第457話 壁の魔法騎士と凶騎士あいまみえる

【前回のあらすじ】


 ゆでだったり、FG〇だったり、盛り込み過ぎていろいろ限界。

 とりあえず、就職先決まりましたー、あじゅじゅあじゃしたー。


「うぉいっ!! あんだけ多方面に迷惑かけといてなんだそのあらすじ!!」


 いやもう、難産で難産で困ってた所に、会心の話をかけて個人的に言うことがないんですよ。あとで見直すと、ハテってなるかもしれないけど、リングから引きずりおろすまでの流れが完璧ですよね。あと、ジェロ〇モ被りも。


「謝れ!! ジェロニ〇に謝れ!!」


 さんを付けろよエルフ野郎。

 割と普通にジェロニ〇さん好きです。

 うん、性能は微妙だけどね。


 さて、そんな消えぬ炎のFG〇パロは置いといて。今週末も壁の魔法騎士パート突入です。第二部隊と激突したのはかの紅い騎士エドワルド。対するは、中央連邦共和国騎士団の雄、第二部隊団長にして凶騎士カーネギッシュ。

 狂暴な二人の騎士が散らす火花は、戦局にどのような変化をもたらすのか――。


「ほんと、週末だけはまともね」


 そろそろまともなのも書けるようにならんとね。(意味深)


◇ ◇ ◇ ◇


 その剣閃はさながら嵐のよう。振り切った剣の身を肩当てに載せて勢いを殺すことなくコントロールすると、失速させることなく次の太刀を見舞う。

 血を吸った剣は刀身の血溝にそれを滾らせて、柄に至るまでに戦場に舞う血の霧へと変える。


 血風を巻き起こすその将は――金色のマッシュルームヘアーをしていた。

 名を、凶騎士カーネギッシュ。


 他方、燃えるような赤い外套を振りまいて、戦場を流星が如く突き進む者あり。誰もその影を踏むことはできぬ。その赤い姿が通り過ぎれば、残されるのは、体の一部を切り落とされ、戦士としての尊厳を奪われた者のみ。

 耳に蓋をしたくなるような叫び声を上げて戦場を駆け巡りながらも、その軌道はどこまでも合理的であり、一切、敵を寄せ付けない凄みがあった。


 速きその男こそは――暗黒大陸の凶将。

 仮面の騎士エドワルド。


 二つの戦場を行く点は、やがてお互いにひかれあうようにして、戦場の中で相まみえた。それまで、止まることのなかった嵐と流星が、鍔迫り合い――激しい火花を散らしたかと思うとそこに静止した。


「――くっ、ははっ!! やっと止まった!! 止まったか!! あぁ、ようやく巡り合えた好敵手だ!! いいぞ!! いいぞいいぞ!! そうでなくっちゃやりがいがねぇ!!」


「――第二部隊を随分潰してくれたようじゃないか。けどね、これ以上、僕自慢のお洒落な部下を好きなようにはさせないよ!!」


 剣が離れる。

 気が付けば二人は二人、必殺の構えを取っていた。


 燃える炎を宿した剣を大上段に構え、深く踏み込み唐竹割に入ろうとするのは仮面の騎士。

 一方、剣の刃を後ろに下げて、柄を前に突き出す形で待ち構えるは凶騎士。

 先を取ったのは仮面の騎士。後の先を狙うは凶騎士。

 二人は一呼吸の後、裂帛の気合と共にお互いの剣を振るった。


「こぉっ!!」


「つぁっ!!」


 振り下ろされた紅色の剣は、炎を撒いて凶騎士の右肩に襲い掛かる。そして、刃先は正中線を断ち切って、正面に相対する者の脇の下へと抜けようとしていた。


 一条の流星のようなその剣筋。

 しかし、凶騎士は瞬きもせずに見抜いて避けた。


 後の先を取った。

 凶騎士の剣が煌めいて、振り切った仮面騎士の右腕を下から上にはね上げる。


 それまで、多くの仲間の体を、切り落とし、叩き潰し、砕いてきたその腕は、凶騎士の巻き起こす新たな血風に捲かれて空へと飛んだ。


 漏れる声。

 しかし――それは愉悦を含んでいた。


 凶騎士の鋭き剣閃をその身に受けたはずの仮面の騎士は、目元を仮面で隠したまま口元だけで笑っていた。


 戦場に渦巻く狂気が憑依したようなその笑顔に、また、凶騎士も笑顔で答える。


「いいぜ!! 腕一本、持っていくとはたいしたもんだ!! 中央大陸に男はいねえと思っていたが、なかなかどうしてやるじゃねえか!!」


「一本でも二本でも貰ってあげるよ。望むのならば三本目だってね」


「……ほう、その口ぶり。まるで知っているみたいじゃねえか」


 赤い外套をはためかせて、仮面の騎士が肘より先が失われた右腕を天にかざす。血を吹き散らして天に掲げられたそれに、血よりも赤い光が集まった。

 回復魔法ではない。その身に今起ころうとしているのは、血に刻まれた呪い。


 仮面の騎士の失われた右腕が天を掴んだ。

 伸びたのは赤い――鬼の剛腕。


「この力を思う存分使える相手が欲しかった。攻城兵器扱いじゃよう、こっちも人間としての尊厳があったもんじゃねえ。なぁ、そう思わないか、連邦の騎士!!」


「もっともだ!!」


 紅星武天シャザックと、彼はその身に巣食わせた鬼の名を呼ぶ。

 たちまち巨躯の鬼へと変じた仮面の騎士は、天に向かって肺腑の息を全て吐き出して咆哮を巻き上げた。


 対して――。


「なるほど鬼族の呪いを持つ者か。こいつは、厄介だね」


 凶騎士はまたしても剣の刃先を後ろに回す。

 そして、静かに呼吸を整えると――。


「ジャモッジ!!」


「あいよぉっ!!」


 彼より数歩離れたところ、緑柄の豪槍を振り回していた騎士に声をかけた。彼は、その言葉を受けて、腰にぶら下げていた丸い何かを投げてよこす。

 右手でそれを受け取ったカーネギッシュ。


 恭しくそれに礼をすると、すっぽりと頭の上に被った。

 そうそれこそは、彼が先代――死神ヨハネ・クレンザーから賜った狂気の装備。

 狂化によるステータスアップ効果を秘めた頭部装備。


「ウルァアアアアアアアアア――――!!」


 呪いのフルヘルム――殺鎧。

 今、狂気の中に自らその精神を投じて見せた連邦第二の騎士は、先ほどまでの流れるような太刀が嘘のような、荒々しい一刀を鬼の胸に向かって斬りつけた。


 人ならば絶死の袈裟斬り。

 しかし、鬼である。切り口からそれはすぐに再生し、その視線と腕は、宙をきりもみして舞う、凶騎士の姿を既に追っていた。


 鬼と死神。

 地獄のような戦いの始まりであった。


「グルァアアアア!!」


「ウルァィアアァアイイイア!!」

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