【第二回】私は正しい。諸君、もう一度言う。私は正しい!
「なるほど、この筆者の主張は実に論理的で、参考文献も明記されてるし、信用度の高い記事だな。」
んん、まだまだ甘いですねぇ。
その記事、
「バイアスかかってません?」
アメリカの銃規制の話題を例として挙げましょう。
銃愛好家の方がとあるサイトにて、銃の必要性を説く記事を書きました。
でもその引用元がすべて、同じ銃の愛好家の意見や銃の販売者、製造者の意見だったらどうです?
どんなに論理的に書かれていても、なんだか都合のいい部分だけをピックアップしている気がしてきませんか?(これは銃の愛好家の皆さまを批判するためのものではありません。)
まず見るべきは、筆者の立場と主張です。ここで前回確認した「誰」情報が活躍しますね。筆者はどの立場から、どの見地から意見を述べているのか…ということを念頭に置きながら読むことで、筆者の誘導を回避できる可能性が高まります。(あくまで誘導がある場合の話ですが。)
また、筆者の主張を正当に評価する、という目標にも近付きますね。
「確かに心理学的にはそうかもしれないけど、社会学的にはさぁ…」
みたいな反論は、この「クリティカルリーディング」においてはナンセンスです。今は情報を受け入れる段階ですから、「なるほど、心理学の立場から見るとこういう意見もあるんだな。」くらいに止めておきましょう。
筆者の意見を正当に評価する。これも目標の一つですからね。自分の意見に合わないからと言って情報を全く受け付けないと、それはあなたの視野を狭めてしまいます。狭い視野では客観的思考はできませんよ?
次に注目すべきは、筆者の論拠の公平性です。
主張が過激であったりする場合には特に注意が必要ですね。
まぁ主張はその人の主張ですからそれ以上掘り下げようがありませんが、問題はその論拠です。
論拠にバイアスはかかっていませんか?論拠が一つしか無い場合や、作者の精神論だけに基づいている場合。あるいは、すべての論拠が同じ視点、立場から述べられている場合、その記事の信用度は低いと言えるでしょう。
いいですか、大事なことだからもう一度言いますよ。
「いかに論理的に書かれていても」、その根拠となる情報に公平性が無い場合は注意です。
人には言論の自由がありますから、どんな意見だって基本はOKです。みなさんだって、「頭じゃ分かってるけど、どうしてもこの意見には賛同できないわ」みたいなことあるでしょう?
それはそれで良いんです。大切なのは、その記事で取り上げられている根拠の公平性ですからね?
さて、誤解を招かないようにと思い根拠の公平性についてクドクド書いてしまいましたが…もちろんこれで終わりじゃありませんよ。
今回最後にお話しするのは、「事実と意見」です。
「ちょっと天邪鬼コレ見てぇ!この化粧品超肌にいいらしいよぉ。ほら、なんかよく分かんないけど、この研究によると肌の保湿効果を高めてくれるらしいし、女優の△もベタ褒めしてんの、ね?スゴくない?」
なるほど、「この化粧品がスゴい」という主張の一つ目の根拠は研究によって分かった「事実」で、二つ目の根拠は有名女優△さんの「意見」なわけですね?
どうですか、みなさん?普段記事を読むときに、その都度一つ一つの根拠が事実を述べてるのか、意見を述べてるのか、意識してます?
当たり前のようで、実はあまり意識せずに読んでる方、多いんじゃないですか?
学生のみなさん、論文を読むときも同じですよ。教授の主義主張の寄せ集めみたいな論文(さすがにそんなの無いとは思いますが)読んだって仕方ないですからね。
「事実と意見」、意識しながら読むだけで、世界が10度くらい変わって見えるかもしれませんよ…
いや、ほら、10度ってけっこう大きいからね。けっこう大きいからね!
え、根拠を示せって?…
さて次回も根拠について、あともう少しだけお話しします。
Keep reading critically!
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