第7話 どエルフさんと補助魔法

「モーラさんは、華奢な体つきをしている割に、剣とか弓矢とか普通に使うよな」


 不思議そうに首をかしげた男戦士。

 彼の隣を歩いていたエルフの娘は、ふっふっふ、と、何やら得意気に笑うと、彼の前へと歩み出た。


「身体は冒険者の資本。けれども、闇雲に鍛えるなんてのはナンセンスよ」

「ほうほう」

「世の中には便利な補助魔法というのがあってね。それを使って、筋肉量を一時的にアップさせることで、剣や弓なんかを振るうことができるのよ」


 なるほど、と、男戦士は納得した様子で手を叩いた。

 いやに簡単に理解してくれたのが不思議で、少し、エルフ娘が顔をしかめる。


「なるほど、実に理に適った話だ」

「やだ。すんなり受け入れられると、それはそれで気持ち悪いわね」


「いやいや、俺は魔法を使えないから、こうして身体を鍛えているだけで。もし、魔法が使えるならば、君のように、必要なときにだけ必要な場所を、ようにしただろうさ」


 そう言って、うん、と、男戦士。

 何かに気づいたように、彼は頭をひねった。


 なんとなく、嫌な予感とともに、眼の前の男戦士の動きを眺めるエルフ娘。


 ふと、男戦士は立ち上がると、エルフ娘に背を向ける。

 そうしてこそこそと、まるで、用をたすように、彼は下半身をじっと見つめるのだった。


 つん、と、彼のズボンが突っ張ったのは、言うまでもない。


「モーラさん!! 俺、もしかしたら、魔法の才能が!!」

「違うから!!」

「自分でも感じるんだ!! 迸るような熱い血のたぎりが、ここに集まっているのが!! これが、魔力!!」

「違う力だから!!」


「こんな力を自在に操るなんて。まるで、ちん○みたいに。まるで、ちん○みたいに」

「だから違うって言ってるでしょ!! やめて、ちょっと、生理現象と高等魔法を一緒にしないで!!」

「全身これ海綿とは――流石だなだどエルフさん、さすがだ!!」


「だから、そんなのと一緒にするなぁっ!!」

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