クリティカルリーディングとは…

【第一回】Wiki…どうしていけないの?押さえるべきポイントは…

「よし、早速クリティカルに読むぞ!さて、このサイトにはどんなことが書いてあるのかな…」



 はいストップ!!!


 クリティカルリーディングをするなら、しなくちゃいけないことがあるんですよ?


 学生のみなさん、あるいは卒業したばかりのあなたも。大学で、あるいは高校で、Wikiを参考文献にしちゃダメ、みたいなこと言われませんでした?


 どうしてWikiを参考文献にしてはいけないのでしょうか?

 答えは簡単です、「匿名で誰でも自由に編集できるから」。

 つまり、責任の所在がはっきりしないんですね。


 では、他のサイトなら全部OK?

 もちろん答えはNOです。


「天邪鬼さん見てください。このサイトは、ちゃんと誰が書いたかって記載があります。これならいいですよね?」


 なるほど、確かに編集した方がちゃんと名前を書いているなら、信用しても良さそうですね、無責任な人じゃ無さそうですし…


 ではお聞きします。

「あなたはその編集者さんのこと、どのくらい知っていますか?」


 仕事は?教授ですか、それなら専門分野は?経歴は?どこに所属している人ですか?


 えぇ、そんなのクリティカルと何が関係あるの?って思ったあなた!いや、キョロキョロしないの、画面の前のあなたですよ。


 関係大アリです!



 勘違いしないでいただきたいのは、「学歴を見ろ」という意味ではありません。むしろ学歴だけに惑わされるようではクリティカルリーディングとは言えませんよ?


 さて、客観的に判断するために必要なのは、「情報収集」です。


 例えば、50年前に書かれた医学書と去年発表された医学論文、情報源としてはどっちの方が信用できますか?


 いつ、どこで(出版社)、誰が書いた記事か。まずはこれが分かることが基本ですね。逆に言えば、これがはっきりしない情報源は、そもそも「読むに値しない」と思ってください。サイトの場合、どこで?の基準は無視できますが…



 もちろんこれだけじゃありませんよ?


 例えばこんなのはどうでしょう。


『日本人に圧倒的に足りてない栄養素、それは鉄分です!』

「ねぇ天邪鬼、この記事を書いた人は栄養学の専門家みたいだよ、ちゃんと○○って企業の研究所で働いてる人で、サイトの更新日は先月だって。これなら信用してもいいよね?」


 なるほど、いつ誰ははっきりしましたね。でもちょっとページをスクロールしてみてください。

『○○社の「鉄分たっプリン」なら、一日に必要な鉄分の80%が摂取できます!』


 これはこの、「鉄分たっプリン」の宣伝に書かれた記事のようですね…さて、この記事、果たして信用できますか?

 もちろん、中にある説明の妥当性や、調査の内容次第では、全く信用できないことも無いと思いますが、やっぱり宣伝用の記事は何かしらの意図を持って読者を誘導している可能性も否定はできないですよね?


 そうです、「どんな調査をして」「何のために」書かれた記事か、を考えなくてはなりません。


 つまりですね、

「いつ、どこで、誰が、何のために、どんな調査をして」

 書いた記事かを知ること。これが「クリティカルリーディング」の第一歩なんです。


 どうです、簡単でしょう?


 さぁそれではWikiに戻ってみましょう。上の5項目の内、果たしていくつの情報が手に入りますか?

 もちろん、Wikiに限らず、これらの情報が見つからない情報源には注意が必要です。



 ところで、そうは言っても、実際のサイトに書かれているのは誰が書いたかさえ怪しい記事がほとんどですよね。それを全部信じちゃいけませんっていうのも…ねぇ。


 あくまでここで提示しているものは、「判断基準」です。必要に応じて記事の信用度合いを自分なりに評価しましょう。

 例えば、「この情報は信憑性低いけど…一応頭の片隅に置いておこう。」とか、「論文の参考文献として使うには、この筆者は信用が足りないかな。」などといった感じですね。


 さて、この判断基準は主にサイトや本を評価する際に利用できますね。ここまで読んだ学生のみなさん、特にニタニタしてるそこの君!今こう思ったでしょう?

「論文なんてどれも、いつどこ誰は明記されてるよ。天邪鬼の話は全く役に立たないなぁ。」


 はいはいはいはい、早計早計、早計ですよ?!さっきも言いましたが、あくまでこれは「クリティカルリーディング」のです!

 ここでは、記事そのものの信用度のチェックについてお話ししました。


 次の章では、いよいよ、記事の内容の査定に入りますよ…


 Let's move on to the next chapter!

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