第12話



【三人称例3ページ】



途切れかけた意識の底で、悪魔を演じる妻の駄々を、器の大きさで返すヤスオの精神は仏の域に達っそうとしていた。



「ユリの貞操と掛けまして、俺の現状ととく」



ミチコはささやかな心情をもってヤスオの腹をさすりながら言う。



「その心は?」



「いずれもピンチです!」



ヤスオはそう言うと、ギアをパーキングに入れ、お尻を手で押さえながら、バレリーナのように爪先立ちでテトテトと我が家に向かった。



ピンポーン


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