318 通信教育講座 Ⅱ(同人誌)

02.12/天狼プロダクション


【評】う(゚◎゚)


● こんなとき、なんてレビューすればいいかわからないの…… 


 松田との激しいテレフォンSEXの余韻冷めやらぬ稔は、自らうしろを弄りだしてしまう――

『通信教育講座 Ⅰ』のその後を描いた『実技編』『補習編』を収録。


 なんかもう、この作品をどう評価していいのか、ぼくわからなくなっちゃったな……。

 いや、シリーズクラッシャーとしての罪は許してない、許してないですよ。というかアトムくんさっさと助手から降板させておけよっていまでも思っていますよ。それはあとがきで作者が「真面目な伊集院大介シリーズファンの方は買っちゃ駄目ですよ(大爆)だからわざわざ同人誌で出してんだからね」と云ってても、被害を同人誌に食い止めてくれなかったんだから許せるはずはないんですよ。


 でも、なんかこう、初読から十年も経ってると、このキモさはこれはこれで癖になるものがあるなって気にもなってきて……。

 それに、BLとして考えると「なにこれおかしくない?キモくない?」って感じなんだけど、近年、エロ漫画も男の娘がすっかり定番化したし、BLもメス堕ちが流行ってますからね……。当時はあり得なかったアトムくんの気持ち悪いメス心理描写や珍妙な大和撫子描写も、男性向けエロ漫画ならよくあることかなって気がしてきてね……。そうだよね、フェロモンでメス堕ちする男の娘とかたくさんいるもんね……仕方ないよね……急に名前呼ばれて「はい」とか乙女になるのもよくあるよね……。無為に人生を浪費している人間の特性として年月分だけエロ漫画の読破数だけは着実に増えているから、ぼくの脳内にこのキモいアトムくんを受け入れる土壌ができちゃったのかな……。


 ただまあ、無駄にドラマチックなところがあるのは、まだ完全にアウトになっていない時期の栗本薫という感じでしてね(頒布は二〇〇二年末だが、執筆は一九九七年五月に行われている)。覚悟を決めて泊まりにいったら女に咥えられている真っ最中だったとか、ちゃんと二人のあいだに障害があるんですよね。まあ「ヤリ捨てした女に襲われてただけ」という最低の言い訳でいいくるめられていてアトムくんチョロすぎて怖くなるけど、メス堕ちしたらなんでも「んほぉ♡」ってなるのがここ数年の常識だからね、仕方ないね。薫が先走りすぎてただけだよね。


 で先に内容云ってしまったが『実技編』はアナニーと浮気未遂事件と仲直りックス(未遂)

 『補習編』は「実はおれは殺人鬼だったんだよ犯りながら首絞めるとケツマンコがしまるぜえ」というごっこSMプレイという、薫の他の本でも見た見たっていういつもの。でこっちも未遂。

 ストーリーがないのは同人誌だから仕方ないし、プレイの内容も性癖の問題ですからね……。二人の会話やアトムくんの独白の「キンモッ」といいつつ「ぐふ」と変な笑いが出ている自分がいるのも確かですからね……。これはもうわからんね……チンコ自慢が激しい松田さんもしょうもないの通り越して面白くなってますからね……ぼくはこの作品をどう評したらいいんですかね……そもそもうすい本に良し悪しをつけようなどというのが傲慢だったのではないかね……。

 ぼくにはもうわからない……わからないんだ……だからみんなが読んで各々で確認するべきなんだ……

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