どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第615話 どハゲ修験者さんとミッテル使徒九傑
第615話 どハゲ修験者さんとミッテル使徒九傑
【前回のあらすじ】
港にて集まる新女王とその妹たち。
てっきり文句の一つでも言いに来たかと思いきやそんなことはない。世界を救うために旅立つ姉妹を応援するため集まった彼女たちは、その勇気ある決断を笑顔で見送るのだった。
果たして、新女王と男騎士たちは旅立つ。
冥府島ラ・バウルを目指して――。
◇ ◇ ◇ ◇
「あいや待たれよティト殿!! それにモーラ殿!!」
「あれ、なんか旅立つ感じの流れだったのに、いきなり止められるの!?」
さて、そんないかにも旅立ちの朝に――実際には昼――という状況にありながら、待ったをかけたのは他でもない。
古めかしい言葉遣いをするそいつは、つい先日まで彼らの敵だった者である。
もっとも国を憂う気持ちは同じ。
荒廃する祖国をなんとか自分のやり方で救うことはできないかと考えあぐねいた末に行動した男であった。
そうハゲ修験者である。
もはや反逆者であった時のとげとげしい感じはどこへやら。ハゲだけになんだかすっきりとした顔立ちならぬ頭立ちでそう言った彼は、今にも旅立とうとする男騎士たち一行を止めたのだった。
さて、どうして止められたのか。
女エルフたちにはとんと覚えがない。
しかしながら――。
「もしや、ミッテル使徒九傑についてのことですか」
一人、彼が待ったをかけた理由に思い至った者があった。
そう、この旅の発起人にして、神々とのパイプ役として数々の行動をしてきた女。
彼女はこの旅はじまって以来の真剣な表情を造ると、そういえばそんなこと――ミッテル使徒九傑――を言っていたなという事実を指摘した。
その指摘に、うむと応えるハゲ修験者。
こちらもまた真剣な表情。
劇画調とはまた違う、なんだか濃ゆい画風で、首肯するのだった。
「神々との謁見を果たさんとする貴殿らの行いについては把握した。ついては、この世界の六神の一柱――ミッテルさまに仕える者として、お主たちにアドバイスをいたそうと思ってな」
「ほう、それはそれは」
「打って変わって随分協力的じゃないのよ。人間変われば変わるものね、コウソンショウさん?」
女エルフの嫌味に顔色ひとつ変えないハゲ修験者。
その素振りに、相棒と同じ融通の利かなさを感じた女エルフは、うそうそ冗談よとすかさず自分で自分の言葉を訂正することになるのだった。
まぁ、その通りだろう。
頑固でもなければ、そして真面目でなければ、国の荒廃に自ら手を上げて立ち上がることなどしはしない。まず間違いなくハゲ修験者はその類であった。
もらえるものはなんでももらっておく主義。
金も宝も道具も助言も。それの善悪が自分で見分けられる程度には、社会経験を積んでいる。確固たる自信のある女エルフと男騎士は、まぁ、聞くだけの価値はあるだろうと、話してみろとハゲ修験者に声をかけた。
おほんと咳をしてまずは少し砕けた空気を締める。
「まずは我らがミッテル使徒九傑についてお話せねばなるまい。そも、我々がどういうものか、貴殿らは知らぬであろう」
「……まぁ」
「そりゃねぇ。戦神ミッテルは知っているけれど、使徒なんてのがいるなんて、生まれてこの方初めて知ったし」
「さもありなん。まぁ、そうは言っても難しいものではない。我々はつまるところ、ミッテル様から選ばれて、定命の者であった身にも関わらず、永遠の命を与えられた者である。そこに居る、白百合女王国の影姫とまぁ似たようなものと言えばそうなるな」
白百合女王国の影姫とは。
言われなくても第二王女のことであろう。
視線は確かに、新女王の頭を撫でている第二王女に向かっていた。
なるほど吸血鬼のようなもの、そう言われると理解が早い。
理解が早いがなんのためにと、女エルフは首を傾げた。と、こんな時に、話が早いのが一人いる。このどちらかと言えば脳筋寄りのパーティにおいて、この手の話を一身に引き受ける知的労働者――ワンコ教授であった。
「だぞ、戦神ミッテルは正しき戦いに正しき加護を与える神でもあるんだぞ。そのために、つぶさに下界の戦を観察し、時には戦に限ってのみその力を与えるというんだぞ」
「左様。そちらの獣人の乙女が申す通り。ミッテルさまは、このあまねく大地をつぶさに観察しておられる。しからばどうやって」
「だぞ!! つまり、その目の代わりになっているのが使徒――ミッテル使徒九傑という訳なんだぞ!!」
ご明察。
びしりとワンコ教授の言葉にそんな芝居めいた言葉を返すハゲ修験者。
得意げに胸を反るワンコ教授に、今回ばかりは茫然として、女エルフたちが掛け値のない拍手を送った。
意外とすんなりと、そしてあっさりと話が進んでなんだか助かった顔をするミッテル使徒九傑を名乗ったハゲ修験者。
彼はしからばと言って胸から巻物を取り出す。
緑色をしたそれは、なんだかとても――忍法帖っぽい何かであった。
「これなるは、我と同じくミッテルさまに認められた、九傑の名が記された秘帳。その写しにござる」
「ほう」
「ずばりミッテル九傑のリストってことね」
「これを貴殿らに託そう。そして、我の血判を添えようではないか」
ますます、何かの忍法帖みたいな感じになって来たなと、顔色を青ざめさせる男騎士たち。そんな彼らに代わって、好奇心が先に立つのだろう、ワンコ教授が巻物を受け取った。
巻物を渡し、満足そうに頷くハゲ修験者。
「ここに名のある者たち、全ての血判を揃えた時、ミッテルさまは貴殿らの前に姿を現すことであろう」
「わぁ、分かりやすいお使いイベント」
「しかもあれだな、地味に手間のかかる奴だな。九人か。しかも、コウソンショウどののように摩訶不思議な魔法の使い手が多いとなるといささか骨が折れそうだ」
そう思いながら男騎士がぺらりと巻物を開く。
するとそこには――。
第一席 伏龍宰相 コウメイ
第二席 慈悲久遠 ゴ・ヨウ
第三席 変態店主 ロー・シュンギー
第四席 出雲之虎 コウソンソショウ
第五席 魔法少女 コ・メットゥ
第六席 鉄人二八 ゴウ
第七席 四面楚歌 コウ・ウ・ラッキィ
第八席 魔覇利苦 サリィ
第九席 影〇忍者 コウガァ
「「なんか見知った名前が一番上にある!!」」
第三部でぶちのめした、サインの貰えぬ相手の名前が書かれていたのだった。
「だぞ、それにしても、コから始まる名前が多いんだぞ」
「多いですね」
「「いや、驚くところはそこじゃないだろ!!」」
そして、コで始まる名前が異様に多いのであった。
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