第229話 どエルフさんと関羽廟

【前回のあらすじ】


 男戦士たちは魔性少年と同盟を結ぶことにした。


 え、今日はあらすじでふざけないんですかって?


 あらすじというのは前の話を要約するものでふざける場所じゃないからね!!


 ごめんなさい、ネタが思いつかなかったのです。。。

 面白い本編、面白いあらすじが書けるように精進します。。。


◇ ◇ ◇ ◇


 さて。

 男戦士たちの装備の支払いを済ませ、店を後にしたご一行。


 すぐさま、六名は目的のダンジョン――バビブの塔へと向かった。

 のだが。


「なに、これ?」


「すごいんだぞ。人でいっぱいなんだぞ」


「どういうことでしょうか、これはいったい――ここ、ダンジョンなんですよね?」


 知らんのか、と、ばかりに大剣使いが男戦士一行を鼻で笑う。

 魔性少年と違ってどこか愛想のない彼に、少し苛立つ女エルフたち。そんな彼女らの間に入ったのは、他ならない彼の雇い主であった。


「ここ、バビブの塔の一階は、モンスターがいないんですよ」


「どうして?」


「そもそも、ここは軍神ミッテルを祭るためにつくられた塔です。二階から上は、そう――二十八号をはじめとするミッテルにまつわる宝を守るために、モンスターなどを配置していますが、基本は礼拝をする場所なんですよ」


 なるほど。

 確かに魔性少年の説明のとおり、その場に居る人間たちは、冒険者という風ではなかった。どれも、武器を持たない町人という格好である。


「ついでにこの塔を建立した、ショーク国の英雄たちの魂も祭られているんです。結構、見ごたえがあって面白いですよ」


「へぇ」


「ショーク国の英雄ねぇ」


 言われるままに、魔性少年に続いて塔の中へと入っていく男戦士たち。


 朱塗りの両開きになっている扉を通れば、そこは石畳が敷き詰められ、木製の柱が幾つも並んでいる広大な間になっていた。

 入口から覗いて、奥の壁に立っている人たちの顔が見えない――なかなかに大きな広間である。


 その中央。


 軍神ミッテルの像だろうか。

 両腕を大きく天に向かってくの字に振り上げ、塔と同じラピスラズリの色合いをした、老人の像が置いてあった。


「あれがミッテル?」


「そうです」


「神々しさみたいなものが感じられないわね」


「そんなこというものじゃないぞモーラさん。それに、軍神ミッテルは知略権謀の神だ。武力ではなく知恵が回るということを考えれば、老人の姿でもおかしくない」


「ふぅん、そんなものかしらね」


 あまり興味を示さないのは、神などをあまり信奉していないエルフだからか。

 気のない返事に、女修道士が少しやきもきとした表情をした。


 町人たちが多いとは言ったが、流石にそこは軍神。

 ダンジョンに入る前に加護にあやかろうということか、何人か、冒険者の姿が像の前には並んでいる。


「私たちもあやかっていこうかしら」


 なんて、先ほどの態度から一変して柄にもないことを言いだす女エルフ。

 しかし――それを魔性少年が止めた。


「やめておきましょう。今日は観光に来た訳ではないですから」


「まぁ、そうよね」


「それに、参るならば――あちらのカンテイ像のほうがご利益がありますよ」


「カンテイ像?」


「ショーク建国王の義弟にして、国一番の大英雄。大陸の将をして、当時最強と呼ばれた武名を誇るカンウの像です」


「聞いたことがないわね。ねぇ、ティト――って、あれ?」


 今さっきまで背中に居た男戦士がいつの間にかいなくなっている。

 よく見ると大剣使いもだ。


 はて、どうしたものか、と辺りを見渡すと、すぐにそれは見つかった。

 というのも話題に出ていたカンテイ像――それを拝む人たちの列に、二人して並んでいたからだ。


「なにやってんのよアイツら」


「二人とも歴戦の戦士ですから、やはりその武名にあやかりたいんじゃないですか」


「だぞ、単純なんだぞ」


 そうですかねぇ、と、ちょっと不安げな顔をする魔性少年。

 はてなんでそんな顔をするのかと、女エルフが訝しんでいるうちに、男戦士たちがカンテイ像の前へと歩み出た。


 銀貨を鉢の中へと二人して投げ込み、そして、礼拝の作法に習って手を合わせる。

 長い長い髭をたたえたカンテイ像。その髭がそよりと風に揺れた。


 その時。


「ふっさ、ふっさふっさ、もっさもっさもっさ!!」


「もっじゃ!! もじゃもじゃ、じょりじょりのー、もじゃもじゃ!!」


 意味の分からない台詞を叫ぶ二人に、盛大に女エルフたちがその場にずっこける。


「ちなみにカンテイは武の神様であると同時に、毛の神様でもあります」


「毛ぇ!?」


「あの逞しく美しくたなびく髭を見てください。あの美髭にあこがれて、多くの毛に自身のない男たちが、拝みに来るそうですよ」


「なんだその意味の分からない信仰――」


 すぐさま大剣使いがカンテイ像の髭に手を伸ばす。

 それを丁寧に、うやうやしく手の中でこすると、彼はちょっと――危ない感じの生え際にこすりこすりと擦り付けた。


 どうやら気にしているらしい。


 対して男戦士。


 彼もまたカンテイ像の髭を大切に撫でると、おもむろにその手をズボンに――。


「待て待て待て待て!! どこの毛にご利益与えるつもりだ!!」


 察してください。


 そして、何も言わなくても男戦士の考えていることが分かる。

 何を増毛しようとしているか分かる。


 流石だなどエルフさん、さすがだ。


「流石だじゃないわよ!! 居るかこのストーリー!! 冒険関係ないでしょ!!」


◇ ◇ ◇ ◇


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 ヨシヲ好きな方は良ければお読みください。


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