第2話 人格と思い出

そっか…俺は死んだのか。

「俺は大事なものまで失い自分の命まで失うとはな…情けねぇ。」

俺は中学二年夏の最大イベント星の下花火大会の日の次の日に事故にあった…いや、最初からこうしたいと思っていたのだろう。

大通りを抜けたコンビニの途中の歩道で俺は黒い車…確かあれはベンツ?に轢かれた。

なぜ轢かれたかと言うと俺は車が猛スピードで迫ってくるにも関わらずペダルを漕ぎベンツ?らしき車にまるで指でコインを弾き回転させるかのように僕を吹き飛ばした。

幸いにも太ももと頭を強打しただけ、その後警察と病院に連絡し救急車と共に病院へ送られた。ざまぁなかった。

病院についた時、急に頭にピキンと痛みが走った。

緊急窓口を抜け 白いベッドに体を任され大丈夫ですか?と声を掛けられ俺は気を失った。

「起きて!起きて!ってば!」

誰の声だろう…聞き覚えがあってその声を記憶から探り寄せた。

「君は…誰?」

覚えているはずいつも近くにいた君のことが思い出せない…。

「お兄…ちゃん?」

お兄ちゃん…ってなんだ。そもそも僕は誰でここは…。

記憶喪失って言うんだっけそっか僕は記憶を失ったんだ

まぁ僕には大した思い出はないだろう

元々僕は死ぬはずだったんだから。

覚えてないはずの僕の心は知っていた

いや、知らないはずがない君は僕であって俺ではないのだから。

死んだことにしよう僕の本当の僕はもう。

僕が事故にあってたくさんの人が僕の家に来て私はこうでこうだった僕は君のなになにだったと教えてくれた。

時に僕は自分の真似をしたオレオレ詐欺にも騙されそうになったその度近くに住む幼なじみの桜木が

「お前オレオレ詐欺されてることくらい気づけよな」と。

呆れた顔で少し笑い面倒を見てくれていた。

「ごめんごめんありがとう桜木。」

いつも一緒に居てくれる桜木はたくさんのことを教えてくれて僕は桜木に関してのことをほとんど思い出していた。

良く勉強を教えてくれたこと

たまに僕にツッコミを入れてくれるとこ

そしていつも影で支えてくれていることを

なんで僕は死のうなんて考えていたんだろう。

「痛てっ!なんだ?」

僕がうつむきながら暗い表情をしている時

桜木は近くにあるの新聞紙を丸め頭をバシッと叩いた。

「そんな悲しい表情でボケっとすんないつも真剣白刃取りでもして笑え バカ」

「ご、ごめん笑 そんなこともあったっけ…」

全ては思い出せないんだ。


数日が経った日僕はほとんどの記憶を思い出し親から病院へ行った後の話を聞いた。

僕の体には異常はなく、たまたま頭を打った衝撃で記憶が飛んでしまっただけと言われたそうだ。

「よかった」

少し違和感を感じつつでも安心してこれからは気おつけようと心に決め一日をのんびり過ごした。

「桜木今日何してるかな?」

夏休みの宿題が終わらず手に終えない。

目を瞑れば眠り夜起きたら僕は自分の部屋のベッドからロビーのソファに寝転がっている。

最近親の様子も妹の態度も悪い。

「退屈だな、ほかの皆は…みんな。」

少しみんなのことが気になり外へ駆け出した。

お気に入りの自転車はぺちゃんこになった為保険で降りたお金で自転車を買った。

「大通りにでも行ってみるか」

いつも通りの道を自転車で走り大通りに入った。

そこにはいつもいる彼らの姿がありいつも通り話をかけてくる。

「お!みなみん記憶戻った?てか怪我大丈夫か?」

「ずっと心配してたんだよ?」

岳と雪菜は優しくて…でももう心配はかけたくない。悪いけど少し軽く返事して帰ろう。

「俺は大丈夫お前らに心配かけたのはごめんもう俺に関わらないでくれ」

あれ?こんなこと…いうハズじゃ?

ここで僕は違和感の真実を少し見つけ出したようで

急いで家にひきこもり2年間誰が家に来ても断りいろんなことを無視し誰も居ない時に出掛け 星をただ眺めた。


流れ星が空をかける頃僕はここであいつらとまた集まろうとしていた。


「ごめん、みなみ」

俺はみなみの体を通じてみなみに負担をかけないようにする多重人格として生み出されたブレーキのようなものだ。

昔のみなみをそのまま別の人間として認識してできたいちるの心の入れ替わり現象と言われるもの。

「また、会ったね。」

「…!?」

「僕は覚えてるよ君のこと昔の僕のこと」

「俺のことを認識…してるのか?」

たくさん日々を重ね自分で自分を理解しているはずなのに俺はみなみの見逃してるものがあったようだ。

「僕はもう大丈夫だから代わらなくても…もう大丈夫だよ!」

「でもお前は思い出したものをそのまま受け入れる事はできるのか?」

「しょうがないじゃん…消えてしまったものは2度と手に入れられない。でも消えたものをもう1度元に戻すことができれば僕は僕に戻れて君は僕になって僕は君のいいとこも悪いとこも全部含めて強くなれるんだ。」

みなみが記憶を失ってからまだ3年しか経っていないのにまともに自分を受け入れこれからを大事に生きようと決めるその意思は強く暖かかった。

今夜の星が綺麗だからとあとから言われそうな勢いの言葉に俺は少し強気になった。

「そんな言葉いつでも言えるのか?」

みなみは答えた。

「言えるさ君が僕になり僕が君と和解できれば」

そんなこと簡単だ。でもまだ…。

「まだ早いかもしれないまだ僕は足りないかも知れないけど君がいれば乗り越えられるよ」

俺はみなみの言葉が誰よりもたくましく感じ

この場を終に自分のENDをここで作り上げた。

そしてみなみは自分の記憶のほとんどを思い出し目を開けた。

頭痛なんてもううち消えた。

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