どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第527話 どエルフさんとどオカマ僧侶さんたち
第527話 どエルフさんとどオカマ僧侶さんたち
【前回のあらすじ】
男たちの堅い友情のワンシーン。
拳を付き合わせてお互いのことを信じあう二人。
男騎士と壁の魔法騎士の取り戻された熱い友誼。
ここはどう考えても感動するシーンでございます。
なのに、だというのに。
「って!! さりげなく親指にぎりこむんじゃないわよ!! 小ネタ!!」
どエルフのツッコミにより感動のシーン台無し。
興ざめもいい所になってしまうのだった。
流石だなどエルフさん、さすがだ。
「なんだかその煽り、久しぶりに聞いた気がするわよ」
◇ ◇ ◇ ◇
さて、旅の目的についてはこれではっきりした。
男騎士たちは再び起こるであろう暗黒大陸と魔神シリコーンとの戦いに備えて、神々から魔神を倒す許可を得るために彼らと謁見を果たしにいくのだ。
依頼に合わせてあっちへうろうろこっちへうろうろだったこれまでの冒険の旅。
そこに一つのはっきりとした目的ができた。
それに意気揚々とやる気を露にしたのはワンコ教授だ。
もともと考古学を専攻する博士の彼女には、神々との謁見という行為に興味が惹かれるものがあった。軍神ミッテルを奉じるバビブの塔の攻略の際にもそうだったが、彼女は抑えきれない好奇心に耳をひくひくと震わせていた。
そんな彼女が声をあげようとしたその時。
「さて、モーラ。ちょっといいかしら」
またしても待ったがかかる。
しかしながら今度それをかけたのは壁の魔法騎士ではない。
しれっと彼と一緒に現れたかつての大英雄――オカマ僧侶であった。
いったいどれだけ出発を邪魔すれば気がすむのよとため息の一つでも漏らしそうな所だが、女エルフは今回ばかりはその言葉に頷いた。
彼女たちに神々との謁見を勧めたオカマ僧侶に敬意を表してではない。
それは彼女の養母の仲間として敬意を表してのものだった。
「セレヴィの状態について旅立つ前に話しておく必要があるわね」
「……やっぱり、まだ」
どこか言葉尻にキレのないオカマ僧侶。
その口調に女エルフの顔が苦々しく歪む。
そんな顔しないのとオカマ僧侶がすぐにフォローしたが、親を思う子として、その反応は仕方のないことだった。
女エルフの肩を抱いて、オカマ僧侶が優しく語り掛ける。
大丈夫よというその言葉には、女性にはないオカマ独特の抱擁感があった。
「エモアとネイビアがついててくれている。けど、やっぱりペペロペの呪いとあの最後っ屁は強いみたいね。まだ目を覚ます気配はないわ」
「……お
「けど確実に体調はよくなってきている。魔女ペペロペから受けて来た魔障が解ければきっと前の元気なセレヴィに戻ってくれるはずだわ」
だから安心してと彼女は仲間の養女をはげました。
あの後、魔女ペペロペの装備を全て無効化され、呪いから解放されたセレヴィ。しかし数百年に渡って魔女ペペロペの呪いに浸され、そして最後に生命力さえも稀代の魔女により搾り取られたセレヴィの身体は、ぼろぼろと言ってよかった。
なんとか女エルフの魔法により救い出すことこそ叶ったが――真に彼女が復活するにはまだまだ時間がかかりそうだった。
救うためとはいえ、養母に向かって魔法を放ったのは他ならない女エルフだ。
罪悪感がその胸の中に湧かない訳がない。
気を利かしてオカマ僧侶は女エルフの前に現れたつもりだっただろう。だが、女エルフの瞳の端に涙が浮かぶのは仕方なかった。結局、養母を傷つけてしまったことは間違いのない事実なのだ。
ひっくとしゃくりあげる女エルフ。
今にも喉から絞り出すような泣き声を上げそうな彼女。そんな彼女の頬を――いきなりオカマ僧侶は両の掌で包むともにもにとこね始めた。
だからそんな顔をしないのとオカマ僧侶。
「貴方のお兄さんも協力してくれるって言っている。教会も総力をかけて彼女の治療に専念するわ。心配しなくても大丈夫。きっと、セレヴィの体調はよくなるわ」
「……クリネスさん」
「だから貴方は安心して旅立ちなさい。そして、今度こそ、貴方のお
分かりました。
涙を拭ってオカマ僧侶に向かう女エルフ。
目の端からとめどなく流れていた涙は止まっている。オカマ僧侶の言葉に支えられて、彼女もまた男騎士と同じように覚悟を決めた。
よしよしと女エルフの頭を撫でるオカマ僧侶。
男であり女。父性と母性の二つを持って、親友の愛娘を温かく抱きしめる彼女。そんな彼女はようやく女エルフから距離を取ると。そうだわとポンと手を叩いたのだった。
「で、これから神々との謁見に挑もうという貴方たちに餞別があるのよ」
「餞別?」
「そう。本当なら、私たち全員でついて行ってあげたいんだけれどね……」
「それやっちまうとオッサムはともかくミッテルとかライダーンとか、気難しい奴らはウンと言わねえだろうからな。まぁ、俺様みたいにもはや人じゃなくなっちまった奴なら、なんとかなるだろう」
そう言ってひょいと腰の後ろからオカマ僧侶が取り出したのはインテリジェンスソード。
意志持つ魔剣にしてかつての大英雄。
「「スコティ!!」」
「だぁーもう、いいよそういうのは。今までどおり、魔剣エロスでいいじゃねえかよ。まったく、お前らは真面目だなァ。真面目かなどエルフさんにど男騎士さん、まじめかな」
大英雄の魂が宿りし魔剣――エロスであった。
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