309 MU・GE・N ―総司残照― 下(同人誌)
02.04/天狼プロダクション
【評】う(゚◎゚)
● 新撰組直腸最強伝説
※このレビューは以前に中島梓の小説道場の文体模写で栗本薫の同人誌を評しよう、というお遊びで書いたものです。企画の都合上、一部わかりにくい部分もありますが、個人的に気に入っているので敢えてそのままにしてあります。
では今回最後の投稿作を。
栗本薫四級 『MU・GE・N 総司残照』 ドドンと800枚(!)だ。
この作品は同人誌で発表され、今回、道場主のもとにはその同人誌が届けられたため、残念ながら読者には作品自体をお読みいただくことはできない。門番の二人にもこの作品に関しては評をもらうことができなかった。
さらに郵送の際の事故か、どうも道場主のもとには上下巻に分かれたうちの下巻しか届かなかったため、実際に読んだのは後半だけだということも栗本くんに云っておかねばならない。
これで評することにはいささかためらいもあったが、なに、読んでみれば上巻のストーリーもわかったことだし、小生ほどにもなれば半分も読めば十分な指導ができるものなのだ。
ではそのストーリーを。
「新撰組の最強剣士、沖田総司は芹沢鴨に輪姦され、土方の指示のもと芹沢を殺し、山南敬介とつきあうが、土方の指示のもと山南を殺し、土方に調教され、土方の留守に武田観柳斎にレイプされ、土方の指示のもと武田を殺し、土方とセックスしまくったが、病気で置いていかれて死にました」以上である。
いやあ、わはははははは、すまん、栗本くん、あまりにも面白いのであけすけに書いてしまった。いやしかし、きみ、これは……わははははははは。いやあ、きみはすごいねえ。あとがきによると「読者をまったく想定しないで書いた」とあるが、なるほど、これは想定されていないわい、それだけは確かだ。わはは。
いやー、小生、この短からぬ人生の間、懐かしのテレビドラマ『燃えよ剣』をはじめ、司馬遼太郎の原作や手塚先生の『新撰組』、ドジ様の『天まであがれ』や渡辺多恵子くんの『風光る』、近年の大河の『新撰組!』まで、小説漫画映画を問わず、数多くの新撰組ものを見てきたものだが、栗本くんの描く土方さんのような、その~、気持ち悪いストーカーな土方さんは初めてお目にかかりましたです、ハイ。
もう、しゃぶれだなめろだ先っぽだと(え? 飴の話ですよ、きっと)直接話法の嵐に、還暦も見えてきてしまった小生はノックダウンされてしまったではないか。いやー、きみはすごいねえ。
そのアレの間にも「愛だ恋だ」と土方さんがしゃべるしゃべる。そうかー、土方さんにもこういう切り口がまだ残されていたかー、と不覚にも感心してしまったよ。どうもあの不器用そうな二枚目の写真が頭にあるせいで、土方さんがこんなにも気持ち悪く(たびたび失礼。でもしかしいやいやこの気持悪さはなかなかクセになりますぞ、なんちて)なるなんて、思いもつかなかったわ~。
武田観柳斎からレイプされるシーンなんて、思わずのけぞってひえーと叫び、本を取り落としてしまったではないか。だって、その、お、お、お菊に、ひ、火掻き棒を、その、い、入れてしまうんですかあ? そしてそそそそそのまま放置してしまうんですかかかかああああ?
ううう、総司くんたら、ずいぶんと頑丈なお菊を持っていらしたのね……新撰組最強は直腸最強だったのね……
……ハッ、思わず遠い目をしてしまった。ううー、こりゃ夢にみるぞい、栗本くん。いたいけな老体をこんな目にあわせおって。ううう。
まあ、その、なんだね。この作品を小説以前と断じるのは容易い。なにせ構成はめちゃくちゃだし(最後で20Pにも渡り、新撰組のその後を説明はじめたときにはそのいらなさ具合に眩暈がしてきた)キャラ設定もぐちゃぐちゃ、それぞれのキャラの描き分けもまったくできていない。
総司が多重人格で男に抱かれるたびに人格が変わる、という設定も描写がしっかりしていないので笑えてしまううえに、物語に活かされていないので企画倒れ感が強く「多重人格ってこういうものじゃないでしょ」という気持だけが残る。
人斬りのシーンは迫力がないし、せっかくの新撰組ものなのに沖田総司と強姦魔しか出てこないし、ずっとHしてて突然に話が終わるし、エピローグのくだりは表現も内容もダイエードラマか韓流ドラマかといった感じで、安さの大バーゲンセールになっていた。
しかしこう、ここまではちゃめちゃでどうしようもない代物ではあるのだけど、こう、妙にパワーはあるのだよな、きみの作品は。この点に関しては今回投稿してきた他の三人の門弟(特に香津宮三級)に見習ってほしいくらいではある。
そう、全体にきみら三人は「小説というものはこういうもの」みたいな型に、最近風に云うとテンプレにはまり過ぎているのだ。素敵な恋愛はこう、BLはこう、文学はこう、小説はこう……そんな思い込みやテンプレからは「きみだけの作品」は生まれないよ。もっとひどくなってもいいから、一度栗本くんのようにはちゃめちゃな作品を書いてみたらどうかね?
とは云え、だ。
栗本くんのこの作品は、やはり小説としてはとても褒められたものではない。五級に戻るか、あるいは名誉一級に進む(?)か、好きな方を選びたまえ。どうも小生、歳を取りすぎたせいか、きみのようなタイプを指導していく自信がなくなってきたよ。まっとうな小説を書くことがきみにとっての幸せとも思えないしね。
と、いうわけで、四作すべての評が終わったところで今回の道場を終えようと思う。
かつて道場立ち上げの折よりは、ずいぶんとまともな、小説らしい作品が届いており、本来ならばそこは喜ぶべきなのかも知れぬが、どうにもその分、こじんまりとした作品ばかりになってきてしまった。復活と相成った今回の道場も、そういった風潮を如実にあらわすような形になってしまっており、いささか残念である。
広瀬四級、もっと激しい物語を。
千石五級、もっと題材への愛を。
香津宮三級、もっと君の生の声を。
栗本くん……は、いいや、きみはそのままでいなさい。同人誌、楽しいね。
次回の道場まで、それぞれ精進を望む。
そしたまだ見ぬきみ、そう、そこのきみだ。きみの力作も当道場はいつでも待っておるぞ。
道場主は楽しい楽しい自分の小説を書いて待っているぞ。ルンルン。
それでは道場を終える。礼!
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