第864話 ど法王さんと眼鏡ビガーン
【前回のあらすじ】
この作品は、作者が切羽詰まってくると、いろんな所からパロディを引っ張ってくることで有名などエルフさん。
前回も、まさかまさかの掎角一○。
神風○盗からの○乳ハンター、かと思えばそのパロディである○流・アス○・○ングレー貧乳弄り。
もうどうこから突っ込んで良いのかというところで、さらに重ねるようにアルトリ○顔ネタで風○結界を発動させたと思った所からの――目からビームである。
目からビームである。
しかも、元祖大元、きっとこの世で一番皆が知っている、バイザー・サングラスから出る赤い破壊光線である。
真の英雄もびっくりの暴れっぷり。
満を持して放った聖女の神風の嵐をぶっ飛ばして、法王がしたり顔で言い放つ。
「眼鏡ビガーン!!」
「「世界観が違い過ぎる!!」」
ハイメガ粒子砲を撃ち合って戦うのが魔法少女バトルの醍醐味。しかしながら、目からビーム、さらにバイザー・サングラスビームはちょっとハリウットみが強すぎる。
はたして、権利関係は大丈夫なのかどエルフさん。
いつもいつも、言っている気はするが、一度もなんか言われたことはないから、大丈夫かなって思ってやっているけれど、どこかで一度止めた方がいいんじゃないのかどエルフさん。
けれども、今、大暴れしているのは
「……エンタメより、世界最大の宗教団体からクレームが来るんじゃない?」
本作品に出てくる団体は現実世界のそれとは関係ないので許してつかあさい。
◇ ◇ ◇ ◇
赤い光の熱源が、風の奔流を突き破って聖女の身体を焼き尽くす。
あわれ宙に舞う巫女聖女。
手にした大幣はぼきりと折れて、その純白の衣装も、撃ち込まれた熱エネルギーにより焼け焦げていた。その白かった肌はこんがりと焼けて、もはやなんというか、爆弾喰らったギャグキャラクターみたいな状態。
一気に聖女としての風格を失って倒れるジャンヌ・A・ダルク。
ば、バカなと呟きながら、なんとか立ち上がろうとするも、それよりも早く、彼女の前に赤い謎素材スーツに身を包んだ法王が立ち塞がった。
「くっ、最初からそんな大技を使うなんて!! 卑怯ですよ、もうちょっと展開を考え――」
「眼鏡ビガーン!!」
追い目からビーム。
バトルモノのお約束の隙をついての不意打ちみたいなことはやめろ、なんていうギャグ漫画的にありがちなメタい展開。
それすらもブレイクして、空気も読まずにビームを発射する法王。
いや、ちょっと話を聞いてと、告げる間もなく大爆発。
再び赤い光の奔流に呑み込まれて聖女。
今度は風の奔流を受けずに、直にくらったものだから、よりこんがりと、そして、黒々と日焼けして彼女はリングに沈んでいた。
もはや衣装は消し炭。
下にかろうじて着込んでいた、布地面積が結構広い水着を晒してうつ伏せに倒れる聖女。白目を剥いて口を開いて倒れる様は、まさしくギャグ漫画のルーザー。
決着。
わぁと
はじめての魔法少女勝負に少なからず心配だったが、蓋を開けて見ればどうということもない、不安なぞ何処に行ったかという大勝利・完全決着である。
逆にこれはこれで面白みがない気がしないでもないが、それはそれ。
今は仲間の命を救うために、一刻を争う戦いの最中である。一旦、そこについては考えるのを棚上げして、ワンコ教授達は話を進めることにした。
「だぞ!! すごいんだぞリーケット!! 圧勝なんだぞ!!」
「はじめての魔法少女勝負とは思えない見事な完全決着でした!! やはり法王ともなると、魔法少女になってもその実力は凄まじいものがありますね!!」
ふっとニヒルに口元だけで微笑んで法王。
彼女は仲間達に余裕の横顔を見せた。
流石は全世界を手中に収める、最大宗教のトップに君臨する女帝。
このような色物勝負の後であっても、その立ち居振る舞い、気位、そして所作には一つの曇りもない。
これが本物の聖女としての風格という奴か。
そう、ワンコ教授たちが息を呑んだ端から――。
「眼鏡ビガーン!!」
「だぞぉおおおおおっ!?」
「ちょっ、リーケットさん!! やりすぎ、やりすぎえですよ!! もう、相手は白目剥いているじゃないですか!!」
さらに、追い、眼鏡ビガーンである。
もはやすっかりと色黒になり、金色だった髪の毛もくすみ、聖女の風格ボロボロまったなしな感じの自称聖女なるもの。むしろ、同じ顔をしたインドの女神と同じ名前を持つ近代の聖女ではないかというくらい色黒インディアナになった彼女は、けふぅと焦げた息を吐き出したのだった。
まだ、息はある。
よかった、こんな敵でも死なれてしまっては寝覚めが悪い。
いや、もう死んではいるのだけれど。
そんな複雑な思いが渦巻く、また、その前で。
「眼鏡ビガーン!! 眼鏡ビガーン!! もう一つおまけに、眼鏡ビガーン!!」
「だぞぉおおおおおお!! やめるんだぞ、リーケットぉぉおおお!!」
「リーケットさま!! いけません、いけません!! そのように眼鏡ビガーンを乱発しては!! 死体蹴りはほどほどにしないと、こっちが悪者になります!!」
「……それでもさらに眼鏡ビガーン!!」
「「やめろぉぉおおお!!」だぞ!!」
目からビームを止めない。
彼女はまるで息をするように目からハイ○ガ粒子砲を照射する。
まるで暴走機関、止まれなくなったロボットのように、目からビームを照射し続ける。
そして聖女は焼かれ続ける。
目から飛び出す赤い光線に焼かれ続ける。
憐れかな聖女。
彼女が本物か僭称者かは定かではないが、伝説の最期のように赤い光に焼かれて彼女は、もはや魔法少女バトルがどうとかこうとか、言えないくらいにボコボコにされるのだった。
どうしてそこまでするのか。
なぜそこまで眼鏡ビガーンをすることをやめないのか。
それほどまでに聖女ジャンヌ・ダルクの名を語ることが許せなかったのか。
それとも、自分と違ってたわわに実った、胸の二つの果実が許せないのか。
壊れたように。
「眼鏡ビガーン!!」
激しく。
「眼鏡ビガーン!!」
そして、ちょっと、お茶目にポーズを決めて。
「眼鏡☆ビガーン♪」
赤い破壊光線をしこたま浴びせかけて
まさしくその姿は、神が使わした終末の使者。全てを破壊する裁きの者。
破壊の天使――。
「……ふぅ、これが最後の眼鏡ビガーンです!! 悔い改めなさい!!」
「ぐはぁっ!!」
トドメに、聖女に細めの眼鏡ビガーンを喰らわして
彼女は消し炭になった真っ白な聖女を背中にして、リングから降りた。
そして、心配する仲間達をみつめて一言――。
「あーたのしかった!!!!」
満面の笑みでろくでもないことを言い放ったのだった。
これには、ワンコ教授達。心の中で呟かずにはいられなかった。
流石だなど
その嗜虐性、とどまることを知らず。
この女に喧嘩を売った事が、そもそも聖女の間違いだったのだ――と。
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