どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第1067話 ど師匠さんたちと異世界結婚事情
第1067話 ど師匠さんたちと異世界結婚事情
【前回のあらすじ】
南条・フランソワ・朱鷺子。爆乳グラマラス金髪お嬢様魔法使いという設定に反して、原作(厨二病の弟子:完結済み)において男性の影を匂わせなかった。
それもそのはず、当該作品は筆者の作品の中でも珍しい百合作品。
しかも師弟百合という業の深い奴。
姉弟子×妹弟子という要素もあったため、男の影をチラつかせることができなかったのだ。そう、結構いい趣味したキャラにできあがっていたのに、独身を貫いたのは作品の都合。
ごめんよ、南条――。
「作品の都合で変な業を背負わすのはやめなさいよ。ほんとかわいそう」
この業はちゃんとモーラさんに引き継いでもらうからね。
「引き継がんわ。結婚するわ。今すぐティトと幸せな家庭築いて物語未完にしてやろうかこのスットコドッコイ」
はたしてモーラさんは幸せな結婚をすることができるのか。
アラスリエルフ。はたして我らがヒロインの未来はどっちだ。
それはそれとして。
「素敵な旦那様も自分にそっくりな顔した女の子も欲しいんですの!! お家のためとか嘘ですわよ!! 自分のために結婚したいんですわ!! なにか文句おありでして!!」
金髪の女魔法使いこと南条は、なんだかんだで結婚願望強めの女だった――。
◇ ◇ ◇ ◇
「……お、おう。お前がまさかそこまで結婚願望強いとは思わなかった」
「言いませんわよ!! この歳にもなって、結婚したいなんて口にしようものならそれだけで弄られるではありませんの!! それでなくても、師匠はそういうのに五月蠅いから、お見合いセッティングされてしまいますわ!!」
「……結婚したいんじゃなかったのかよ?」
「師匠から紹介された相手だったら断りづらいではありませんの!! 家の者の相談だったら、なんだかんだでまぁ事情を理解しておりますし、逆に話が通しやすいのでお断りもできますけれど――」
「割と本気で考えてるんだな」
「本気ですわよ!! 結婚したい!! 赤ちゃん欲しい!! 未来に血を繋ぐとかそういうのじゃなくて、純粋にお母さんしたいんですの!!」
結婚願望というか母性が強めだった。
金髪縦ロールといういかにも「あらあら、私とお付き合いしたいなどと、ずいぶんと身分不相応なことをおっしゃりますのね。一度、鏡でご自身の姿を確認された方がよろしいんではなくて」なんて言っちゃいそうな見た目からは、想像できないほどに言動から母性が溢れていた。
人は見かけによらぬものとはこのこと。
いや、そんな風に見た目で損したものだから、この年になっても結婚できずにいるのかもしれなかった。
悲しい話であった。
「うぅっ、男っ気がない訳ではありませんのに、どうしてこうも結婚できませんせんの。行きつけの道具屋のケビンも、屋敷に出入りしていた庭師のヤンも、魔術師協会の会計士をしていたジャックも、みんな私の事なんて放って結婚してしまって」
「……いや、そこまで生活圏が近い人間だと、逆に結婚はしづらいと思うぞ」
「じゃあいったいどこで出会えといいますの!!」
ちゃんと見合いをしなはれ。
女エルフと
古来より、自分と生活圏が被らない人間とマッチングすることで、どちらも居場所を失わずに済むようにする儀式――見合い。お互いのことをよく知らないからこそ、逆に気兼ねなく相手と接することができる。
無理に結婚生活に、すでにできあがっている自分の世界を合わせる必要がないためある意味で気分が楽なそれを、金髪の女魔法使いは完全に誤解していた。
恋愛できないからお見合いしに行くのではない。
逆に、しっかりとした結婚生活がしたいからお見合いに行くのだ。
「だったら、師匠からちゃんと紹介して貰えよ。あの人、色んな所に人脈あるから。軍部とも繋がりがあるっていうし」
「嫌ですわ!! あの武闘派の師匠のことですわ!! きっと熊みたいな大男を紹介されるに決まっていますのぉ!! 私、夫にするなら、優しそうで眼鏡の似合う一人称が僕って感じの、ゆるふわな方がいいんですの!!」
「なかなか良い趣味してんのな」
選り好みだった。
結婚しない、いや、できないのは、完全に金髪の女魔法使いの選り好みが強すぎるのが原因だった。そんな優良独身男子、そうそう現われるわけがないのだ。
本当に結婚したいのなら、縁を逃さずスパッと行くべき。
悲しいかな金髪の女魔法使いには、まだまだ行き遅れの自覚が足りなかった。
仕事も、プライベートも、ばっちりしてそうなのに、どうやら肝心の異性周りはからっきしのようだった。モロに作者の性癖が煮染まっていた。
そりゃ結婚できんわ。
せっかく落ち着いたと思いきや、またびえんびえんと泣き出す金髪の女魔法使い。先ほどまでは親身にその面倒を見ていた黒髪の女魔法使いも、自業自得と分かるや少し醒めた顔をする。
なまじっか、彼女も実力主義というかバリキャリのため、自分から動こうとせず文句ばかりを垂れる金髪の女魔法使いに、ちょっとげんなりしたようだ。
「南条。お前の目的はなんだ。結婚することだろう。そりゃ、旦那を選びたい気持ちは分かるけれども、そんな受け身じゃ何も得られなくて当然だぞ」
「なんですの朝倉さん偉そうに!! そういう朝倉さんだって、そういう経験ございませんでしょう!!」
「……いや、俺はその、大陸を放浪していた頃に、ちょっと」
「嘘でしょう!!」
思いがけないバックアタックに狼狽える金髪の女魔法使い。
そんな彼女に「本当にちょっとだけ。別にそんな、やらしいことはしていないんだよ」と、逆に不安になる言い訳をする黒髪の女魔法使い。
突然の裏切りにショックもひとしお。
わなわなと黒髪の女魔法使いから離れた金髪の女魔法使いは、湯船の浅い上り場に手をつくと、しゃなりと色っぽく俯いた。豊満な身体が湯気に隠れて少し残念だが、それにしたってこんなもの見たら男なんぞコロリと落ちそうな仕草だった。
堪えるような涙声が、湯気と一緒に天井へと昇る。
「そんな、そんな信じておりましたのに……。酷いですわ、朝倉さん」
「いやだから、本当にそんなやらしいことはなかったんだって。こっちがびっくりするくらいにさ。けれどもまぁ、なんというか、問題がないくらいにはな?」
「この――○ーッチ!!」
「「素でも言うんかい!!」」
先ほどまでのムーブは、黒幕に強要されての演技かと思いきや、素で友人に卑猥な言葉を投げかける金髪の女魔法使い。
相当独身を拗らせている。
彼女に明るい未来はやってくるのか。
優しい旦那とかわいい息子・娘は現われるのか。
それは神のみぞしるのであった――。
「スピンオフでいいから、なんとかしてくださいまし!! こんなの、死んでも死に切れませんわー!!」
「何年前に完結していると思ってんだ。無茶言うな」
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