第1023話 どエルフさんと属性

【前回のあらすじ】


 という訳で、カクヨムコンで特別賞をいただきました。

 これで利害関係が発生したため、本作品のお家芸であるカクヨム弄りがしにくくなりましたが、そんなことは気にせずこれからも盛大に弄っていこうと思います。


「ちょっとは!! 自重しろ!! これからダイレクトに苦情がくるかもしれない人間になったんだぞ!! 顔知られてる人間相手によくそういうことできるな!!」


 いや、見てないでしょこんな小説。

 長期連載作品だけれど、あんまり成績振るわないし誰も気にしませんよ。

 よっぽど人気の作品ならともかくとして、長々と続いていることだけが売りのようなこの作品をチェックすほどKADOKAWAも暇じゃありませんって。


「やめなさいよ、そんな悲しいこと言うの。それでも続けて来たのは事実じゃない」


 そうですよ。

 それはそれとして、モーラさんたちキャラクターを愛しているし、書籍化作品にはない成長をくれた作品だと思っているから、ここまで続けて来ている訳です。

 確かに、書籍化できるだけのクオリティではないとは感じていますが、それはそれとして僕には大切な作品です。


 ちゃんと君たちの物語が終わる瞬間まで付き合おうと思っていますので、これからもよろしくね。モーラさん、そしてティト。

 読者のみなさまも、これからも応援していただけると嬉しいです。m(__)m


 そして、今更テイストを変えて運営に媚びるなど不可能!! 

 全身全霊全力でもって、これからも運営をネタにしていく所存!!

 そこのところをよろしく!!


「……だったら最初から謝るな!! バカ!!」


 とまぁ、そんな感じで。今後とも僕と本作、そしてできれば現在改稿中の作品についてもよろしくお願いいたします。m(__)m


◆ ◆ ◆ ◆


「まぁ、そういう訳で、この作品はクソ作品。マンガ雑誌の巻末ギャグ漫画枠に納まろうとしたけれど、いまいちギャグのキレが悪くって打ち切れた――いや、そもそも商業レーンに乗れていないからそれ以下の作品だ」


