どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第1024話 どエルフさんと転生者の務め
第1024話 どエルフさんと転生者の務め
【前回のあらすじ】
この作品は割と直接的な展開と目的で構成されたファンタジー作品。
小学生が休み時間に、自由帳に描いてるような直感だけで書き進められている漫画的存在。そんなものに出てくるキャラクターというのは、深いバックボーンもなければ属性もない、見た目そのまんまのキャラである。
そういう指摘の元にディスられた女エルフ。
そんなことないわいと言い返したがはいおしまいよ。
彼女は自分の持っている――ヒロインにしてもエルフにしてもちょっと重たい設定『年増行き遅れお局どスケベエルフ』というのを自分から言うハメになるのだった。
どれだけ警戒しても、そして、どんな言葉を選んでも滲み出てしまうネタキャラ感。拭いきれないトンチキオーラ。そして、子供の描いた漫画だったらまだ夢もあるだろうに、大人の描いたチラシの裏ではもう夢も希望もない。
筆者の業が深い理想のヒロインを見てくれ。
これが僕が最高に可愛いと思う行き遅れエルフだ。
「行き遅れてないもん!! エルフは三百歳超えてからが本番だもん!! 今時はそういうエルフも多いからおかしくないんだから!! バカァ!!」
もしこのヒロインにピンと来たら、応援とか評価とかよろしくお願いします。
◆ ◆ ◆ ◆
べしりべしりと尻をしばきあげられる
恨めしい視線が女エルフに飛ぶのは仕方ない。ほぼ、彼女の自爆に巻き込まれる形での罰ゲームである。彼女がよけいなことをしなければ、こうなることはなかったと彼女たちが怒るのも無理はなかった。
そこに申し訳ないと頭を下げる女エルフ。いつもはなんで私がと突っぱねる彼女だけれども、今回の流ればかりは自分に非がある。そこを素直に彼女は認めた。
「いや、私が悪い流れかこれ? アイツらが勝手に私のことをおもしろおかしく笑いのネタにしたのがダメなんじゃないのか?」
「いや、そういう流れだって分かって言い淀んだんでしょ?」
「こっちもこうしてネタをやらせていただくからには真剣にやっているので。それはそちらも真剣にやっていただかないと。つけいる隙のある、笑いのネタにする余地のある台詞なんて出されたら、そりゃこうなりますよ」
ド正論だった。
言い訳のしようもなかった。
隙の多い切り返しをしてしまった女エルフに非があった。
お尻をさする女修道士たちが見守る中、再び始まる茶番劇。それじゃ再開しますねと目で合図すると、再び男と女は彼女達の世界を展開した。
「安直なエルフ――たしかに、エルフということ意外なんの特徴もなさそう!!」
「あ、そこからなのね。よし、任せろ。今度こそ――あるわい!! 特徴的な所が幾らでもあるわい!!」
「「……たとえば、どの辺り?」」
少し考えて女エルフ。彼女はさらりと自分の後ろ髪を手で靡かせると、物憂げな視線を目の前の年若い男と女に向けた。
正ヒロインの余裕だろうか。
その仕草の端々から確かな気品というか力強さのようなものを感じる。普段の女エルフらしからぬ気配を醸し出しつつ、彼女は涼やかな顔でその唇を動かした。
はたして、女エルフが備えている属性とは――。
「この身体から滲み出る知性、そして気品。他のエルフにはなくってよ」
「いや、エルフってそういうキャラじゃないですか」
「他のエルフとどう違うっていう話をしてるのに、なんでそんなドヤ顔でエルフの最大公約数的イメージを言っちゃいますかね」
「受け答えがポンコツのくせに知性とか、もうギャグかと」
「知性というより痴性よね……」
「この子たちちょっと酷いんですけれど!!」
真面目に言ってもダメ。いや、これも女エルフの切り返しが甘かった。
彼らに総ツッコみをくらった通り、他のエルフとの違いを答えなくてはいけないのに、素でエルフキャラの特徴みたいなのを言ってしまったのは最悪だった。
そしてこんなん笑うしかなかった。
的確なツッコミと女エルフのポカ、そして狼狽えたリアクションによって、もう堪えられない笑いの波が仲間達に襲いかかっていた。
またしてもででんと響くアウトの音楽。
しばきあげられる
それもこれも全部、彼女たちが睨みつける女エルフが悪い。
「いや、なんでよ!! アンタ達が耐えればいいだけでしょ!! なんでそんな私が弄られたくらいで毎度毎度大爆笑なのよ!! 私関連のネタだけ、腹筋の耐久値低すぎじゃない!?」
「これまでの旅の中で、さんざんモーラさんが私たちの腹筋に仕込んできたんじゃないですか!!」
「そうですよお姉さま!! お姉さまがやらかしたら、すぐ笑うように調教されているんですから!! やらかさないように注意してくださいよ!!」
「……だぞ、お尻よりお腹の方が痛いんだぞ」
「ちくしょう!! ごめんね!!」
何も言い返せなかった。
女エルフ、パーティメンバーをこんな状態に追い込んでしまった負い目から、すごすごと黙り込んだ。いや、やっぱりそっちが我慢すればいいだけじゃないと腹の底で思いながらも、ワンコ教授が笑ってしまっては反論できなかった。
純真無垢なワンコ教授が笑ってしまうのは自分が悪いということ。
性的なネタの分からない彼女。それが笑うということは、つまり自分が素で面白いことをやっている証拠以外の何ものでもない。
たとえそれが周りに引きずられてのことだとしても、女エルフは責任を感じていた。そして、二度とこんなことはやるまいと心に誓った。
いいですかという視線を送ってくる男と女に向かって真剣な眼差しをぶつける女エルフ。気合いは十分。はたして、再び茶番が再開された。
「安直なエルフ――たしかに、エルフということ意外なんの特徴もなさそう!!」
「……あるわい!! 特徴的な所が幾らでもあるわい!!」
「「……たとえば、どの辺り?」」
きりっとした顔のまま、腰に手を当ててくねりと身をひねる。
ありもしない胸とお尻を突き出し、アキレス腱を伸ばすようなポーズをとった彼女は、渾身のドヤ顔で言い放った。
「マイネームイズモーラさん!! アイムビューティフルエルフ!!」
「「「「「ブフーッ!!」」」」」
マ○ングリッシュ。
それはセンシティブキャラクターがやってしまうと強烈な一撃必殺となる、元ネタを知らなくても通る精神攻撃だった。
またしても、アウトを知らせるブザーの音がバスの中に響いた。
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