第354話 暗黒大陸とバレバレフスキー
【前回のあらすじ】
みなさんガンダ〇大投票は見ましたか。
いやぁ、まさか作品別ランキングで〇ルガが一位とかびっくりですね。
アキレ〇ス・〇ルガが流行ったかと思ったからこれだもん。
やっぱすげぇよ、ミ〇は。
「関係ない!! 人も変わってるし、なにより本編にまったく関係ない!! あらすじどこ行った!!」
ところでバレバレ仮面さんは69位でしたね。
なんて卑猥な順位なんだ――。
どエルフで、バレバレネタを書いたらそんな順位になるなんて。
まさかのバタフライ効果的な何かが働いたのでしょうか。
「どういう理屈だ、というか、もうオチはよめたぞ」
やっぱすげぇよ、モーラさんは。
「そこは流石だなどエルフさん、さすがだ言うとこちゃうんかーい!!」
はい。という訳でね。
今週もどエルフさん始まる訳ですが、週の初めから一ひねり。
ヨシヲたちに加えてもう一人、忘れちゃいけない、熱い漢の視点からお送りしようと思います。
しかしこの作品、バレバレ剣、バレバレフスキー、バレバレ僧侶と、バレバレ野郎がやたらと多いですね。
こーの露出狂が!!
「違うから!! バレバレってそういうんじゃないから!!」
◇ ◇ ◇ ◇
西の王国と中央大陸連邦国の境。
かつて、男戦士たちが移動都市ローランを探索した砂漠。
そのちょうど中央、隊商が立ち寄るオアシスに――突然の悲鳴が響き渡った。
脂ぎった顔をした男が肩口から胸をざっくりと斬られ絶命する。その傷口は剣で斬られた綺麗なものではない。体重を籠めて、骨ごと断ち斬られた荒々しいもの。
斧で斬りつけられてついた傷口であった――。
オアシスで休憩していた商人たちが騒然とする。
そんな彼らを取り囲むように、茂みの中から大勢のゴブリンたちが顔を出した。
彼らを率いているのは、痩せっぽっちのダークエルフと、ずんぐりむっくりとしたハーフオークの二人である。
降り注ぐ太陽光なぞなんのその。
まさしく悪漢という顔つきに汗を滴らせて、二人はがははと口を開いた。
「おまっとさんだにぃ!! 正義の味方じゃない、エルフの味方見参だにぃ!!」
「んがぁっ!! 久しぶりの登場なんだなぁ!!」
なんだお前たちはと誰何するより早く、血の嵐がオアシスに吹き荒れる。
次々に、切り捨てられては砂の上へと吹き飛ばされていく商人たち――。
その商品――麻の貫頭衣を着せられた少女エルフたちが見つめる中で、雄々しく血斧の振るい手は雄たけびをあげた。
「うぉらぁっ!! ドエルフスキーさまの一団の登場だ!! 俺様の目と鼻が黒いうちは、エルフの人身売買なんて許さねえぜ!! お前ら全員、砂漠の砂に変えてやらぁ!!」
◇ ◇ ◇ ◇
隊商の者たちは、商品であるエルフの少女たちを除いて、一人の例外もなく殺された。
鎖で繋がれた少女エルフたちを解放し、ダークエルフとハーフオーク、そして、少し人間染みた顔をしたゴブリンたちがにこにこと少女たちに微笑みかける。
最初は突然現れた一団に怯えていた少女エルフたちだったが、どうやら彼らが自分たちに害意を加える気がないと理解すると、すぐにその緊張を解いた。
まずはオアシスで体でも洗って休むように。
ダークエルフが彼女たちに勧める。
その一方で、ハーフオークが、オラたちはあっち行くべと、ゴブリンたちを引き連れて少し離れた所に移動した。
オークも、ダークエルフも、ゴブリンも。
彼女たちが聞いていたより随分と紳士だ。
加えて彼らを率いる大将が――エルフ族とは不倶戴天の仇とも言えるドワーフであるというのがにわかに信じられなかった。
だが、助けられたのは事実である。
少女エルフたちは、恐ろしい奴隷商たちから解放されたことを、ぼんやりと実感しながら、勧められるままにオアシスで体の汚れを落とした。
そんな中――。
「親分。ここから近いはぐれエルフの里はどこがありましたっけだにぃ?」
「西の王国の森の外れだ。砂漠を越えなくちゃな。ちと、辛い旅路になる」
「んがぁ、けど、このまま奴隷になるよりはマシなんだなぁ」
「だにぃ。エルフはこの世の宝だにぃ。それを奴隷にしようなんて、頭がどうかしてるにぃ。同じ人間のやることとは思えないにぃ」
「……まったくだ」
息巻いて髭を揺らすドワーフ男。
筋肉達磨。小さい体躯ながらも全身これ筋肉でできていると思わせる、鍛え上げられたその身体を揺らして、ドワーフ男は遠く東の空を見た。
一仕事終えた男の顔である。
熱さ寒さには強いのか。
ドワーフ男は、うだるような砂漠の中にあって、鋼の鎧を着こみながらも汗の一つもかいていなかった。
暗黒大陸の脅威が迫ろうとしているそんな中。
相変わらず、ドワーフ男率いる盗賊団は、大陸中を西から東へ、北へ南へと縦断し、困ったエルフ娘たちを助けているようである。
はたして彼らは、何故そんなことをしているのか――。
エルフ娘たちを神聖視しているのは間違いない。
けれども、ただそれだけの理由でこんな行為にはたして及ぶだろうか。
献身という言葉だけではどうにも納得のいく説明ができない。
彼らがそれぞれ、何かしらの理由を抱いて、このエルフ救済活動に加わっているのは間違いないだろう。
だとして。
「……ちっ。年甲斐もなくはしゃいじまったぜ。斧が刃こぼれしてやがる」
この一団を率いているドワーフ男。
彼はいったい、どんな理由で、このエルフを神聖視する仲間たちを率いているのだろうか。何が彼をそんな立場に置かせるのだろうか。
遠く青い空を見る黒目がちな瞳は何も告げない。
空の青を吸い込んで、ただ暗黒に輝くばかりだ。
砂漠に吹く風に揺れる髭も、つぶれた黒い鼻先も、同様だ。
黒ずんだその厚ぼったい唇も閉じられて簡単に上がりそうにはない。
「なんにしても、久しぶりの大仕事だ。気合を入れるぞ、チッチル、バブリー」
「任せてくださいだにぃ、親分!!」
「んがぁっ!! この調子で、南の国の騒乱も鎮めちまうんだなぁ!!」
「そこまでするつもりは――」
そうドワーフ男が言いかけた時だ。
砂漠を西に向かって吹いていた季節風が、突然、東に向かって吹いた。激しく舞う砂に、わぁと皆が目を瞑る中――。
「……セレヴィ?」
ドワーフ男がとある英雄の名を――そして、今は暗黒大陸の巫女と化したエルフの名を口にした。
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