どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第1017話 ど凶戦士さんと謎の仮面の男
第1017話 ど凶戦士さんと謎の仮面の男
【前回のあらすじ】
人類と神々を分つ役割を任せられていた破壊神。
しかしながら彼もまた神。自らもまた人と距離を取るべき存在。
故に、強力な破壊の力を操りながらもその権能は制限され、彼の僕として働く使徒達にも大きな制約が課せられていた。
しかし破壊神の能力制限を解除する方法が一つだけある。
人類の危機に瀕して、破壊神の力を解放する強制措置。本来ならば、地を焼き海を消し飛ばす鋼の巨人。その制限された力を解放することができる、唯一の方法。
それは破壊神の兵器に人が乗ること。
すなわち、人類が己の意思で、破壊神の力を行使するということだった。
「頼む、この人類の危機に、どうか貴殿らの力を貸してはくれないだろうか」
女軍師達に頼み込むライダーンの使徒こと艦長。
はたしてどこまで彼らを信じて良いのか。そして、この怪しい誘いに、送り込むのに適切な人材が、今、この場にいるのか。
一瞬考えた女軍師の横を通って、「自分が」と申し出たのは他でもない。
現在、中央大陸連邦共和国騎士団の中で、最も個人戦闘能力が高い男。
第二騎士団隊長。凶戦士カーネギッシュであった。
◇ ◇ ◇ ◇
「一名と言わず何名でも協力者は欲しい所なのだが。ここだけではなく、西と南の国にも協力者を募っている。とにかく、一人でも多く鋼の巨人を操ることができる人員が必要なのだ」
「そんなに切羽詰まっているの」
「これは、俺も行った方がいいかしらね。どう思う、バトフィルド」
「やめておきなさいな。貴方、ろくに剣を持って戦ったりできる男じゃないでしょ」
凶戦士以外にも参加者を求められたが、そんな余力は女軍師達にはなかった。また、凶戦士一人だけだからこそ、巧く立ち回れるという側面もある。
申し訳ないがと女軍師が断りを入れると、そこは艦長も大人なのだろう、そうかと素直に引き下がった。
では、と、艦長が話を区切る。
「準備もあるだろう。明朝、都市から南に進んだ所で貴殿を回収する。それで問題ないだろうか」
「あぁ、それで構わない。できれば、待ち合わせに遅刻しないでくれると嬉しいね」
「善処しよう」
ではさらばだという声とともに、青空から鋼の巨人の姿と白い三角木馬が消える。
一瞬での空間転移。やはり、神の力がなければ成し難い。これは本当に、大変なことになってきたなと、女軍師達が顔をこわばらせた。
「さて、それじゃ早速準備に取りかかろうか」
ただ一人、単身敵地に乗り込むはずの凶戦士だけが妙に笑顔だ。
剣を振るうだけが取り柄の乱暴者と、彼は自分のことを評していたが、どうやらその血が彼の中では逸っているいるようだった。
◇ ◇ ◇ ◇
明朝。
首都リィンカーンから南下する街道に、一人凶戦士の姿があった。
簡単な荷造りを済まし、愛用の鎧に身を包んだ彼は、師から譲り受けたヘルメットを腕に抱えながら孤独に南進する。
眼前に首都リィンカーンを襲った白馬の姿は見えない。
さて本当に迎えに来るのだろうかと、彼は少し不安げにため息を吐く。時刻に遅れず来て欲しいとは言ったが、約束がそもそもからして明朝である。
どうしたものかと凶戦士はかぶりを振った。
彼以外に人影はないかと思われた街道。しかし、彼の背後からゆっくりとした足取りで近づいてくる者がある。黒い外套を纏ったそれは、腰に鞘を刺している。
凶戦士と同じ使い手に他ならない。
はて、騎士団から使いでも来たのだろうかと思った矢先、凶戦士に近づきつつあるその男は、目深く被った外套のフードをついと外した。
露わになるその表情に凶戦士が息をのむ。
咄嗟、彼は獲物を引き抜いて身構える。同じく、腰の剣を抜き放って斬りかかってきた外套の男と、刃を交えれば力強い火花がその場に舞った。
陽光に照らされて光るのは、男の白い仮面――。
「よう、楽しそうなことをしようとしてるじゃねえか。混ぜろよ」
「貴様!! 暗黒大陸の!!」
姿を現したのは紅騎士。
黒騎士とその相棒である女ダークエルフを失った暗黒大陸。指導者二人の行方不明により、大きく能力をそがれたその勢力下で、今や指導者的立場にある男だった。
先の大戦で刃を交えた凶戦士には、彼の実力が手に取るように分かる。
自分と比肩する戦士。しかも、鬼の呪いも持っている。
先の戦いでは乱戦により命を拾ったが、一対一ではどうなるのか分からない。負けるつもりはもちろんない。もちろんないが。
勝負に絶対はない。
「なんのつもりだ!! 不意打ちとは卑怯だぞ!!」
「卑怯おおいに結構。こちらも、手段を選んでいられない状況になっちまったのさ。悪いが、少しばかり眠っていてもらうぜ、ヨハネクレンザー二世」
「ほざけ!! この僕が――いや、俺がそう簡単に倒せると思うなよ!!」
凶戦士がヘルメットを被る。すかさず、養父――ヨハネクレンザーより伝授された秘奥殺界を展開しようとする。しかし、紅騎士の方から仕掛けた不意打ちだ。
「こっちはまともにやり合うつもりは端からねぇんだよ!!」
「……な、なにっ!? これは!!」
「シリコーンから授かった魔法アイテム。どんなに巨大だろうと、また見えないほどに小さかろうと、術者が指定したありとあらゆるものを強制的に封印するマジックアイテム――
【魔法アイテム
茶色い紙で出来た折が、すわ凶戦士の身体を覆わんと襲いかかる。
急いで剣閃を翻したが既に魔法アイテムは発動している。神速の剣閃を繰り出す凶戦士にも分が悪い。
しまった、そう嘆く間もなく、箱の中へと閉じ込められる。
するとその寸前、むんずと段ボールの中に手を突っ込んで紅騎士が笑った。
「おっと、こいつは置いていってもらうぜ!!」
抜き取ったのは、凶戦士が愛用しているヘルメット。
彼の力の源泉にして、一種の暗示を行う為の道具。
それを奪ってどうするのか。
説明は不要だろう。
凶戦士を梱包した獄門○が落ちる前で、紅騎士はそのヘルメットを頭から被る。そうすれば、一見して彼を紅騎士と見破ることはもう不可能。
紅騎士は凶戦士に化けて、宇宙戦艦オーカマへと侵入する気であった。
「悪いな、本当に俺たちも切羽詰まってるんでな。破壊神の力、手に入れられるものなら手に入れさせてもらうぜ」
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