感情の氾濫
怯懦、憤懣、悲観――様々な感情が藍の裡で渦巻き、氾濫していた。
この〈犯人捜し〉が始まってから二時間が経った時――
覆面の男は、事前に告げていた通り、一人の――空の命を奪った。
危機的状況に置かれているのは確かだとしても、そうなる前は、雅史らが言っていたように、そんなことが起こるはずがない――そういう楽観的な見方がどこかにあった。そうすることで、精神の均衡を保っていた。皆だって、そうだっただろう。
これはただの脅し。殺人なんて起こるはずがない。
だけど、空という最初の犠牲者が出たことで、この〈犯人捜し〉が、ただの脅しなんかじゃないってことが証明されてしまった。
覆面男は、本気だった。
このまま、美登里を殺した犯人を突き止められず、再び二時間が経過すれば、また一人、新たな犠牲者が出る――。
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