第二章 刺客!! クールな瞳の変態暗殺者!!

第630話 ど女エルフさんとあーまーみー諸島

【前回のあらすじ】


 内乱に揺れ、今一つ安定感に欠ける明恥めいじ政府。

 それを細い腕一つでまとめ上げるのは、根っからの政治屋肌の男にして、快男児性郷隆盛の幼馴染である大久派性介であった。


 無二の友である性郷を、性難戦争により失ってしまったことを嘆く彼。

 悪夢と共に目覚めた彼は今日もまた、友と共に掲げた理想を求めて自分を奮い立たせて起き上がる。


 はたしてこの男、この物語に今後どんな役割を果たして来るのか。

 そんな匂いを漂わせてすぐ――。


「……からくり艦隊コレクション作戦。本当に、おいにできるのか」


 なにやらまたよからぬパロディの匂いをほのめかす。

 はたして、からくり艦隊コレクション作戦とは、いったいなんなのか。

 そして、また、著作権だとか出版権だとか、そういうのは大丈夫なのか。


 大丈夫。

 だって、艦こ〇はKAD〇KAWAのドル箱コンテンツだから。


「大丈夫じゃないわよ!! やめなさいよ!! だから、そういうの!!」


 からこれ――始まります!!


「始まらない!! 始まらないから!!」


 という所で、今週もどエルフさんすっとぼけてはじまりはじまり。


◇ ◇ ◇ ◇


 擦摩海域。

 その中央にある島。東の島国の最南端、冥府島ラ・バウルへと向かう拠点港となっているそこは、あーまーみー諸島。南の大国擦摩の貴重な収入源である、砂糖の原材料――トウキビを生産している南国の島々だ。


「ここに住む人々は性におおらかな人たちが多いという。一説には、伝説に歌われた桃源郷とはここだったのではないかと言われているくらいだ」


「……なんでアンタ、馬鹿なのにそんなこと知っているのよ」


 男騎士がぬるりと出した説明に、ジト目を向ける女エルフ。

 それはもちろん彼の得意なエロ知識だからに他ならない。冒険者技能で知能を底上げしている男騎士だが、ことエロいことに関しては別腹である。女エルフを弄るためかどうかはともかくとして、いろいろな風俗・風習に精通していた。


 このあーまーみー諸島についても同様だ。

 彼の中でこの島は、一生に一度訪れてみたい憧れの島的なものであった。


「前々から一度行ってみたいと思っていたんだ。まさか、こんな形で来訪することになるとは思わなかったがな」


「……まぁいいけど。性におおらかねぇ。どこに行っても影響力抜群、教会のトップを務めるお方が、くだらないエロネタをことあるごとに絡めてくるのを見ている身としては、なんとも新鮮味がない話だわよ」


 さて、誰のことですかねと空とぼける法王ポープ

 さんざいつも弄られている恨み節をこめた女エルフの視線は、いともたやすくいなされた。そこはそれ、彼女も人の上に立つ身である。人から恨まれることも多ければ、それをいなす技術も磨かれるというもの。


 しかし、女エルフの言葉もまた事実。

 割とどこに行ってもエロネタざんまい。そんな素地を、積極的にこの法王ポープ姉妹がばら撒いていると言えばそうともとれる。オープンスケベワールドの立役者、教会の姉妹と旅を長らく共にしては、確かになにを今更という感じではあった。


 とはいえ――。


「見てくれ!! 入港して一番、目に入ってくるのがヌーディストビーチの看板だ!!」


「ほげぇっ!?」


 ヌーディストビーチあります。


 まるで冷やし中華あります、あるいは、はじめましたみたいな感じで立っている看板。そこには確かにヌーディストビーチと書かれていた。

 ついでに、背中を向ける男の姿がそこには描かれていた。


 男のヌーディストビーチっぽい感じであった。


 これに興奮していいのか。

 興奮するところなのか。

 そもそもヌーディストビーチに、男らしさなんて求めるものだろうか。

 女エルフの頭の中でいろんな言葉が錯綜する。そんな中で、あっちも見てくださいと法王ポープが声を荒げる。

 するとそこには――。


「……地域最大!! 大人から子供まで楽しめるヌーディストビーチ!!」


 競合他社。

 男の背中が描かれたものとはまた別のヌーディストビーチの看板が立っていた。

 しかも、看板に描かれているイラストがヌーディストビーチらしからない。まったくもってありがたくないヌーディストマスコットキャラクターが、何故か水着を身に着けてこちらに手を振っているとうザマであった。


 ヌーディストビーチとは。


 女エルフの中でヌーディストビーチの意味がゲシュタルト崩壊を始める。

 そもそも、ヌーディストビーチとは、こんな気軽なものだっただろうか。こんな看板を立てておおっぴらに宣伝するようなものだっただろうか。


 どちらかというと社会の暗黒面。あまり人様におすすめできない感じの、アンダーグラウンドなものだったように思うのだけれど。


 ツッコミ不全。

 FXで有り金を全部溶かした人みたいな顔になる女エルフ。

 その横で、アレを見てくださいと最後に青年騎士が叫んだ。


「大変ですよ!! ヌーディストビーチ、飛蝗来襲ラッコ鍋!!」


「うぉーい!! 忘れたようなタイミングで、またそんな余所様に迷惑をかけるようなネタをぶっこんでくるな!!」


「男専用のヌーディストビーチ!! かっこよさ三割増しだそうです!!」


「どうでもいいわそんなスケベマタギ御用達の番屋!!」


 ごくりと喉を鳴らして立ち上がる男騎士、青年騎士、そして大性郷。

 今、まさしくこの大海の上において、もっとも男らしい男たちが、自分たちに何を求められているのか、そして、どうしてこの地にやって来たのかに思いを巡らしていた。


 ラッコ鍋、と、男騎士が静かに呟く。


「ならば脱がねばならぬようだな。不死身のティト元としては」


「脱いだら凄い王ことロイドの本領を見せてあげますよ、ティトさん」


「擦摩隼人の肉体美がどういうものか、一つお教えせねばならんようじゃのう。ティトどん、ロイドどん」


「いや!! お前ら!! なんでそんなノリ気なんだよ!! どう見ても地獄みたいな絵面になるだけだろ!! やめなはれ!!」


「「「よし!! 相撲しようぜ!!」」」


 雑なパロディで男専用ヌーディストビーチへ向かおうとする男騎士たち。

 そんな彼らに、女エルフは割とガチ気味に雷魔法をくらわせて行動不能にするのだった。


 ラッコ鍋ネタは流石にもう古い。

 というか、そういうネタはもうちょっと丁寧にやらなくちゃいけない。

 そんな感じで――。


「というか、今回パロディ雑過ぎない!! ちょっと、もう少し原作にリスペクトを向けていきなさいよ!!」


「うるせーいい子ぶってんじゃねー!!」


「お姉さま、時にはそういう荒い作風も、味として評価される時があるんだよー!!」


「ケティだぞ」


「違った!! これ、不条理系ギャグ四〇マのリスペクトだ!!」


 そう。

 ここはあーまーみー諸島。

 なんかこう、あれ、あれだよ、フィーリングで感じて欲しい、そんなギャグあふるる島。


 ポプテ〇も凄いけど、これとてー〇ゅうも凄いですよね。

 いやはや。


「いやはやじゃない!!」


 そして、結構突っ込んだエロネタも多い。


 はたしてモーラさんの貞操は守られるのか。

 彼女の、貞操はどっちだ。そして、男専用ヌーディストビーチ飛蝗襲来ラッコ鍋とはなんなのか。


 次週――エルフと人間がウチャヌ「いわせねーよォ!?」。

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