第18話 どエルフさんとマン○ラゴラ

 こんなことやりに来たんじゃないでしょ、と、エルフ娘が怒鳴る。

 いつもの悪ふざけだったが、流石に旧知の人間の前でやられたのが腹に据えかねたのだろう。


 ぷりぷりと、エルフ娘が頬を膨らます。


 流石にこれはやりすぎたか、と、意気消沈する女修道士。

 一方で、遠慮どころかエルフ娘の心も知らず、まだ、どうなんだと問い詰める男戦士。


 そんな男戦士の額を杖で小突くと、エルフ娘。


「ほら、さっさと手を動かす。そんなんじゃ、日が暮れるまでに百本も抜けないわ」

「日が、暮れるまでに、百本、抜く!?」


「大根と掛け合わせて魔力は薄くなってるけど、マンドラゴラの性質は少しくらいあるのよ。気を抜いてると、絶命しちゃうんだから、気をつけなさいよね」

「気持ちいいと絶頂しちゃうんだから、気をヤリなさいよね!?」


 だめだこれは。

 もはや、完全に男戦士の頭の中はピンク色に染まり切っている様子。


 エルフ娘は、力なく手を下すと、深いため息を吐き出した。

 そんな彼女の姿を目に、興奮してバーサーカー状態の男戦士が息まく。


「な、な、なにを言っているんだ、君は!! こんな人前で!!」

「言ってるのはあんたでしょうが!!」


 まぁまぁ、と、そんな二人の間に割って入る女修道士。


「ティトさん、落ち着いてください。どうやら、モーラさんが言っているのは、この大根のことであって、ティトさんの下半身のことではないようです」

「コーネリア、もうちょっと言い方ってものが、あるんじゃないの」


 言い方ですか。と、女修道士。

 ふむと、考え込んでそれから、女修道士は手を叩いた。


「ティトさんのティンさんのことではないんですよ!!」

「あんま変わらんわ!!」

「俺のおティンさんの話じゃないだって!? 誰なんだ、ティンって!? 俺の息子かナニかなのか!?」

「はい、そして伝わってないのに、なんでそんなミラクルなセリフがでてくるかね、あんたも!!」


 もうやだ、と、うずくまるエルフ。

 あんれまぁと、驚いた顔を見せる村人の中、彼女はいじいじと、その場の土に魔法人を描き出したのだった。


「よく分からないが、百本も一日だなんて、並みのことではない。ど根性、ど根性エルフとしか言いようがない!! 流石だなどエルフさん、さすがだ!!」

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