第8話 どエルフさんと技能レベル

【テロレロレン、ティトハ、ファイターレベルガアガッタ♪】


「お、久しぶりにレベルが上がったな」

「なにげにこの旅に出て初めて聞くわね」


 レベル妖精の陽気な声があたりに響く。

 死屍累々、野に溢れる数多のオークの惨殺死体を前にして、男戦士がなんでもない風に言った。


「そういえば、気にしたことなかったけれど、ティトってファイターレベル、どれくらいなの?」

「さぁ。気にしたこともなかったからな。かれこれ、前にレベル上がったのが三年前だから。そのときは確か、ドラゴンを退治したっけかな」


 ドラゴン退治と聞いて、ぎょっと女エルフが目を剥く。


 目安として、ドラゴン退治が可能なファイター技能レベルは、6~8とされている。


 6で技能で仕官できるレベル。

 7で世に知られた名人。

 8で当代随一の使い手という塩梅だ。


 ちなみに、男戦士は数えていないが、彼のファイター技能レベルは7である。

 しかし、本人が数えていないのだ、それを誰も知る由もない。


「オークの大群相手に涼しい顔してるんだから、結構上位レベルよね」

「それを言ったらモーラさん、君も相当なレベルだろう」

「へ? いやいや、私なんてそんな、まだまだよ」


 ごけんそんごけんそん、と、嬉しそうに手と耳を振るエルフ娘。

 と、そのとき。


【テロレロレン、モーラハ、セージレベルガアガッタ♪】


「お、私もレベルがあがっちゃった。セージ技能か、私も久しぶりだな――」


 言った傍から、彼女の目の前の戦士が、信じられないという顔をして彼女の方を向いていた。


 もうなんというか、勝手知ったるものというか、お約束すぎて慣れたというか。

 エルフ娘の目はすぐに遠くを見ていた。


「せ、精○技能だって!? ももも、モーラさん、女性なのに、いったいどうやってそんなものを扱えるんだ!!」

「うん。まぁ、言うと思ってたよ。違うから、賢者セージ技能ね」

「賢者だって!! そんな、まだ、出してもいないのに!?」

「どう言えばいいのよ」


 ファイターレベルは英雄級だが、性知識は村の悪がきレベル。

 大騒ぎする男戦士の目の前で、エルフ娘は頭を抱えた。


「真に弓の職能を極めしものは、射ずに射ると聞いたことがある。なるほど、射○せずに射○するとは――流石だなどエルフさん、さすがだ」

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