236 レクイエム・イン・ブルー2 銀の序章

1997.10/角川ルビー文庫


【評】う


● 栗本薫、ヤクザ攻めに目覚める


 受けはヤクザに調教されていました。続く。


 

 というわけで一巻は結局ホモ親父と奪い合う話かと思ったらちがって、じゃあだれと奪い合うの? というと、この二巻でユキがヤクザに調教されてそこから逃げてきたということが発覚。二巻の間はその過去話と、思わず受けをレイプしてしまった主人公の「おお、なんという――」というぶつぶつもやもやに費やされる。そして二巻の終わりで件のヤクザ、龍さんが登場する、という流れ。

 え~、ヤクザものなの~? 勝手にきめつけるが、ヤクザ攻めにしようと思ったのは、まず間違いなく九七年に続きを書くことにしてからの変更だろう。たしかに最初の方にも「ユキがなにかに怯えている」という話はちょっと出ていたが、その辺りは書き直し、書き足しした部分だろう。そうでも思わないと構成が不自然すぎる。

 またヤクザに関しても、『キャバレー』の滝川さんを代表に、栗本作品にはこまごまとヤクザが出てきていたが、それらのヤクザは「強いが実は不器用で優しい」という往年のヤクザ映画的なノリのキャラであって、今作に出てくる性奴隷調教するようなヤクザではない。

 なぜ突然、そんなキャラを出してきたのかというと、この時期に栗本薫がファンになったBL漫画家、石原理がよくヤクザものを書いていたからではないか、と自分は推測している。

 

 いずれにせよ、インテリガリ男が思わずレイプして「おお、なんという」するのは完全にヴァレリウスと同じである。ヴァレリウスがホモ化した『マルガ・サーガ』第一話の初稿は、この作品の前年、九六年のなかばに書かれたものであるという。そこからエロシーン増量の改稿を二回加えて同年8月に同人誌『FULL HOUSE 3』において発表されたのが、世にキモリウスくんがデビューしたときである。

 こう考えると、キモリウスくんにハマってしまったもののまだ理性が残っているのでヴァレ×ナリを広く発表する気のなかった栗本薫が、それでもキモリウスくんの「おお、なんという――(カクカクカクカク)」を商業の形で世に出したくて、このシリーズは誕生したのではないかという気すらしてくる。まあ結局、キモリウスのキモっぷりはグイン本編にまで輸入され、みんなの知るところになってしまったわけですけどね……。

 

 しかし唐突にヴァレ×ナリが書きたくなってキモ化したそうですが、あらゆる欲求や願望が小説を通してダダ漏れしている栗本薫であるため、どうにも「最近旦那が抱いてくれない……これくらい強引に抱いて欲しいのに……!」という気持ちが、今作も含めた一連の思わずレイプになってしまったのではないかという下世話な疑念が、ぼくの頭から離れないのです……。


 まともあれ、今作はヤクザに調教されてるシーンと思わずレイプがほとんどなので、ちょっとどっちの願望もないぼくには厳しいものがありましたね、ウス。

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