「若気の至りで誰もが一度は描いてしまうギャグ漫画みたいなものね」


「あぁそうだ!! 学校の自由帳に描かれた、子供のなんでもあり漫画!! それがこれだ!!」


「誰でも一度は通る道じゃろがい!! これ見ているよい子を傷つける発言やめいや!! もうちょっと周囲に配慮しなさいよ!!」


「「こんなクソ作品を読んでいるのは、忍耐力も対応も大人な人だけだよ!! 読者に甘えてるんじゃない!!」」


「ひんっ!!」


 容赦のないダメだしを喰らって凹む女エルフ。

 自分の出ている作品は、なろう系異世界ファンタジー作品のレベルには到達していると思っていたのだが、どうやらそのレベルでもなかったらしい。


 いったい何が悪かったのか。

 自分たちは、今の自分たちにできるベストを尽くしてきたはずではなかったか。

 どうしてこんな酷い仕打ちを受けなくてはいけないのか。女エルフは落胆した。

 すべてはそう――筆者の筆力がひどいのがいけない。


 この作品にもっと人気があれば、大きなことも言えたが難しかった。

 女エルフ。言われてしまっては仕方がないと、しょぼくれるより他なかった。


「まぁ、そういう訳なので、この世界にはそういう子供の妄想的なファンタジーの役割が求められる。たとえば――主人公が最強だったり」


「……最強だわ」


「その割には戦闘の描写がつたなかったり」


「……バイスラッシュで一撃だわ」


「本格ファンタジーという割には、モンスターやアイテムのバリエーションが少なくて、まったくファンタジーらしさがなかったり」


「……子供のギャグみたいなモンスターやアイテムばかりだわ」


「そしてネタに詰まると毎回楽屋ネタ」


 そこまで。

 えぇい、そこまで。

 そろそろ地の文弄りはやめじゃい。

 つまり、そういう中途半端なファンタジー作品に出てくる、エルフとはなんぞや。そこに転移してくる男と女とはいったいなんぞやということでしょう。

 話を戻しましょう。


 げんなりする女エルフをよそに、つまりと男が指を立てる。

 どうやらこの長きにわたる作品ディスリを終えて、結論に到達する時が来たらしい。男の言葉を待って、女エルフと彼の連れ合いが黙り込んだ。


「この世界ではキャラクターが直接的な役割で投入される。変な伏線や設定などはなく、話を進める上で必要なキャラクターがその都度現われるということだ」


「キャラを話を進めるための道具としか思っていない、まさに物書きの風上にもおけない作品だね、タカちゃん」


「あぁ。その人物のバックボーンや、生きた人間としての体温が感じられない、まさしく駄文。最悪の作品だ」


 だから、そこまでって言ってるだろ。

 伝わってくるだろ。いろいろ、モーラさんのアラスリのヤバイ焦り具合とか。ティトのおバカっぷりとか。地の文のいかにも文章下手くそな感じとか。


 って、違うわい。文章下手くそなら賞なんて貰えへんわい。

 いや、うん、そんなことも、いや、どうなんだろう……。(白目)


「そして、それはこの作品のメインヒロインがエルフということに集約される」


「集約されるの!? 確かに、ファンタジー作品のヒロインはエルフが多いけれども、そういうことなの!?」


「……そんな理由でヒロインにされたなら嫌オブ嫌よ。耐えられないわ」


「その通り!! ファンタジーのヒロインといえばエルフ!! とりあえずエルフって言っておけば、清楚で可憐なイメージがあるだろう――そんな安直な考えが、この目の前のなんの特徴もない駄エルフを作っているのだ!!」


「安直なエルフ――たしかに、エルフということ意外なんの特徴もなさそう!!」


「あるわい!! 特徴的な所が幾らでもあるわい!!」


「「……たとえば、どの辺り?」」


 エルフなのに三百歳というちょっと年増な設定で、会話の節々に行き遅れ女臭が漂い、そしてそのことをエロいエロいとからかわれるキワモノキャラだよ。


 そう叫ぼうとして、女エルフは黙り込んだ。

 それを言ってしまったら、これは負けの流れだなとぐっと堪えた。


 すっかりと二人のペースに嵌められていたが、これは自分からキツい属性を暴露して笑われる流れ。女修道士シスターにうまいこと丸め込まれて自爆する流れ。

 彼女によく弄られることもあり、なんとか恥をかく前に女エルフは気がついた。

 いけない、冷静になれモーラと、一呼吸置いて考え直す。


 そう、自分にはもっといい属性があるはず。

 無いにしても、もっと他にいい言い方があるはず。


「そうね。やっぱりほら、人間より長い時を生きていることもあって、知恵が回るというか世間を知っているというか。年上の頼れる女性キャラっていう感じ? 他のエルフのキャラは、見た目が美しいだけで年齢要素までは考えられてないでしょ?」


「つまり年増おばさんということか」


「それにほら、ただ若いだけの小娘と違って男を立てるというか。普通のヒロインにはない主人公への気遣いみたいなの、そういうのができるわよね」


「婚期を焦っているおばさんみたいですね」


「あとはやっぱり、経験豊富っていう所かしら。お風呂を覗かれていやーんえっちとか、鎧が壊れてきゃぁ見ないでぇーとか、そういうのだけがサービスじゃないわ。大人の色気といえばいいのかしら、成熟した女エルフだからこそできる、そこにいるだけで漂ってくるエロスみたいなのがあるわ」


「つまりどスケベってことですね」


「年増行き遅れお局どスケベエルフ――たしかにこれはちょっとユニークかもしれないよタカちゃん!!」


「あぁ、子供がらくがきちょうに描くようなキャラクターじゃない!! けど、大人がなろうで書くようなキャラでもない!! ひどいディティールだ!!」


「誰が酷いディティールじゃい!!」


 ぶふぅと吹き出す女修道士シスターたち。


 女エルフ、まんまと言わされる。

 弄られる、言ってはいけないと分かっていたのに、言葉巧みというか言葉がうまく出てこなくって自滅する。彼女は自分自身の恥ずかしい属性を、自分の口から暴露させられてしまうのだった。


 女エルフは年増行き遅れお局どスケベエルフ。

 どう言い方を変えても、その本質からは逃げられないのだった。


 そして、どう考えてもヒロインとしてニッチすぎる属性を背負っていた。


「コーネリア、ケティ、エリザベート、アウトー!!」


「なんでこうなるんじゃい!!」


 自分の胸に手を当てて聞いてみるんだモーラさん。

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