369 浪漫之友 6号(同人誌)

2006.07/天狼プロダクション

<電子書籍> 無

【評】 ―


● 幼児プレイやめたげてよう…… 

 栗本薫個人同人誌第六号。

『セルロイド・ベイビー』『ヴァイス・トロピカル 第六回』『副長 第六回』収録


 

『セルロイド・ベイビー』

 壊れて幼児退行してしまった克郎の前に意外な人物があらわれる――シリーズ最終回。


 また幼児退行エンドかよ……。

 雪広が予想以上に極悪で「よかった……極悪ってのが設定だけじゃなくてよかった……」とは思ったが、なんだよこの話……。

「あの頃の調子に乗ってた俺はセルロイドのまがいもので自分の人生にすら出会っていなかった」って、出会った自分の人生がホモに養われる赤ちゃんプレイかよ……いくら薫本人が実生活で「オリジナル絵本を読み聞かせしてもらう童女プレイ」にハマっていたからって、あんまりだろ……。

 そのあどけない童女(♂)状態の主人公に対して「おれ性欲強いから本当は我慢しているの辛いしよそでセックスもしてるんだけどいつか回復したらセックスしようねでも無理にはしないよでもしてみない?」という姿勢の攻めもキモいよ……。なんだよこれ……ついていけないよ……。

 あと根本的な問題として主人公の一人称で進んでいてわりとしっかり状況認識して語っているのに幼児退行って無理がありますよね……一瞬だけひらがなたくさんにして幼児っぽくしようとしたけどひらがなが多いだけで思考が全然幼児じゃないしすぐ諦めましたよね……。ちゃんと『アルジャーノンに花束を』とか読んで下さいよ……いや読んだことはあるだろうけど(あるよね……あると云って……)もうちょっと昔みたいにトレースしてくださいよ……。

『ムーン・リヴァー』で透も幼児退行してたけど、晩年の薫は幼児プレイが好きすぎて辛いよ……このシリーズ書いたの2002年とあるけど、子供が18歳くらいでしょ?そのくらいの年齢の時期に親が幼児プレイに激ハマりしてるってけっこいつらいおっお……。


 連載を通して総合すると、ストーリーが二転三転するのは悪くないし、C調の寒さも変なクセになるものはあるが、ストーリー自体はキモくてひどいなって思いました。攻めっぽいキャラが受けになる、というのは栗本薫作品としては珍しいほうで「薫にも21世紀の風が吹いてきたのかな?」という気がしないでもないが、受けになった瞬間にお姫様化したりあどけない童女になったりしたら意味ないんやで? そして薫さんや……あなたのホモ話がBL層に受け入れられないのは「暗くて重たい」からじゃなくて「キモくて辛たん」からなんやで……?


 

『ヴァイス・トロピカル 第六回』

 なんか祭りみたいのに参加しなきゃいけないチンコは留守にするのを理由にまた尻を掘りました。続く。

 ずっとセックスしてるだけの話なので「ぼくにはちょっと興味のないエロですね……」としか反応のしようがないの……。

 


『副長 第六回』

 伊東甲子太郎が離脱して武田観柳斎も脱走したので、土方の命令で沖田が武田を殺しました。続く。

 ストーリーがちゃんと進んだので「おお、夢幻戦記ではたどりつかなかった展開に!」とちょっと楽しくなる。やはりどんな作品もストーリーが進んだほうが楽しいよ……。

 島田魁が「沖田嫌いなのにチンコは勃っちゃう!」と、薫の受けが放つ周囲のキャラすべてを竿役かストーカーにする強制力に屈しそうになっていて「ま、負けるな!そいつはクソビッチやで!攻めになったらあかんで!」と応援するも、エアレイプとかはじめてしまって「ああ……もうダメだ……」という気分になる。

 えーと、あとは特にないですね……。そろそろゴールしていいかな……?

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