どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第1075話 どエルフさんと強襲スケルトン男
第1075話 どエルフさんと強襲スケルトン男
【前回のあらすじ】
攻カク○頭隊のムラクモから託されたアイテムを確認する女エルフ達。
出て来たのはホログラム。
投影されるのは彼女達と面識がある少佐ことムラクモだった。
あらかじめ撮影されたその映像の中で、なんとも女エルフ達と息の合ったやりとりを交わす少佐。そのあまりに自然な会話の流れはどうしてだろうか。
知人、いや、もっと気心の知れたような相手と会話しているよう。
そんな妙な感覚に揺さぶられる中、唐突に話されたのは神々に対する不審。
女エルフが昼間にイカスミ怪人工場で聞かされたのと同じ話を、ムラクモは女エルフに持ちかけたのだ。
もしかして、攻カク○頭隊は味方なのではないか。
何か自分は大きな勘違いをしているんじゃないか。
そんなことを思って惑う女エルフ。
さらに少佐は、衝撃的な言葉を彼女に浴びせかける。
『君の傍に居る男、ティトを決して信頼するな。アレはすでに、アリスト・F・テレスの手に陥ちている』
◇ ◇ ◇ ◇
「どういうこと!! どうしてそこでティトの名前が出てくるのよ!!」
女エルフが激昂して立ち上がったその時だった。
突然、彼女達がいるサウナ室の照明がふっと消えた。水蒸気を発していた炉も、どうしたことか一瞬にして立ち消え。光を発するモノは、ムラクモを映し出しているホログラム投影機しかなくなった。
そして、そのホログラムも――。
「お義姉さま、見てください!! ムラクモの姿が!!」
「……なに!? これ、どうなってるの!?」
青色の光で投影されたムラクモの姿。
それが砂絵のようにどんどんと崩れていく。
顔が、身体が、服が、バラバラに霧散していくその光景に、さっと女エルフ達の背中を冷たい汗が流れた。
何かが起きている。
ムラクモたちにはめられたのか。
いや、それにしては、話が良いところで終わった。まるでこれ以上の彼女との会話を遮るように、発生したこのトラブルはどういうことだろうか。
破壊神が危機を察して女エルフ達に手を出してきたのか。
それとも、まさか、知恵の神が何か企んでいるのか。
「……エリィ。とにかくすぐに更衣室に戻るわよ。この宿から脱出するわ」
「わ、分かりましたお
さっと女エルフが腕を振る。
紡いだのは、彼女が得意とする火炎魔法。
指先に手のひらよりも少し小さい火球を発生させると、彼女はそれで暗いサウナ室を照らし出した。
すぐに木目の茶色い壁が露わになる。
そんな中、ぬっと浮かび上がったのはメタリックな色味をした人影。
いや、違う――。
「……なに!?」
「待ってくださいお
叫んだがもう遅い。女エルフと新女王の前に突如として現われた銀色のシルエット。骸骨のような見た目をしたそれは、手に持った剣を振り下ろした。
咄嗟の回避。
左右に分かれてその剣閃を避ける女エルフ。
もしあと数秒でも火を灯すのが遅れ、反応が遅ければ死んでいた。
「敵襲よエリィ!! 後ろに隠れて!!」
「は、はい、お義姉さま!!」
振りかぶった剣は木製の床に突き刺さる。骨身だけの身体では力が込めにくいのか、めり込んだ剣先を抜くことが出来ず前屈みになるメタリックなモンスター。
スケルトン。
銀色に輝くその奇異なモンスターは、剣を抜くと、ぎろりとその眼孔に嵌まっている、潤いのない赤い瞳を光らせた。
すかさず女エルフが火炎魔法を放つ。
「焼き切れろ!! このォッ!!」
火炎の渦が銀色の骨を巻く。
高湿のサウナ室の中でも煌々と燃える業火に身を包まれて、銀色のスケルトンが奇妙な悲鳴を上げた。今よと、女エルフは新女王の手を引くと、サウナ室の部屋の扉を蹴って外へと飛び出した。
相変わらず浴室は暗い。
サウナ室から漏れる光を頼りに、脱衣室へと飛び込む。
しかし、既にそこにも銀色のスケルトンの魔の手が伸びていた。
「くっ、囲まれた!!」
「ど、どうしましょう、お
更衣室の闇の中に蠢く八つの赤い瞳。
先ほど、女エルフが火炎の渦を打ち付けた銀色のスケルトンとどれも同じ格好をしている。どうやら、この大陸で固有に進化したモンスターらしい。
それにしても宿場に湧くとはどういうことだろうか。そもそもモンスターは、ダンジョンや深い森の中など、人の目の届かない所に棲息しているはずだ。
まさか、誰かが手引きしたのか。
あるいは――。
「……待って、これ、もしかしてスケルトンじゃなくて!!」
『UGAAAAAAA!!』
女エルフに一番近い銀色のスケルトンが咆哮を上げる。口を大きく開くと、そいつはそこから先ほどの女エルフに負けるとも劣らない火炎を放出した。
まずいと女エルフが後ずさる。
火炎魔法に火炎魔法で対抗するのは難しい。
同程度の火炎をぶつけて相殺するというのも一つの手だが、燃焼物のない状況から炎を作り出すのは、魔法使いとしての技量は勿論、大量の魔力を必要とする。
しかも目の前の攻撃が魔法である確証がない。
ここは未知の技術が発達した南の大陸になのだ。
体内の魔力量や、大気中に満ちている魔力などを取り合っての戦いなら一日の長が女エルフにあるが、炎が物理的に起きたものなら話は違ってくる。
どうすると女エルフ。
そう思案している内に、彼女の眼前に炎が迫る。
まずい直撃する――。
「危ない!! モーラさん!!」
死を覚悟したその瞬間、女エルフの前に赤い影が飛び出す。
銀色のスケルトンと同じようなメタリックな外観。赤い色味が混ぜ込まれたそれは、炎を浴びてより鮮やかに赤く闇の中で映えている。
戦士として鍛えられた肉体をフルプレートアーマーで包み込んだ戦士は、その背中で炎の渦を受け止めると女エルフを庇った。
「ティト!!」
「大丈夫か、モーラさん、エリィ!!」
女風呂に駆けつけたのは男騎士。
彼は、まだ使い慣れない鋼の鎧を使って、なんとか敵の放つ業火を防いだ。
ただし――。
「なんでアンタ、女風呂に入ってるのよ」
「命を救われておいて、その言い草はちょっとないんじゃないか!!」
緊急事態とはいえ、勝手に女風呂の中に突入するのはちょっとどうなのかと、救われた女エルフたちから白眼視を浴びることになった。
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