第20話 ハンドル

俺「おい、出しっぱなしだ。」


ハルカワ「あ、。」


最近のハルカワ君には正直イラついている。

まず食糧を食べ過ぎだ。

残量はかなり余裕があるが、限度ってものがある。

育ち盛りじゃないんだから。


次にハルカワ君は物をしまわない。

備品の置き場を決めておかないとイザという時に困る。

彼も意図せず宇宙生活が始まっている。

それは分かっているのだが。


今日は船外活動を四時間ほど行う。

外部シールドの交換と太陽電池パネルの交換だ。

俺は宇宙服を着て船外で動き回った。

ハルカワ君には船内で支援をしてもらう。


俺「曲がってない?カメラスケールでどう見えてる?」


ハルカワ「4度ほど時計方向へ回して。」


さすがに彼は軍人だけあって仕事は良く出来る。

普段の生活はダメだが仕事はキッチリというタイプだな。


やっと今日のタスクが終った。

これから食糧庫になっている第一体育館の左エアロックへ向かう。

エアロックは全て手動式だ。


まず車のハンドルのような部品を回してロックを解除する。

次に外ハッチを開けてエアロック内へ入る。

今開けたハンドルを回して外ハッチをロックする。

エアーバルブを開けてエアロック内を空気で満たす。

内ハッチを開けるためにハンドルを回す・・・が・・・

回らない。

固い。

もう一度力を込めるが開かない。


俺「ハルカワ君、トラブルだ。聞こえるか?」


・・・返事がない。


俺「紫さん、トラブル発生。第一体育館のエアロックが開かないんだが。」


紫さん「さきほど、ハルカワさんが何か細工していたようです。」


俺「はあ? 細工って何?」


紫さん「ワイヤーでハッチのハンドルを固定しているように見えます。」


俺「ハンドルが動かないと俺が中に入れないぞ。分かってんのかアイツ?」


紫さん「現在ハルカワさんはインカムを外してます。」

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