【付録】練習問題《問題編2》

 問題編2では、より細部への注意を必要とする文章を扱っていきます。【第三回】で学んだことも使いますから、自信の無い方はもう一度見直してから問題を解いてみましょう。また、問題編1で間違えたままこちらへ進んで来た方は、一旦ブラウザバックして【まとめ】を読んでから取り組むことをオススメします。とにかくクリティカルリーディングにおいては、「いかに意識して読むか」が重要ですからね。


 それでは、問題です。


◆◆◆


問三 まずは次の文章を読んでください。


「月刊ワルガキ2036年2月号より抜粋」

 日本は今まさに、車社会ならぬ船社会へと移行しつつある。2032年にジョイアールが通勤客船のサービスを開始して以来、日船や東京ヘドロを含む多くの会社がこの公共交通船産業──俗に言う公交船産業──へ参入し、同産業は急速な発展を見せた。

 しかしながら公交船産業の発展は、これら有名企業の参入のみに起因するものではない。この発展の最大の要因は、公交船の持つ圧倒的な利便性である。

 (a)まずはある統計データを示す。2033年に日船が独自に行ったアンケート調査によると、公交船は多くの社会人にとって革新的でかつ有効な交通手段であるらしい。このアンケートは20代~60代までの成人男女700人を対象に行われ、船、バス、電車の三つのうち、最も高い頻度で使う交通手段を問うものであった。同アンケートによれば、回答者の67%が船を選んだという。同社は2034年と2035年にも同様のアンケートをそれぞれ異なる地域で実施しているが、船を選んだ回答者の割合は2034年で5ポイント、2035年では8ポイント増加して全体の8割に達しており、船が利便性の高い交通手段として認識されていることは疑う余地が無い。

 ここで一つの疑問が生じる。多くの社会人をこれほどまでに惹き付ける公交船の魅力とは何だろうか。公交船の利便性を裏付ける最たるものは、その最適化された渡航ルートにあると言えるだろう。公交船の渡航ルートを開設するにあたり、ジョイアールは長い年月をかけて調査を行い、社会人に最も好まれる最適な渡航ルートを発見したのだ。ジョイアール経営推進部の当時の部長、槽隙ふねすき氏は当時のことを振り返りこう語った。

(b)「(笑いながら)初めに経営推進部なんてそれまで聞いたことの無い部門でしたから、『俺もついに窓際部署に飛ばされたのか…』なんて思ったんです。…(中略)…最終的には、電車のダイヤグラムと時間帯ごとの混雑率を比較して、各停泊駅ごとに最も船の需要が高くなる時刻というのを算出していったわけですね。こんな風に、元々はあくまで電車の補助的な役割を想定した公交船でしたが、まさか(電車に)取って代わる交通機関になるとは、思ってもみませんでしたよ。」

 しかし、公交船に対しては反対意見があるのも事実だ。国土交通省の陸山大臣は、よいこ新聞の取材に対して次のように述べている。

(c)「本来その整理された渡航ルートが公交船の持つアドバンテージであった訳ですが、現在の多くの企業参入によっていくつも新たな渡航ルートが開発されると同時に、少しずつ複雑化してきています。このまま開発が続けば、その利便性は失われてしまうでしょう。加えて、船は川上を走る分、緊急時の避難が困難であり、近年増加傾向にあるテロ行為に対しての脆弱さが公交船の欠点と言えます。」

 このような反対意見がある中で、現在も公交船の需要は高まっているとされている。やはり多くの社会人にとって船が便利な交通機関であることは事実であるようだ。現在の最適化された渡航ルートを保つことと、さらなる安全対策が、今後の公交船産業の課題となりそうだ。(桜田門外)


 ふぅ、長かったですね。ってまだ終わりじゃないですよ!本番はこれから!

 それでは次の設問にお答えください。


( 1 )筆者の主張は何ですか?

( 2 )(a)の統計データを見てください。

 1. このデータのアンケート対象となった年齢層は、研究にふさわしいと思いますか?

 2. このデータは信用に値しますか?判断理由も含めて考えてみてください。

 3. このデータに「信頼性」はありそうですか?また、「妥当性」はどうでしょう?

( 3 )(a)(b)(c)をそれぞれ「事実と意見」に分類してください。

( 4 )この記事は信用に値しますか?その判断基準も含めて考えてみましょう。


◆◆◆


 とりあえず、想像だけでここまで書ききった私の妄想力、もう褒め称えてください(笑)そもそも川沿いに行けるところなんて限られてるし!みたいなツッコミはこの際ナンセンスですよ。今私の頭の中の日本は80%くらい川で出来てるんですからね!


 さぁ、次は英語の文章ですので、この問題は人によっては飛ばしていただいても構いません。難易度も低いです(developed paragraph が書けるだけの英語力が私に無いからです。ごめんなさい…)。ただやはりクリティカルリーディングの話をするにあたって、英文ならではの判断基準とかあったりするので…興味のある方は挑戦してみてください。といっても、私もバイリンガルでは無いので完成度は期待なさらないでくださいね…(じゃあ書くなよとか言っちゃいけませんよ。)



◆◆◆


問四 まずは次の記事を読んでください。


 What makes people get angry?

 We conducted a survey to reveal what evokes mad. Our research revealed that 92% of participants answered that they ate breads before they got annoyed. We carried out the same survey in a different group, and we got totally the same result.

 What makes us get angry but the breads!


Mazide Idol

Oct. 28, 2013 (記事の一部を抜粋)


 それでは、設問にお答えください。


( 1 ) Is the survey in this article reliable? Also, is it valid? Explain your answer.

( 2 ) Is this article subjective or objective? Explain your answer.

( 3 ) Is this article credential? Please cite three points, and explain your answer.


◆◆◆


 Got it? If you're good at English, this article should be easy. But if not, don't worry! Actually I'm still green lol


 あぁ、なんか自分の英語力の無さを露見させてるようで恥ずかしいですね…

 Was my face red!

 ですがここでしたい話はどうしても日本語だとピンと来ない(というか必ずしも適用できない)部分があるので、英語で書きました。そう、私もトライしてるんです、as you try critical reading!



 さぁ、傷口が深くなる前に解答編に移りましょう…




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