第1175話 どエルフさんとELF娘

【前回のあらすじ】


 テコ入れだよどエルフさん!!


 ついに作者が「こんなオバサンエルフにいったい誰が萌えるんじゃい!! なにがどエルフさんか!! 普通にかわいいエルフにしとけばよかったんやんけ!!」と、なってしまったのでかわいいELF娘がここに参戦。


 新たなヒロインは「リリエル」ちゃん。

 名前からして強ヒロインの風格ただよう彼女。しかも、ちょっとポンコツ。そして、セクシーなセクサロイドときたものだ。


 間違いない、これは人気が出る奴――。


「いや、本気でヒロイン交代とか考えてたの?」


 もちろん嘘に決まってるでしょ。

 この作品ははじめた当初から、年増エルフを弄り倒すことをコンセプトにしている色物作品。最初から最後まで、モーラさんがヒロインで主人公。なので、まぁ、ぜんぜんヒロイン交代とかはありません。


 パーティーに加わるかどうかは、今後の使い勝手の良さかなぁ。


「まぁ、確かにこの四人所帯にちょっとマンネリ感が出て来たところだものね」


 長くやってるとどうしてもね。

 ちょっとくらい環境を変えないとやっぱりそこは難しいよね。

 ということで、今後「リリエル」がどうなるかはまだ決めておりませんが、どうやら女エルフ達に新たな仲間が加わる様子。


 さらに彼女は【性闘衣】なるパワーワードを持ち出してきて――。


 という所で、本編でございます。


◇ ◇ ◇ ◇


【アイテム 性闘衣: 破壊神が作った【ダブルオーの衣】。それをさらに束ねて作り上げるチート装備。身につけたモノは破壊神の権能をその身に一身に受けて、次元さえも操る強大な力を手に入れるという。まさしく神へと至るための装備。文句なしぶっちぎりのオーバーツである】


「またそんな物騒なアイテムを作ってからに」


「破壊神さん、ほんとこういうアイテム作るの好きですね」


「そう仰らずに。ライダーン様としても、将来人類が神々と戦うことになった時のことを考えてこれをお作りになったんですから。神と対等に殴り合うには、人類の設計はいささか脆すぎる。これくらいのベースアップをしなくては、とても戦えぬ……そう思って、ライダーン様は【性闘衣】を作ったんです。けど、それはあまりにも、人間の身体に付加が高くて。それで【ダブルオーの衣】として分割したんですね」


「なんかシーマ村の社長から聞いてた話と違うけれど……?」


「あ、シーマ村の社長さんと会ったんですね。そうそう、彼女に原材料を渡して仕立て直していただいたんですよ。【性闘衣】を九つに分割して、それからさらに毛玉に変えて、彼女に渡したんです。おかげで良い感じにパワー分散できたんですが……」


 詳しいことはさておいて。

 どうやらこのELF娘は【ダブルオーの衣】に縁があるらしい。これは確かに渡りに船。シーマ村の社長から、衣の破壊を頼まれていた彼女達としては、それの在処が分かるのはありがたかった。


 まぁ、もののついでの話ではあるが。


「なるほどね。【ダブルオーの衣】を着ていたのはそういう理由ってことか」


「はい!! という訳で、【ダブルオーの衣】を探していらっしゃるなら、私を連れて行って損はありませんよ!!」


「いや、ダブルオーの衣より【マジックミラー砲】の在処の方が気になるんだけど」


「あー、いやー、そっちは私の管轄外なんですよねー、もーしわけなーい」


「絶妙に使えないわね」


「そんなこと言わないでくださいよマスター!! 私、お役に立ちますからー!!」


 女エルフに泣いてすがるELF娘。

 お調子者なこの感じ、ますますなんだかヒロインっぽい。そういう媚びた態度が取れない女エルフは、少し彼女の反応に眉をひそめた。

 そんな彼女の不機嫌をさっちして、まぁまぁと女修道士がフォローを入れる。


 連れて行くか行かないかで言えば、もう連れて行くしかない。

 こんな危険なELFを、みすみす野放しにすることはできない。

 目覚めさせてしまったからには、責任を持って女エルフが世話するしかなかった。それは分かっているのだが。


「ねー、マスターマスター、お願いしますよー!! 私これでも、けっこうマスターに尽くすタイプなんですから!! マスターがやれって言えば、どんな残酷な任務も過酷な任務も、心を殺人マシーンにしてやり遂げますから!!」


「……物騒なのよね、この娘」


「だぞ。前に一緒に旅した、センリとはまた違う感じの危うさなんだぞ」


「からくり娘って、こういうタイプが多いんでしょうか? もしかして、破壊神さまの趣味とかですかね?」


「お願いしますよマスター!!」


 のっけからすごい懐かれっぷりに女エルフも青い顔。濃くて太い愛情を、向けられるのは新女王で馴れているが、もう少し順序を追って欲しかった。

 ぐいぐいと女エルフの腕を握って揺するELF娘。


 だはぁと根負けしたようなため息が女エルフから漏れた。


「分かったわよ。その代わり、ちゃんと言うこと聞くのよ。勝手に暴走してデストロイとかしたら、アンタ速攻燃やすからね」


「おっとマスター!! 私の身体はこう見て、超合金『エルフニウム』で出来ているんですよ!! そんじょそこらの攻撃で、どうこうなるほど柔じゃないです!! ふふふん!!」


「……へぇ、ウォターカッター!!」


「ぎゃん!!」


 高出力の水の刃をELF娘に向ける女エルフ。

 容赦のない確認方法にちょっとパーティーメンバーもドン引き。

 しかし、ELF娘が宣言したように、女エルフが使う魔法の中でも取り分けて破壊力の高いそれを、彼女はぴんぴんとした感じで耐え抜いてみせたのだった。


 ふむと女エルフが何か納得した感じに手を降ろす。


「ひどいですよマスター!! 暴力反対!! ELFにも人権はあるんだー!!」


「人を滅ぼす兵器がなに言ってんのよ」


「あんまりだぁ!! 酷いです皆さん!! マスターが、私が逆らえないのを良いことに横暴を働く!! ELF搾取だ!! DVエルフだ!!」


「連れてって欲しいのか欲しくないのかどっちなのよ。まぁ、アンタが頑丈なのはしっかり分かったわ。これから、盾としてしっかり使わせて貰うから安心しなさい」


「やったー!! って、盾役イヤですー!! 私、痛いのとか得意じゃないんですよ!! 後衛に回してください、殺人ミサイル撃ちますから!!」


「なおさら回せるか。巻き込まれる……」


 とまぁ、なんやかんやありつつも、とりあえず女エルフ達はELF娘をパーティーに迎え入れたのだった。

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