104 グルメを料理する十の方法
1986.12/光文社(ノベルズ)
1996.05/光文社文庫
<電子書籍> 無
【評】うな
● デブの女探偵の食いっぷりが小気味よいミステリー
えりかとアザミはグルメ仲間。今日もイタリアンレストランで舌鼓を打っていたのだが、同レストラン内で毒殺事件が起きる。食事の邪魔をされた二人は、腹立ち紛れに素人探偵をはじめるのだが……
グルメ小話を交えながら、最後はグルメ批判という、非常にコンセプトのわかりやすい作品。まるで二時間ドラマのような収まりのよさ。実際にテレビドラマ化されてるし。
本作のポイントは、探偵役であるアザミのキャラ。100㎏を優に超す巨デブでおしゃべりで強引で、と要素だけを見るとげんなりするキャラなのに、不思議と魅力的な、それこそ女性的な魅力すら感じる人物として描かれている。とにかく食べ方が気持ちいいし、知的だし、食の楽しみを謳歌しているのがいい。
また、相方のえりかも、非常に性格と頭が悪そうで、逆に好感がもてる。この頃の薫は、実はあっぱっぱーで性格の悪い若い女を魅力的に描くのが上手かった。『朝日のあたる家』の亜美とか、『グイン・サーガ』のシルヴィアとかね。
そしてなにを云うにも、食事シーンがうまそうなんだ、これ。特に冒頭の、シチュー皿の底をパンでぬぐって食べきるシーンはよだれもの。こういうちょっと貧乏性な食べ方がすんごくうまい作家なんだよね、栗本先生は。
あまり記憶に残る作品ではないが、ひまつぶしに読むには最適の長さ、内容、読みやすさです。
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