第250話 どエルフさんとメイクアップ
【前回のあらすじ】
ピンクの牛にされてしまった男戦士を救うため、三百歳なのに魔法少女になることになってしまった女エルフ。
はたして、魔法少女勝負に勝つことはできるのか。
ところで、話は変わりますが。
魔法少女っていったい何歳まで名乗ることが許されるんでしょうかね。
私としては十代前半までがギリギリ名乗っていい範囲だと思うのですが、どうなんでしょう。そういう意味で言うと、今回の女エルフの行動は、風○店でそういう特殊なプレイを指名された感じで、いい歳した嬢がそういう格好をするというのもなんというか、この世の終わりと言いますか、作者の特殊な感じの性癖を晒すような――。
「いいから、とっとと本編やんなさいよ!!」
◇ ◇ ◇ ◇
魔法少女勝負の開催が決定した直後のことである。
そこまで、下の階と上の階へと続く階段しかなかった第七階のフロア中央に、突如として青いリングが現れた。
とぅ、と、そのリングに飛び上がった魔法少女。
ピンク色をしたその服が発行したかと思うと――彼女のその服装は、そのままでも十分正統派魔法少女だというのに、魔法少女服デリケートモードへと変形した。
描写力に難があると言われている作者である!!
字数稼ぎも兼ねてあえて描写させていただこう!!
決して読者サービスではない!!
大事なことなのでもう一度言う!!
決して読者サービスではない!!
ピンクのスク水の上から天使の羽を思わせるようなカーディガン。
その胸元には赤いリボンが金色の留め具と共に揺れている。
そのほっそりとした腰には金色をしたベルトが巻かれており、そこから側面に向かって、薄いシルクのような帯が無駄に伸びていた。
腕には肘先まである薄ピンクの手袋。
手首にはこれまた翼を模したブレスレットが、両腕に嵌められている。
そして、生足!!
なんといっても生足である!!
脚の先には白いトゥシューズ。
踝までしかないソックスを穿いた彼女の下半身は、これでもかというくらいに生足が、デリケートゾーンからそっくりそのまま、びっくりするほど顕になっていた。
もう一回言おう!!
生足である!!
どうだろう、これが作者の描写力の限界である。
誰か、このアホに、もう少しまともな描写ができるように指導してやってくれ。
まぁ、それはさておき。
「ふふっ、どうやらこのリリィさんの本気モードにドン引きのようね!!」
「いや、うん、はい――」
「けれどもこれが魔法少女勝負!! さぁ、貴方も早くメイクアップしなさい!!」
「いや、メイクアップしろって言われても――」
どうすればいいのかと、女エルフが助けを求めるように仲間を見る。
とりあえずリングに上がればいいんだぞ、と、おそらくパーティの中で最も事情を知っているワンコ教授がアドバイスをする。
その言葉に従って、しぶしぶという体で女エルフがリングに上がる。
すると、彼女の前にぴょこんと、透明な板のようなモノが現れた。
魔法に長じている彼女である。
すぐにそれが、魔法により出力されたコンソールであることには気が付いた。
そして古代文字で、「デリケートタイプ」「安全安心ふりふりタイプ」と書かれていることにも気が付く。
「デリヘ……じゃなかった、デリケートモォードを選ぶんだモォーラさん!!」
「デリヘ……じゃない!! 機動力のある、デリケートモードの方がなんだかよく分からないですけど有利そうですよモーラさん!!」
「いちいちデリに過剰な反応をするな!!」
デリという単語に過剰反応するピンクの牛と、ピンクの頭の
仲間からの声を完全に無視して、女エルフは安全安心ふりふりタイプを押下した。
残念、モーラはそれを装備することができない。
なんてメッセージはでない。
すぐに彼女の身体は、淡い光に包まれる。
次の瞬間には、安心安全ふりふりタイプの魔法少女コスチュームに包まれていた。
残念ながら、ここで三百歳エルフのの魔法少女コスチュームも、一応描写しよう。
読者サービスではありません。
はい、本当にありません。
誰が
けどまぁ、一応作者の描写力向上の修行の一環です。
丁寧に書くんで読んでやってください。
そう安心安全ふりふりタイプは、デリケートタイプと違って、生足、生腕、生乳など以ての外。その魔法で少女な身体を、しっかりとPTAや放送倫理委員会からの厳しい視線から守れるように設計されている。
まず、丈の長いスカート。
黒くてまったく華やぎのない、ロングスカートは、彼女の足元まで伸びている。
次、上着。
これまたどこからどう見ても健全に見える、黒いセーラー服である。
昭和の匂いすら漂ってきそうな、白いラインとレッドスカーフだけがやたらと眩しい、ごくごく普通のセーラー服である。
もうそのまま、冠婚葬祭なんにでも問題なく出れそうな、そんなコスチュームにも関わらず、彼女の首には赤いチョーカー。
そして、足には茶色いローファー。
そして、ただ一つ、決定的に異質なそれが顔に装着されていた――。
そう、鉄仮面!!
その顔に鉄仮面!!
エルフ鉄仮面である!!
「スケベエ刑事!! スケベエ刑事といういことなのかモォーラさん!!」
「スケベエ刑事――ということなんですね!! モーラさん!!」
おもわず、ピンクの牛と女修道士が、鼻と口を覆ってむせび泣いた。
【キーワード スケベエ刑事: こちらの世界で結構有名な読み物。スケベエな女刑事(よく分からないが賞金稼ぎのような職業の者)が出てきて、なんやかんやいやんばかんあって事件を解決する、男気溢れる冒険活劇である。有名な台詞は――】
「てめえら、許さんぜよ!!」
鉄仮面が左右に開いて、憤怒の表情を顕にするスケベエ刑事――こと、女エルフ魔法少女。凛々しいその表情は、まさしくその元ネタである作品を彷彿とさせた。
まさしく、一部の付け入る隙も無い、超健全コスチューム。
そして再現率。
ピンクの牡牛がたまらず鳴いた。
魔法少女のはずが、どうしてこうなってしまうのか。
「魔法少女のはずが少女鉄仮面になるとは、流石だなどエルフさん、さすがだ」
「許さん――許さんぜよ!!」
せめてもうちょっと、普通に魔法少女っぽい姿にしておいてほしかった。
デリケートタイプを選ばなかったことを、少し、後悔する女エルフなのであった。
「というかこんなん魔法少女ちゃうわーい!! ちゃうわーい、ちゃうわーい!!」
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