040 グイン・サーガ11 草原の風雲児

1982.09/ハヤカワ文庫

<電子書籍> 有

【評】 うな


● グイン、理由なき旅立ち


アルド・ナリスが暗殺され、公女アムネリスにモンゴールへの帰還が命じられる。

一方その頃、草原を発ちパロへと向かうレムスとリンダのもとから、グインとイシュトヴァーンは立ち去ることを決意していた……



うっわ、展開遅いし雑だなあ!

というのが率直な感想だった。

グインとイシュトヴァーンが双子のもとから去るの、本当にもうなんかふんわりとした理由で去っていて、特にグインのふんわり感がハンパない。「もう役目は終わったしな」とか言うけど、ちょっと遅くない?ねえ遅くない?それならアルゴスについた時点で去ればよくない?

そしてとってつけたようにスニが「ノスフェラス城にはケイロニアからきた謎の高層ダルマキスとかいうのが囚われていて、なぜか知らんがダルマキスはアウラとかいうもののことを知っていて、なぜか知らんが看守はそのアウラが神聖なものだと知っていて、なんだか思わせぶりだったけど看守もダルマキスもとっくに死んでるから確かめようがないね」とか言い出して、それをきっかけにグインはケイロニアに向かうという、おい、薫、お前どういう理由でケイロニアに向かわせるかまったく考えてなかったし思いつかなかっただけだろ!?そしてこの伏線が回収されることなどはなく……。


いや、ホント、このあたりの展開もひどいし説明口調もほんとひどいんですわ……中島梓道場主が「あっ!あれは数万年前に絶滅したはずのゴジラだ!」的なセリフを喋らせるなとよく言っていたけど、これそういうセリフですよ先生……。アレらより無駄に長い分、ひどいことになっていますよ……。


というか、全体的にこの巻、あんまり考えずに書き始めた感じが強く、無駄な枚数稼ぎみたいな部分が多い。展開だけ見ると「グインとイシュトが双子のもとを去る」「ナリスがカースロンの調略を開始する」「スカールがウィレン山脈越えを開始する」とそれなりにストーリーは進んでいるのだが、本当にそれしか考えていなかったのをがんばって引き伸ばしているようにしか見えない感じでスカスカなんですよ……。


なのでまあ、正直、あんまり面白い巻じゃなかったですね……薫はいつも見切り発車しすぎだと思うな……書いたものを自分でボツにしたりしてもいいんだよ……?

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