どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第459話 どエルフさんと神々のメッセンジャー
第459話 どエルフさんと神々のメッセンジャー
【前回のあらすじ】
「サザ〇でございまーす」
大変。海から、ビックサザ〇が現れた。
それこそはこれまで作中で語られてきた、この世界の神の一柱、海母神マーチの眷属にして、彼女のメッセンジャーであった。
クトゥル〇かと思った?
残念!!
この世界の神さまは漫画の神様なんだなぁ。
「Ⓐテレスに、軍神ミッテル、それにつづいて海母神マーチって、そういう……」
という訳で、はい、ホラーとみせかけて、やっぱりギャグだよどエルフさん。
コズミックホラーより、サンデーナイトホラーをお楽しみください。
「ホラー成分なんてあの作品にはないでしょ!!」
◇ ◇ ◇ ◇
「ビッグ……!!」
「サザ〇……!!」
驚愕する男戦士と隊長。声こそ上げなかったが、戦慄して目を見開く第一王女とヨシヲ。そんな彼らの前で、水底から現れた、海母神のメッセンジャーは、怪しい緑の光を立ち昇らせた。そして、もう一度、叫ぶ。
「サザ〇でございまーす!!」
分かっているわよ。
いつもならば、女エルフが鋭いツッコミを入れるところである。
しかし、女エルフは心ここにあらず。魅入った顔を続けていた。
海より現れた海母神の使者。
それを前にしても、未だにその正気を取り戻すことはない。
既に彼女の精神は、深く、そして強く、その眷属の主と絡み合っている。
そして、彼女の体に何か変化が及んでいるのも間違いなかった。
純白の水着に身を包んだエルフの肢体は、今、その海からの使者と同じように緑の光に包まれようとしている。
彼女の相棒――卑猥な埴輪の地の精霊王が唸る。
「なるほど、代理戦争ってことか」
「代理戦争!?」
「暗黒神が魔女ペペロペをこの世に顕現させたのに対抗して、海母神もまた、この世に自分の使者を顕現させ、それと対抗させようとしているってことさ」
「けど、神々は基本、この世界に不干渉なんじゃ」
「いえ。海母神マーチは、我々教会の呼びかけに応じて、多くの知啓と奇跡を人々に与えてくれる慈悲深い神です。いよいよ、抜き差しならなくなった暗黒大陸との状況に、こうして力を貸してくれるというのは、あり得ない話ではありません」
「だぞ!! その通りなんだぞ!! マーチは、昔から、人間に様々な恩恵をもたらしているんだぞ!! あり得ない話じゃないんだぞ!!」
なるほど、と、納得する男戦士たち。
その前で、また、ざぱーんと、大きな波音が立った。
さきほどよりいくらか小さいその音。
しかし、波がひくとそこには新たな影がひとつ増えていた。
そう、それこそは。
魚の体に、人間の手足、ぎょろっと剥いた目に、鋭い尾びれ。
「カツ〇でございまーす!!」
「なっ、なにぃいいいいっ!!」
海母神の使者再び。
二本の脚で立ち、死んだ目でこちらを見る、海産物の姿がそこにはあった。
その姿、威勢のいい声に反してなんとも悪魔的。
宇宙的な恐怖が男戦士たちの頭を走った。
やはり、これはクトゥル〇的な何かではないのか。超宇宙的なギャグコズミックホラーなのではないのか。そんなことを考えているうちに、また白波が立った。
そこから現れた影は、また、二本の脚を持つメッセンジャー。
まさかのマ〇。
荒巻マ〇。
「びゃぁあ゙ぁ゙ぁうまひぃ゙ぃぃ゙!!」
「なっ、なんだとぉっ!!」
鱒、そう、マ〇である。
鮭の仲間マ〇に、にょきっと四つ足の生えた者が、そこには立っていた。とても神々しい姿とは言えない、不気味なマ〇がそこには立っていた。
インスマ〇。いや、フグタマ〇。
狂気に男戦士たちがSAN値判定をロールする。
知力が低い男戦士ではあったが、スプラッタホラーというか、斬った張ったには慣れていた。なんとかそれには耐えた。
しかし、繊細なヨシヲ、そして、ワンコ教授、第一王女は耐えかねて倒れた。
なんとか耐えきったと、顔を見合わせる男戦士と店主と隊長、そして、海母神を崇め奉る
いつになく申し訳ない顔をする彼女の前で、また、白波が立った。
今度はなんだ。
そう思って、男戦士たちが視線を向けるとそこには――。
「イッソノォ!! ヤッキュウ、シヨウッゼ!!」
「ナカジマァ!!」
眼鏡の男が立っていた。よくわからない色黒のナイスガイが、釘バットを手にして立っていた。ダンディマッスルが、上半身裸になって、コナ〇・ザ・グレートよろしく、ワイルドにそこには立ち尽くしていた。
まさかの人間。しかも、まったく海産物に関係のない使者。
どこから流れ着いたのだ。どうしてやって来たのだ。こいつも使者なのか。だとして、どうしてサザ〇さんファミリーじゃないのだ。
いろいろとツッコミたいところだったが、この作品のツッコミ役は、ただいま絶賛高次の存在と交信中。とてもではないが、ツッコむことなどできないのだった。
あぁ、ツッコミがいないということが、ここまで歯がゆいことだなんて。
男戦士たちが戦慄する中、また、白い波が浜辺に打ち付ける。
「チャーン!! バーブゥ!!」
オレンジ色の玉であった。
一星球でもない、四星球でもない、それはイク〇であった。
なぜだろう、なぜなのだろう。
なぜ、固有名詞なのに、〇を付けて伏せなければならないのだろう。
どうかしている。これじゃおちおち、魚河岸小説なんて書けやしない、グルメ小説なんて書けやしない。けれどもなんで、〇を入れられずにはいられないだろう。
宇宙的な恐怖以前に、著作権的恐怖が男戦士たちを襲う。
そんな中、ついに、店主がSAN値判定に失敗してその場に倒れた。
残された、強靭な精神を持ったソルジャーたち。
その前で――。
「さぁ、エルフの巫女よ!! 今こそ我らが大神の力をその身に宿す時だ!!」
それまでのどうかしている台詞から一転して、まともな言葉を喋る、海母神のメッセンジャーたち。彼らの声に呼応して、女エルフが宙へと飛んだ。
緑の光がひときわまばゆく光り、まるで魔法少女の変身バンクみたいに、集中線が彼女へと向かって走る。あぁ、あれなるは、まさしく魔法少女の後半テコ入れパワーアップ演出。逆転へと至る為の、第二フォーム。
「メイクアップ!! イアイア!!」
「「「やっぱりクトゥル〇!!」」」
濃厚なボケばかりが集まった男戦士たちであったが、流石にそれにはツッコミを入れずにはいられなかった。
メイクアップイアイア。
それはそう今世紀最悪の変身台詞であった。
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