第1174話 どエルフさんと性闘衣
【謝罪】
すみません、書籍発売もなんですけれどちょっと身辺でゴタゴタが続いておりまして、疲れ切っておりました。投稿が遅れたことお詫び申し上げます。m(__)m
【前回のあらすじ】
壁の中から出て来た謎の銀髪ELF。
なんだなんだどうしたどうしたと女エルフ達が集まれば、そこでアクシデントが起こるのはいつものこと。うっかりと起動スイッチを押してしまったらもうお約束。
『ELF起動。新たなマスターの生態情報を検知。登録者――300歳Overウワキツエルフ。名称モーラ。愛称どエルフさん。これより本機体は、新たなマスターの指揮下に入ります』
「おはようございます。マスターモーラ」
「しゃ、喋った」
女エルフをマスターとして起動した古代のELF。
破壊神の使徒らしく、目覚めるやすぐに人類を滅ぼそうと物騒なことを言い出す彼女だが、なぜか立てない動けない。ブリッジ状態から姿勢が変わらない。
そんな状態でぴょんぴょんと胴だけ跳ねるものだから、子供に見せられないセンシティブなことに。
すぐに幼年メンバーズの目を塞ぐ
そして、マスターとして不出来なELFのフォローに回る女エルフ。
ここ最近、新キャラが次々と登場しては消えて行く南の大陸編ですが、はたしてこの銀髪のELFもまたすぐに消え去るのか。それとも久しぶりにレギュラーメンバー入りするようなキャラなのか。
ただ、なんとも間抜けぞ大丈夫かこのロボット――。
「すみません、私、倒れると自力で起き上がることができなくて」
「またなんかポンコツな奴が出てきたなぁ……」
そんな感じで、今週もどエルフさんはじまります。
◇ ◇ ◇ ◇
「なるほどなるほど。つまり封印されていた私を、偶然見つけて起動してしまっただけで、別に滅びの時が来たわけではないと。むしろ、世界は今の人類に完全に譲り渡されていて、私の出番はもうないと」
「まぁ、そういうことよね」
「それはなんともご迷惑をおかけしました。次に起動する時が『世界が滅ぶ時だ』と破壊神さまから聞かされていたので。いやー、はやとちりですね、えへへ」
「どうしよう。物騒なことを言ってるはずなのに、反応が軽すぎてツッコむにツッコむことができない……」
なははーと笑う銀髪のELF。
センシティブな状況から復帰してベッドの上に女の子座り。女エルフから、予備の衣装を渡されて、すっかりファンタジーの魔法使いな感じに仕上がった彼女は、うっかりという感じで頭を掻いた。
破壊兵器とはちょっと思えない軽い口ぶりにすっかりと毒気が抜かれる。
「改めまして、私、破壊神さまがお作りになったELFのリリエルと申します。主に、人類の殲滅と大地の焼却、大気温度の上昇と海の有毒化を得意とするセクサロイドです!!」
「どれ一つとして安心できる要素がない娘だ」
「けど破壊神さまがその時ではないというなら何もできません。ただの、『ちょっとエッチな体つきをしているELF』だと思ってください!!」
「ちょっとですむかいな」
女エルフの予備の服、紫色したワンピースの魔法使い衣装。そこからちらりと見える柔肌からしてもう既に破壊力抜群。染みひとつない綺麗な肌に、女の子らしい華奢なシルエット。そして、話してみると危ない単語を交えながらも相手の心をくすぐる愛嬌のある喋りっぷり。
女エルフよりもなんだかヒロインっぽいのではないか。
そんな空気が気がつけば辺りには充満していた。
「まさか、テコ入れですかね。商業作品を発表したことにより、明らかにこちらのモチベーションが下がってきたので、好みの女の子を出してやる気を」
「うぉい!! メタいことを言うな!!」
「最悪ヒロインを乗っ取られるかもしれませんよモーラさん。どうするんです、気がついたらタイトルが『どELFさん』になっていたら」
「ありえそうでなかったけれども確かにされるかもしれない!! けど、ダメでしょこんなエッチな子をヒロインにしたら!! 風紀が乱れるわ!!」
「いやモーラさんのような卑猥エッチより、彼女のような清楚エッチの方が絶対にヒロインに向いてますって」
「だれがひわいえっちか!!」
声を荒げる卑猥エルフ。それを清楚ELFがどうどうと押さえる。
たしかに、こんな小姑ムーブしかできない、性格オバサンエルフはそろそろお役御免。彼女のような可憐で攻略しがいのあるヒロインの方が、読者も作者もテンションが上がるかもしれなかった。
それでなくてもかれこれ五年近くこの作品をやっている訳で。
そりゃ流石に飽きるってもんですよどエルフさん。
「……くっそー、なんか地の文にまで馬鹿にされてる感じがする。きっといつもの『流石だなどエルフさん、さすがだ』とかで弄られている気がする」
「もう、それはまぁ良いじゃないですか。それよりもこの子を今後どうするかですよ。このまま放っておくのもなんじゃないですか……」
「……そうよね」
ベッドの上で首を傾げてたははと笑うELF娘。
どうすればいいのでしょうと彼女も困った顔だ。
世界を破壊するために生まれたELF娘。しかし、そんな命令は出されておらず、彼女もどうしていいか分からない。さらに、女エルフが彼女のマスターとして登録されており、当面は彼女に従わなくてはいけない。
弱ったなと女エルフ。
これはもう、無理にでも旅に同行させなくてはいけないか。
あるいはこの夜の街に置いて行くという手もあるが。
「えっと、セクサロイドっていうことは、やっぱりその――そういうことができるってことよね?」
「はいまぁ。ただ、私はこの通り人類滅殺用に作られたセクサロイドですので、普通にそういうことしたら死病が相手に伝染しますね」
「死病って……なにそれ、怖い。一緒に居るのも不安」
「あ、大丈夫ですよ。日常生活で移るような病気じゃありませんから」
「となると娼館で預かって貰うのも無理か」
「ですねぇ。正直、マスターに連れられて破壊工作するものと思っておりましたので、私もどうすればいいやら。ついていっても、この通り、モノを壊すことしか出来ない生粋のデストロイヤーですから」
「いや、それはたのもしーんだわ」
男騎士が抜けたことで少し心許なくなったパーティーの打撃力。
女エルフだけではカバーできない所に、彼女が入ってくれるのは頼もしい。破壊神の快刀のような彼女ならば、きっと戦闘でも役に立ってくれるに違いない。
しかし――本当にこんなの連れて行って大丈夫なのか。
話の流れとはいえ、起動してしまったのが女エルフとはいえ。
うぐぐと唸る女エルフ。
黙り込む女修道士。
そんな二人の葛藤を見かねた感じにELF娘がぽんと手を叩いた。
「そうだ!! 私、もう一つだけ破壊とSEX以外の機能がありますよ!!」
「いや、破壊とSEXって」
「さっきまで私が着ていた衣――【ダブルオーの衣】の在処が分かるんです。えぇ、そもそも私、その衣を全て集めて一つの【性闘衣】を作るためのELFでもありますからね」
「【性闘衣】って」
「また、なんか物騒なアイテムが……」
女エルフ達が喜べばいいのか怒ればいいのか判断のしにくいアイテムの登場。
ELF娘の扱いにも困っているのにどうすればいいのか。
二人はとほほとその場に頭を抱えるのだった。
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