第18話 ウスターソース

第三体育館にも他の貨物に混じってもうひとつ陽野社の貨物がある。

メーカーの陽野社に詰めても担当者が不在だと言う。

軽見部長は必ず詳細を調べると約束したので今日の通信を終わらせた。

仮眠をしてからコックピットから出た。

ハルカワはもう起きていた。

二人で朝食を食べながら昨夜の通信の内容を伝えた。


ハルカワ「食べ放題。なるほど。」

俺「うん、そう。食べ放題。」

ハルカワ「なんだか気前良すぎかと。」

俺「そう?まあ陸軍が持つのは普通でしょ。」

ハルカワ「いや、そうじゃなくて、機長の。」

俺「俺の食費はメーカーが。」

ハルカワ「それが気前良すぎて不気味。」

俺「うん、言われてみればそんな気もするなあ。」

ハルカワ「自分も詳細は知らされてないので、なんとも言えないけど。」

俺「ああ。」

ハルカワ「・・・」

俺「あと仕事はやってもらうよ。」

ハルカワ「え、なぜ?」

俺「仕事っていっても簡単な点検作業だよ。」

ハルカワ「いや、給料出ないでしょ、それ。」

俺「うん、ハルカワ君がやった仕事は出ないだろうね。」

ハルカワ「タダ働き。」

俺「そうかもしれないけど、機体の構造を知るにはメンテナンスが一番。」

ハルカワ「構造を知ってどうする?」

俺「緊急時に強くなれるよ。」

ハルカワ「緊急時?」

俺「修理まで出来なくても、どこに何があるか知るだけでも役に立つ。」

ハルカワ「へえ。」

俺「おれなんか暗闇でも、配線一本の場所まで覚えているよ。」

ハルカワ「じゃあ、やってみる。」

俺「危ない仕事は俺がやるからな。」

ハルカワ「ウスターソースある?」

俺「ん、それ。」


食べ終わってから部長からの通信をキッチンで受けた。

予想通り第三体育館の貨物はコールドスリープ装置だった。

装置の中身は死体だと言われた。

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