第252話 どエルフさんとおっぱいスパーク

【前回のあらすじ】


 無制限バーリートゥードゥ魔法少女勝負!!

 おぉ、エクストリームスポーツ!! 無制限バーリートゥードゥ魔法少女勝負!!


 空を飛び、ハイメ○粒子砲を撃ちあう、魔法少女勝負の更に上を行く無制限なんでもありのエキサイティングバトル。そんな素敵スポーツの前に、女エルフは白目を剥いてマットに沈んだのだった。


「も、モォーラさん!!」


 全体的に肉っぽくなってまいりました。


 なお、作者は超人オリンピック編までしか読んでない模様です。


◇ ◇ ◇ ◇


「ふはははっ!! どうやら私の嘆きの少女十字星で失神したようね!! スケベエ刑事みたいな格好をしている割には、大したことのない奴!!」


「モーラさん!! 立って、立ってください!!」


「モォーラさん!!」


「だぞ!! 立つんだぞモーラ!!」


「くっくっく、優しい仲間たちだこと――しかし、だからこそ私は容赦しない!!」


 とう、と、またロープに飛んだ魔法少女。

 しかし今度は、そこから上に飛翔したりということはしない。


 代わりに、ロープを引っ張って来た彼女は、そこに女エルフの首をひっかけた。

 更にさらに、リングの反対側へと女エルフの脚を引っ張って引きずると、彼女は失神している女エルフのつま先にロープを結わえ付けたのだった。


 失神して白目を剥いているだけでも痛々しいその姿。

 それが、ロープで首を絞められることにより更に青々しく変わっていく。


 うわぁああぁあぁ、と、耐えられなくなってワンコ教授が叫ぶ。

 そんな中。


「ふははっ、まさか、これで終わりだと思っていないだろうな!!」


「なにぃっ!?」


「本番はこれからだ!! とぉうっ!!」


 コーナーのポールに立っていた魔法少女が、掛け声と共に宙を舞う。

 ルチャドールのごとく。

 華麗に宙を舞ってみせた彼女は、そのままくるりと宙で一回転。


 そしてその肘を、失神している女エルフの腹に向けた。


「喰らえ、これが無制限バーリートゥードゥ―魔法少女勝負三十六の必殺技が一つ――魔法少女ギロチン!!」


「いっ、いやぁああああっ!!」


 女修道士シスターのリングを引き裂くような悲鳴があたりに木霊する。

 しかし無慈悲にも、魔法少女の膝は女エルフの腹に直撃した。


 顔と足をロープに結わえられたことにより、自らもロープと化した女エルフ。

 その体がリングに当たって、大きく跳ね返る。


 白目を剥きながらも、また、彼女は口から血――のようなモノを吐き出した。


 鮮血の華をリングに咲かせた女エルフ。

 しかし――。


「まだまだ!!」


 そんな彼女を蹴り上げて、更に高く跳躍した魔法少女は、もう一度、その腹に膝を叩きつける。


 二度、三度、四度――。

 魔法少女ギロチンは、一度でその命を断つ訳ではないらしい。


「これはまずいですよ、モーラさん!!」


「もぉおっ!! やはり三百歳アラスリエルフに、魔法少女なんて無理だったんだ!!」


 そういう問題ではない。


 相棒エルフのピンチを前に、どこかずれた返しをする男戦士ことピンクの牛。

 一同、ずるりとその場にずっこけた。


 しかし、このピンクの牛は女エルフがやられる姿から目を離さない。


 その表情は間が抜けている。

 だが、瞳だけは確かに女エルフの勝利を信じて煌いていた。


 と、その時だ。


「そろそろフィニッシュホールドよ!! それぇっ!!」


 魔法少女の掛け声と共に、ひときわ大きく跳ね上がった女エルフ。

 ついにその両端を戒めていた、ロープが、都合よく解放される。


 そうして宙に無防備に放り出された女エルフの体――魔法少女はその胴体に足をか絡ませると、彼女の両手を引っ張り上げた。


最終奥義フィニッシュホールド――おっぱいスパーク!!」


【奥義 おっぱいスパーク: 下乳あたりをがっちりとホールドして、そのままリングに叩きつけるという必殺技にしてフィニッシュホールド。地面に激突した際に、そのエネルギーを余すことなく伝えるだけでなく、更にハイメ○粒子砲を自分もろとも相手に浴びせかけるという、男気溢れる必殺技である。おっぱい!!】


 バシーン、と、派手な音を立てて、リングに叩きつけられた女エルフ。

 そこにピンク色のハイメ○粒子砲が降り注ぐ。


 ぐあぁあぁあぁ、と、声を上げて、女エルフはその場に仰向けに倒れたのだった。


「ふっ、勝負あったわね。三百歳アラスリ魔法少女、たいしたことはなかったわ――」


 おっぱいスパークの構えを解いて、リングに背中を向ける魔法少女。


 なんということだ、ついに望みは潰えてしまったのか。

 男戦士はこのまま一生、ピンクの牛として生きていかなくてはいけないのか。


 そして、これより上の階に進むことはできないのか。


 絶望に、男戦士パーティたちが包まれていたその時である。


「いや、まだだ!! モォーラさん!!」


「……なにぃっ!?」


 女エルフが、息も絶え絶え、その場に立ち上がったのだった。


 相変わらず目は白いまま。


 だが――火事場のなんとやらである。


 立ち上がって、女エルフは試合終了を回避してみせた。


 それは、女エルフの意地であった。

 そして男戦士は知っていた――彼女があきらめの悪い女であるということを。

 信じていたのだ、こんなことで負けるはずがないと、最初から。


「バカな、おっぱいスパークは確実に決まっていたはず!! なぜ生きている!!」


「バカはお前だ!! よく見てみろ、モォーラさんのおっぱいを!!」


「なにぃ――こっ、これはっ!!」


 そう、言われて見てみた、女エルフの胸は真っ平ら。

 まったく引っかかるところのない大平原。


 つるりとぺったんボディだった。


 三百歳なのに、まったく成長していないその胸に、魔法少女は戦慄した。

 そして理解したのだ。自分のおっぱいスパークに何が起こったのかを。


「確かにお前のおっぱいスパークは完璧な型だった!! しかし、モォーラさんの身体には、そもそも、ひっかけるような下乳が存在しない!!」


「そうか!! 乳のないモーラさんだから、おっぱいスパークの威力が、まともに伝わることなく外に漏れたということですね!!」


「だぞ!! おっぱいスパーク貧乳にやぶれたりなんだぞ!!」


「――ぐぼぁああああっ!!」


 貧乳貧乳言われ過ぎて、血を吐いた女エルフ。


 肉体的なダメージは、貧乳のおかげで軽減されたようだった。

 だが、精神的なダメージは相当に大きいようだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る