256 レクイエム・イン・ブルー 3 黒の間奏

98.06/角川ルビー文庫


【評】う


● 役者は淫乱。いいね?


 ユキを取り戻しにきたかつての飼い主である龍。レンはユキを奪われまいと龍にある提案をする――


 三巻は、お偉い劇作家の高見沢とユキが出会ったころの話からはじまる。

 一巻で「ホモじゃないよ、肉体関係なんてないよ」と云っていたはずの高見沢が大変ハッスルしてズボズボしていたことがわかり、相変わらず栗本先生はなんも考えてないな、ということが大変よくわかります。

 そんでヤクザの龍さんが「わいはお前をはなさへんでー」というのと主人公がもめて「だったら俺たちの舞台を見てくれ! それで勝負だ!」というよくわからない展開になりつつ、合間合間でみんなで必死に腰を振っている、という話に。

 ちなみに今作の受けであるユキも栗本作品にしては珍しく(そしてBL的にはまったく珍しくなく)「セックス大好き! 羞恥心とか倫理感とかないよ」という、色情狂めいたキャラで、この時期に商業BL漫画がやたら増え、性描写がとみに過激になったのに影響を受けたことと、舞台にかかわったことで「役者は性に放奔」という、間違ってはいないけど幾分失礼なイメージが妄想合体したものだと思われる。

 そういういろいろな意味で、今作は栗本薫作品のなかではもっともBLらしいキャラとシチュエーションになっているとは云えるかも知れない。ただ、BLとして面白いかというと、それは判断が難しい話だ。セックスしまくりといってもらぶらぶいちゃいちゃというわけでもなく、かといってハードプレイというわけでもなく、栗本薫のお家芸である「おお、なんという――」ばかりのもみしぼりセックスメインだからだ。

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