りまでとっぷりと浸かっての移動は、抵抗と浮力でどっこいどっこい。かろうじて進行方向に水が流れているのがありがたいくらいだ。


 水着に着替えてしまったことで開放的になったのか、女エルフが仰向けになって流れに身を任せる。もうすっかりと濡れることなどお構いなしだ。

 上水道ということで水質にも問題が無いのが拍車をかけている気もする。

 これからこの水を口にするELFもいるというのに――。


「なぁに、エルフのエキスがしみ出した水となれば話は別。飲めばますます元気になるというもの。むしろ喜んで貰いたいものよ」


「……いきなりどうしたんですかモーラさん?」


「マスターどうされました? スク水なんていうヤバいアイテムを装備することに、いまさら羞恥心を感じて脳味噌が焼けちゃいましたか?」


「うっさいわい!! 割とこの小説ではしょっちゅう着せられとるわい!!」


 そんな小ボケもそこそこに女エルフ一行は、上水道の出口へとやって来る。

 工場の時と同じようにひときわ大きい排水溝。そこをのぞき込み、女エルフ達が無言で頷き合った。ぴちょりと水を滴らせて、水の中からコンクリートの通路へと登ろうとする――が。


「あいてーっ!!」


「モーラさん!?」「モーラ!?」「おねえたま!!」「マスター!!」


 這い上がろうとした所でずるりと身体を下水道の中へと滑らせる。

 びしゃりと水面が揺れたかと思えば、女エルフがうつろな目をして仰向けになってそこに浮かんでいた。


「……嘘でしょ。登れないんだけれど」


「……いやいや、そんなバカな」


 なに言っているんですかという感じで女修道士、同じように女エルフの隣で通路へと上がろうとする。そして――。


「あれーっ!?」


「ほら見たことか」「コーネリア!!」「コーネリアおねえたま!!」「大丈夫か、おっぱいでか美!!」


 女修道士シスターも華麗にすっころんで水路に落ちる。


 ぷかり仰向けになって女エルフの横に流れる女修道士。


「うーん、ちょっと大人でも登るのがキツい高さですね」


「だわよね。ちょっとどこか登れる所を探さないと」


「……だぞ。そうは言っても、近くに梯子なんてないんだぞ」


「前に上り下りようの梯子を見たのは、だいぶ前ですよおねえたま」


「これは……ちょっと予想外の出戻りですね」


 とほほと息つく女エルフ。とりあえず、前にあった所まで戻りましょうか――と、彼女は背泳ぎで水路を戻るのだった。


 うぅん。


「しかしまぁ、色気のないサービス回ですねマスター」


「これもいつものことよ。アンタも、うちのパーティに入ったからには、こういう空気になれなさいリリエル」


 したって希望をかえして。

 もっときわどいポーズとか意味ありげな発言とかして。


 やっぱりすっとぼけギャグ作品のこのどエルフさんでは、スク水に着替えてもたいしたシナジーが発生しないのだった。

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