乾坤一擲

後世の評価 羽柴秀吉

　羽柴秀吉

　幼名を日吉、はじめ木下藤吉郎と名乗る。尾張中村の豪農の子で、少年時代は行商で各国を渡り歩いた。のち濃尾国境に盤踞する蜂須賀党の客分となり、織田秀隆に見出され、彼の家臣となる。その際に弟を始め、一族を養う禄を出され、清州の秀隆の屋敷に並んで長屋を建築し、そこに一族を招いた。加藤氏、福島氏などの一族はのち秀吉の妹、あさひが秀隆に嫁いだ縁より、織田弾正忠家（秀隆一門）の将として活躍した。

　秀隆に仕えた初めのころは読み書きを徹底的にたたき込まれその後は弟の小竹とともに学問を修めた。ある程度の知識を得たのち、実務に投入される。はじめは小者として、秀隆家中の経営に当たり、台所奉行として、金庫番を任された。その後は川並衆とのつなぎや、今川家中で勤めていた伝手を利用して情報収集に当たる。このころあさひが秀隆のもとに奉公に出たといわれる。

　藤吉郎が外の仕事に就いたため、小竹が台所奉行の役を引き継いだ。秀隆は交易をよく行い利益を上げ、織田本家の財政の足しにしていたが、そのノウハウを小竹に教え込んだ。彼の働きで出た利益は褒賞として還元されている。また秀隆自身が稼ぎ出した資金は藤吉郎や川並衆に流れ、彼らとのつながりを密接にしていった。

　桶狭間合戦では木下兄弟は秀隆の屋敷を小者たちを率いて守る、留守居の役目であった。こののち彼らは蜂須賀小六に願い出て武術を学ぶ。藤吉郎はひとまず雑兵に首を取られない程度の護身術を修め、小竹は弓に才を示した。だが彼らの役割は兵を指揮することであり、前線に切り込むことではない。だがまるっきり戦えない指揮官に兵が従わないことを学んでいた。

　美濃侵攻のあたりから、木下兄弟は独立した武将として扱われ、秀隆の組下から信長直下に異動した。この時は恩のある秀隆のもとを離れることはできないと信長に申し出たが、秀隆の説得によって受け入れたとの話がある。

　蜂須賀の一党はこの時藤吉郎の組下に付けられた。本来は立場が逆になってもおかしくはないが、秀隆が日ごろから藤吉郎を高く評価していたことと、日ごろから共に働くうちに彼の器量を見抜いたとされている。こののち蜂須賀家は羽柴家の重臣として現代にいたるのである。

　美濃攻略から北伊勢侵攻、上洛に付き従い、京在番を申し付けられるなど信長の信頼は厚かった。金ヶ崎の撤退戦では敵を撃破する功をたてる。だが兵にも大きな犠牲が出ており、撤退が終わった後泣き崩れたという。

　志賀の陣から後は近江横山城に在番する。このころ竹中半兵衛を麾下に招いたとされる。仕事をほったらかして半兵衛の庵に通いつめ、仕事が回らないと苦情を一身に浴びた小竹改め小一郎がひそかに半兵衛のもとを訪れ、説得したと言われた。

　岐阜と京を繋ぐ近江の確保は織田家の生命線であった。姉川の戦でほぼ小谷城まで戦線を押し上げることに成功したが、各地で頻発する反乱や一揆征伐に忙殺されている。だが硬軟織り交ぜた対応で相手を降らせたあたりは人たらしの面目躍如であろうか。ほかの戦線でも織田軍は苦戦するが、近江の最前線を支え、横山城を守り抜いたことは大いに評価されたのである。

　三方が原の逆襲で武田家を無力化に成功し、信玄が抜けたことで織田包囲網は瓦解した。信長はそれらの勢力を各個に叩き、逆襲に成功する。近江でも長政を用いた誘降策で久政の勢力を無力化し、小谷城を落とした。こののち旧浅井領を宛がわれ、名を羽柴秀吉と改める。

　羽柴の名は丹羽と柴田から取ったという逸話は有名である。諱は秀隆から取っており、羽柴家の通字とすると宣言した。その割には嫡子の諱が長吉であるのは、信長の偏諱をもらったからで、長吉の子は秀頼とされた。

　秀吉は小谷城を解体し、今浜の地に城を築く。信長より一字拝領し長浜城とした。そののちは長浜の内政を行いつつ越前、石山などの戦線を転戦する。手取川の戦いではほぼ孤立無援の中入れを成功させた。それらの功績もあって中国攻めの先鋒を任される。のち秀隆の後詰めを得て高松の水攻めなどで勝利を重ねる。播磨、但馬の国主に任じられ、中国方面の抑えを任された。

　それ以降も西国の攻略を担当し、九州攻略に活躍する。明智光秀と協力し、平定後の九州の統治に尽力した。のちの唐入りでは先鋒部隊を率いて功を上げる。

　統一後には中・四国の統轄役に就いた。また、南方開発の相談役なども務めたという。

　1598年、隠居先の尾張にて死去。

逸話

　非常な愛妻家で恐妻家であったという。長屋住まいのころから嫁に〆られる悲鳴が響き渡ることも多かった。翌日嫁が非常につやつやしており、秀吉が干からびていたとかなんとか。

　配下には有能な人材が多く、石田三成、大谷吉継などを輩出した。戦災孤児などを拾って養育していたという。のちに孤児の養育に関わる仕組みが幕府に採用された。

統率：97

武勇：50

知略：94

政治：99

スキル：人たらし　ランクS　調略にプラス効果、寝返り成功率大幅アップ。部下の忠誠心大幅アップ。部下の能力を大きく引き出す。

足軽：A　騎馬：C　鉄砲：B